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漆の時そば②
え?
あそこの【時そば】を知ってるかって?
お江戸の蕎麦は16文、
それが15文で食べられるって?
いいね、そりゃあ…
え?
そこの屋台?
いいねぇ…
これから行ってくるからよ…
◆
へ~
時そば15文…
屋台の前にに書いてあるじゃないか…
これは安心だね。
やぁ、店主、時蕎麦をくれ。
しかし15文とは安いね…
お代は今払うよ。
◆
今日は得したね~
◆
お待ちどう、【時蕎麦】です。
◆
え?
◆
え?
◆
そばが入っていないじゃないか…
◆
え?
蕎麦は別料金?
え?
蕎麦は2文?
◆
おいおい店主…
合わせたら17文になるじゃないか…
◆
え?
最近そばの料金をちょろめかすヤツがいるから?
いるから?
こうしたって?
◆
分かったよ。
一本取られたよ…
そばをもらうよ…
◆
え?
ゴボウの天ぷらもくれるって?
え?
サービスだって?
◆
おいおい…
美味いねこりゃ…
え?
これが一番美味いそばの食い方だって?
◆
しっかし、
あんたと話してると楽しいね…
私は留吉、
あんたの名前は?
染谷漆?
え?
おいおい、
よく見りゃ漆さんじゃないかい!
何でそば屋の屋台をしているんだい?
え?
◆
そばを打つのが趣味?
◆
悪趣味だねぇ…