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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第三章 ●演者:染谷大吉
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その7 竜宮城と師匠

いや~、

この間、竜宮城に行きましてね。


こうね、魚がたくさんいるんですよ。


マグロにイカにタコにサワラ。


料理も美味くてね~

シャリの上に魚が乗ってるんですよ。


間にワサビをかましてたりしましてね。


醤油で頂くんですよこれが。


酒も進んで、

いや~贅沢な時間でしたよ。


でね、勘定の時になって銭を渡したらね。

店主が黒い箱を開けようとするんですよ。


ビックリしますでしょ?


あれは玉手箱だって。


おつり?


いやいや、いらねえから、その箱は開けるんじゃないよって、ウチの師匠が注意した。


だって、あれは玉手箱だよ。

漆の箱でね、螺鈿の細工がしてあって、おまけに紐で結わえてあるってね。


あれは玉手箱だよってね。


店主が老人になっちまうよってね。


でね、師匠が開けるって言うんですよ。


ニヤニヤしながらね。


あんたが開ければ老けるが、アタシくらい老ければ、一周回って子供になるってね。


で、師匠が箱を開けた。

開けたらね。


バブー、バブーって赤子のようにね、

バブーしか言わない。


支払う予定の銭を持って、四つん這いで出口に行くんですよ…



ズルいですよね。


結局、銭を支払ったのは私ですから。


あんな人にはなりたくないね。


師匠はそれからね、どっかに行っちまった。

探しても見つからない。



でね、

その日の夜更けにね、火消しの旦那がウチに来ましてね。

ウチの師匠が道ばたで寝ているから、荷車で運んできたって言うんですよ。


もうね、

タコですよ。タコ。

師匠とはいえタコ野郎ですよ。


ポカポカ殴ってしまいたいですよ。


麺棒で殴ってやろうかと思いましたがね、さすがにそれはできない。


目に入ったのが大根ですよ、


いや~


タコを茹でる前に大根で叩くと実に柔らかくなるんですな。


師匠もすっかり反省して、あんな事はしなくなりましたよ。





どうです?

ウチの煮ダコ、柔らかいでしょ?




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