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漆の時そば①
私の18番…
【おはこ】と言えども、
お江戸の【蕎麦】は16文。
それを1文ごまかして、
勘定の時には15文…
そういう落語がありまして…
◆
さてさて…
◆
なぁ、店主…
これはなんだい?
麦飯に…
トロロじゃないかい?
頼んだのは蕎麦なんだけどね…
え?
これが蕎麦?
このトロロはずいぶん茶色いね…
腐ってるんじゃないかい?
え?
トロロに?
蕎麦のタレを入れて?
味付けしてある?
へ~
麦飯にかけて食ってみろって?
ズル…
ズルズルジュ~
◆
美味いね!
美味いよ大将!
◆
こう…
何か蕎麦を食べている音がするね…
確かにこれは蕎麦だね…
◆
え?
これは?
え?
蕎麦だって?
え?
茹であがっただって?
確かに蕎麦だね…
じゃあね…
先にね…
お勘定するよ。
ひい…
ふう…
みい…
よう…
今なん時だい?
◆
え?
20時?
え?
閉店時間?
え?
トロロと麦飯はタダ?
え?
あんたが痩せてる?
え?
あんたは疲れた顔をしている?
え?
閉店時間だけど?
え?
ゆっくり食っていけって?
◆
あの…
すみません…
お代はしっかり払いますから…