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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第三章 ●演者:染谷大吉
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その3 カバと馬鹿

カバって動物がいるって本に書いてあるんですよ?


こうね、口が大きくて目が小さくて。

こ~んな大きくて、太っていてね。


何でもね、普段は水の中で暮らしているんですって。


え?

知ってるって?


じゃあ、噺がはやい。



いやね、

最近、思ったんですがね。


アッシの口は小さい、

目は大きい、

それに、こんなに痩せている。


カバと真逆でしょ?


だから馬鹿なんじゃないかねって。


馬鹿は風邪をひかないって言うでしよ?


確かにそうだ。

風邪をひいたことがない。


いや~

困りません?


本当に困るんですよね。


でも、よくよく考えるとね。

じゃあ、カバは天才かって話ですよ。


今度ね、カバにさんに話をしてね、落語をしてもらおうと思うんですよ。

きっと素晴らしい落語をしてくれるんじゃないかって。


え?

カバはしゃべれない?

いやいや、そんな馬鹿なって。


いやいや、バカじゃありませんよ。

カバですよ。


しゃべれないフリをしているだけなんですよ。

私と真逆なんですから。



ただね~

この馬鹿は近くにいますけどね。


カバは遠くアフリカまで行かなきゃならないんですよ。



残念ですよね。


じゃあ、私の落語をきける皆さんは幸せですね。


良かった、良かった。



さて、皆さんに質問なんですが。


この噺に出てくるカバは、どんな噺をすると思います?



そもそも、この噺のオチ、分かります?

いや、ちょっと難しかったですか?



じゃあ、

分からない方は手を上げて下さい。

別に恥ずかしくなんてありませんから。


手を上げない人にはオチをきいてみましょう。



いやいや、皆、分からないですか?



いやね、さっき落語家達と賭けたんですよ。

寄席で全員の手を上げさせる事ができるかってね。



もちろんオチなんてありませんよ。


皆さん、ありがとうございます。


たんまり儲けたんで、土曜の寄席代は

安くしておきます。

是非、皆様お越し下さい。

受付で【カバ】と言って頂けたら安くなります。

知らない人にも教えてあげて下さい。



あと、注意してくださいね。

受付で【バカ】って言ったら、番頭が怒りますから。


そう、そう、

ここが笑い所ですなんですよ。


これにて、これにて、どうぞよしなに。



楽屋にて。



いや~疲れた。

噺を曲げるのが難しいったらありゃしない。


やい、正之助。

今度の寄席は大入りだよ。


【風鈴金魚】を、

あれだけ練習しただろう?


物怖じせずにやってごらん。

そしてね、皆さんにしっかり名前を覚えてもらうんだよ。




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