表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第三章 ●演者:染谷大吉
24/172

その8 キツネうどんと厄年と

寄席の前にね、

どうも小腹が空きましてね。

あそこのね、うどん屋に行ったんですよ。


うどんをすすってたらね、

うどん屋の店主がね、

ウチにも名物を考えって下さいってね。


蕎麦屋が随分と繁盛してるってね。

そう言うんですよ。


アッシは断りましたよ。

ピシッとね。


他にやる事があるだろうってね。


今日は店を閉めて、神社に行けってね、厄払いさせてきましたよ。


店主は四十二、本厄ですからね。


優しいでしょ?


泣けてきますでしょ?



でもね、その日アッシは家で寝てたんですよ。


私はね、あそこでは素うどんしか食べませんよ。

薬味も何も乗せないの。


蕎麦と違って、うどんには何も乗せないのが私は一番好きですから。


でね、その日に限って、私はキツネうどんを頼んだんですって。


キツネさんが化けてたんですかね?


優しいですね。

キツネさん。


あそこ店のキツネうどんは優しいですね。



楽屋にて。



え?

どうしてこの噺をしたかって?


正之助、分からないのかい?


いいかい?

年明けの寄席は他の落語家達で充分にウケていただろ?


新年に自慢のネタを持ってきてた。


落語の出来が良すぎてね、

ウケにウケてた。


ただね、皆、笑いすぎなんだよ。


最後にね、ちょっと落ち着かなくてはならないんだ。


寝正月

おせちに

お餅に

江戸落語



新年はね、早々に構えないといけないんだよ。



分かるかい?

こういう噺も時々しないとね。


お客は厄年を忘れるからね。


嫌だろ?

厄年に不幸が来たら。


ウドン屋の店主の父親はね、

厄年に、

ずいぶん辛い病にかかったからね。


それにね、

寄席に来たお客もね、

身内に厄年がいたら、

皆、お払いを勧めるだろうさ。



納得しました?


それじゃあ、神主さん、うどん屋さん。


相談料を。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ