その4 【続・エンジェルアロー】のドーナツ
ミカエル?
こんな所にまでFBI が来るんだね…
いいよ、
小さな家だし、誰もいない…
入るといい…
◆
あぁ…ミカエルね…
何をしたんだい?
◆
ミカエルについて?
ふ~ん…
どうだろうね…
天才と言えるのかな…
私の分かる範囲で答えよう…
ミカエルはね…
江戸時代に行きたいらしいよ…
だから飛行機を作るらしい…
時空を越えるんだってね…
何でもね…
日本のね…
江戸時代の長屋というね、
こう…
長方形の狭い庶民の部屋なんだと…
そこでね…
そこそこ働いて…
そこそこ釣りをして…
そこそこ尻を追いかけ…
とにかく…
そこそこ生きていたいって言ってたね…
【人生はそこそこでいい…】
ミカエルはいつもそう言ってたな…
口癖?
【天使は舞い降りる…】
大学の夏休み前かな…
ろくに大学に来ないのに、
誰よりもしっかりとしたレポートを出したよ。
ずっと考えていたんだと…
で?
ミカエルは何をしたんです?
ふ~ん…
エアフォースワンね…
ふ~ん…
私から言える事は一つかな…
◆
【君達では勝てないよ…】
◆
別に君達を馬鹿にしているワケではない…
◆
ピンポーン!
◆
ちょっと待っててくれ…
誰が来た…
◆
フッフッフ…
【エンジェルアロー】のドーナツだ…
分かるかい?
ここで話をしているだけ無駄だ…
君達の動きは読まれてる…
ミカエルはいつもね…
私とドーナツを食べていたよ…
コーヒーを入れるから待っててくれ…
私の焙煎したコーヒーがある…
老いた大学教授の趣味さ…
皆さん…
疲れた顔をしてるな…
それは良くない…
働きすぎたよ…
あなた達の疲れた顔を誰が見たい?
そんな顔を両親や恋人に見せたいのかね?
見せたくないだろ?
今日はここでゆっくりとしていくといい…
上司には事情聴取に手間取ったとな…
言い訳するといいさ…
今日はドーナツとコーヒー…
そして映画だ…
思い出したがね…
ミカエルの口癖はもう一つある…
【先生のコーヒーは最高にドーナツに合う】ってね。
飲んでいくかい?