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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第一章 ●演者:染谷大吉
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その4 笑い蛸

皆さんタコって知ってます?


八本足の、赤くてノロノロしたやつですよ。


寿司にタコは欠かせない。


これがまた美味い。


他の寿司ネタもありますが、ちゃんと処理したタコは美味いんですよね。


塩で揉むとね、真っ白なヌメリが出てきてね。

タコってえのは本当に手間がかかる。

それでも寿司ネタには欠かせない。


タコは握るだけじゃなく、酒のアテにもなる。


やっぱりタコは美味い。

冷めても美味い。


タコに感謝ですよね。


ちなみに皆さん。

タコって笑うって知ってました?



おい、留吉。


タコがないぞ。


え?

いない?

さっき茹でて、吊るしてあったタコがいない。

そうなんですか?


ああ、そうだろ。

タコはどこに行ったんだ?


ん~?

逃げたんじゃないですか?


逃げた?

タコが。

茹でられたタコが?

どうやって?


分からない?


確かに分からね~な。


こいつは困った。


じゃあ、留吉、相談屋の先生を呼んできてくれ。



ハイハイ、どうしたんです?


なに?

茹でたタコが逃げた?


う~ん…


ここに毎日吊るしてる?


仕込みが終わると?


ここにはいない?


へ~


う~ん…


う~ん…


そのうち帰って来ますよ。


ええ、帰って来ます。



さて、分かりますか?


どうしてタコが帰ってくるかが。



でね、

分かります?


実はコレ、勘違いなんですよ。


店主はタコを仕入れていなかったし、茹でてもいない。


タコを買うのを忘れてただけなんですよ。


小僧は店の掃除に水撒きに、戻って来たら店主がタコがないって言う。


分かります?


小僧もまさか、店主がタコを買い忘れて、しかもタコを茹でてもいない。

タコがいないって言われても困りもんでしょ?



思い込みっておかしいでしょ?

でね、

実際、タコを買いに行ったのは相談屋の私なんですよ。


ビックリしますでしょ?


相談されて、相談料を頂いた訳ですからね。

私も分からないから、

「帰って来ますよ」なんて言った手前、困るんですよね。


帰って来なかったら相談屋の仕事がなくなりますからね。


じぁ、皆さん、今度あそこの寿司屋に行ってください。


そしてタコを食べながら、あっしが慌ててタコを買いに行った姿を思い浮かべながらね、黙ってニヤニヤしてて下さいよ。


あの相談屋、慌てて走ったんだろうな~って。


寿司屋もね、どうしてウチのタコを食べると皆にやけるんだって、不思議がりますよ。




【笑いダコ】ってね、名物になりますでしょ?コレ。




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