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後書き 【花茶息】
はいはい、
番頭の宗形ですよ。
さてさて…
最初は子供が噺をするんです。
皆ね…
先代達が作ったネタとかやるのかなって…
そうですね…
しょせん子供がする噺だってね…
甘く見てるんですよ。
◆
でね、
宇刻さんはスッと噺をして、
スッと去った…
◆
でもね…
噺はここで終わらない…
◆
続きがある…
◆
噺が終わって…
袖先で…
私達の横を通り過ぎて…
こう言ったんです…
◆
振り返ってね…
◆
あのね…
七つの小僧が何て言ったと思います?
◆
皆あんなに手を叩いて…
立ち上がって…
ワーワー騒いでいらっしゃる…
宗形さん…
今度は蜂までいるらしいよ…
◆
そしてね…
こう…
私達を見て…
うっすらと笑った…
鵺【ぬえ】のようにね…
◆
ええ…
ゾッとしましたよ…
私のね…
手がね…
体がね…
震えてるんですよ…
◆
そう…
全て見えていた…
よわい七歳の小僧にはね…
◆
最初から最後まで…
全ては小僧の手の中にあった…
◆
それからですよ…
七つの小僧がね…
【私達】や【お客さん達】からね…
【十三代目】と呼ばれるようになったのは…
◆
これぞ天才…
これぞ染谷宇刻です…




