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その6 里芋のお味噌汁
だいたいネバネバ噺も終わったね…
他には里芋もいいよ。
皮を剥いてね、十字に切っておしまい。
菊の花と相性がいいね。
面取りなんてしなくていいよ。
小さいんだから、
面取りしたらなくなってしまうよ。
里芋の角がね、
味噌汁の中で溶けてさ…
トロッとするのさ…
里芋さんだけでは地味だからね…
菊で彩りを足すのさ。
芋を食べると精がつくからね…
オススメだよ。
◆
え?
落ちはって?
◆
アンタは男だから分からないだろうけどね…
ここには【嫁入り前の娘】が来るのさ…
◆
そうだね…
息子の大吉と結婚した琴音ちゃんの紹介でね…
◆
全く困ったもんだよ…
◆
若い娘達が真剣な顔で私の所に来る…
◆
呆れてね…
最初に私は味噌屋に好みの味噌を手配してね…
娘達にあげる訳さ…
◆
こんな婆さんこき使ってね…
忙しいったらありゃしない。
◆
娘達は時々差し入れを持ってきてさ…
もうさ、
そんなのいらないって言うんだけどさ…
仕方なくもらってるよ。
◆
で?
落ちかい?
分からないかい?
◆
ここはね…
知る人ぞ知る…
◆
【穴場】なんだよ…
◆
どうだい?
落ちたろ?
◆
ヒッヒッヒッ…