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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第三章 ●演者:染谷大吉
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その6 トロロに白雪②

えっ?


爺さんが元気になった?


冬に先生がトロロ蕎麦の噺をするから蕎麦が売れに売れて?

売れて?

孫に小遣いを渡せるから喜んでるって?


そりやぁ、良かった。

私はあの噺をする見返りにね、

大晦日に、タダで汁蕎麦を頂けますからね。


おまけに息子のアンタが蕎麦を打ってるって宣伝もしてる。


え?


名物が欲しい?


爺さんの屋台のような?


う~ん。

困ったね。



じゃあ、

白雪蕎麦ってのはどうだい?



へぇ、ここがあのトロロ蕎麦屋の息子の店かい。


なあ、店主。

ここに白雪蕎麦ってのがあるってきいたんだが。


え?

あるって?


爺さんの屋台は今日はお休みだろ?


今日はどうも冷えてね。

どうしても蕎麦を食いたいから、息子の店に来たのさ。



お~来たね~


なんだいコレは。

ハンペンじゃないか。


へ~考えたね。


白雪とはハンペンかね。


白身魚のすり身かね。


しかも焼いてあるのかい?

焼き色が付いてるね。


でも、白雪なら、

焼かない方が良くないかい?


え?

爺さんが?

雪の上で屋台を引いてる?

雪の上に父親の足跡がある?


へ~

確かにそうだね。


ハンペンの下には、土に見立てた蕎麦があるね。


いいねぇ、父親の背中かい。


泣けてくるね~


いいね、

気に入った。

また来るよ。



これでどうだい?


じゃあ、今度、この噺をしておくよ。


ご隠居にも宜しくね。



おっと、いけねぇ。

これから妻と用事がある。


じゃあ、この噺をする度に、ココに来るからね。

いつもより客は大入りだろうから、二日後くらいにね。


もちろん、宣伝料は頂くよ。


アタシは海老天蕎麦がいいね。

車エビの。



え?

海老天蕎麦は高いって?

なんで白雪蕎麦じゃなくて海老天蕎麦かって?


寒いからね。

布団の中で海老のように丸まって考えていたからね。


もちろん海老天は二本だよ。



え?

分からないかい?



ご隠居とアンタから、一本ずつ取ったんだからね。

そりやぁ、二本だよ。




へっへっへ~。





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