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その7 爪楊枝⑦
いや~長い噺ですね~
【イカと婆さん】から、なかなか終わらない。
飽きてきました?
◆
いやぁね、
皆さんと同じでね、あの娘さんが言うんですよ。
オチが見えないって。
そもそも、
アンタは結婚してないじゃないかって。
ん?ってね。
はぐらかしてたら怒ったのかなって。
何々?
結婚してあげてもいいって?
ビックリしますでしょ?
ウチの婆さんが、この子は煮ても焼いても食えないよってね。
おまけに腹黒いってね。
そう口を挟むんですよ。
余計なお世話ですよ。
そしたらね、娘さんがね、まるでイカみたいですね?って。
じゃあ、干物にすればいいってね。
串で刺して、根性が曲がらないようにして、干物にすればいいってね。
ウチは干物屋だから、
楊枝や串はたくさんあるってね。
◆
そしたらお袋がね。
ビックリするくらい怖い顔をしましてね。
アタシはね、もう歯が悪いから、スルメは食えないよって。
【この干物は、アンタが食えばいい】ってね。
気がついたら、結納ですよ。
結婚式…
え?
オチですか?
私はね、実家から干されたんですよ。




