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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
◆ 第三部 第二章
121/172

【寄りし日】②

父はね、

光陰は【自分は才能がない】って良く言いますけどね…


違うんですよ。


初代よりも十三代よりも…

世界の誰よりも才能がある物が…

一個あるんですよ。



朝ね、

父は大抵ね、

納豆を丼で食べるんです…


いや~美味そうに食べるんですよ。



父の食べ方はね…


大粒の納豆に、

刻んだネギ、

それに醤油。

納豆のタレは使いません。


でね、

それを混ぜて、

ご飯の上に乗せてね、

全部かき混ぜてしまうんですよ。


そしてかっこむ。



でね、

金曜や土曜はマークやリサがウチに泊まるんですよ。


でね、

最初の二人の朝食は食パンにコーヒーに

ベーコンエッグですよ。



でもね、

納豆飯をかっこんでる父を見てね、

リサが言うんですよ。


【それが食べたい】ってね。

小学三年生のアメリカ人の女の子がですよ。



笑えますよね。



父は困った顔をしましてね…


【母さん、茶碗にお米さんをくれ】ってね。


【母さん、スプーンだ】ってね、

父は小さな茶碗に納豆飯を作るんですよ。


それをリサに渡すんですよ。


そしたらリサが首を横に振ってね、

父親の丼を指差してね…


【そっちが食べたい】って【父の丼】を指差すんですよ。



笑えますよね。



あの日、

光陰はリサに丼を奪われ、

箸も奪われ、


リサはね…

慣れない箸で、

納豆飯を豪快にかっこむんですよ。


父のようにね…



父はね、

困った顔で、

小さな茶碗の納豆飯をスプーンで食べてましたよ。



でもね、

姉もね、嬉しそうに笑ってて、

私もね、思わず笑ってしまったんですよ。



ええ…

姉も…

私も…




ええ、

子供の頃、

同じ事をしてましたから…




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