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前置き 【花茶息】
番頭の宗形です。
第三部に入りましたね…
え?
どうしました?
え?
じゃあ、
十三代目、
天才宇刻の【真打ち噺】はって?
◆
たくさんありますよ…
本当の【真打ち噺】はまだ先ですがね…
◆
最初の【真打ち噺】はね…
宇刻さんがね…
スッと入ってきてスッと終わった…
◆
確か七つだったかな…
よわい七つで宇刻さんはこれをやった…
そして七歳で【十三代目】になった…
◆
そこで戦争がやって来ましたかな…
空襲で芝居小屋は焼けてしまった…
◆
でもね…それでも私達は負けなかった…
◆
なぜって?
◆
絶望のどん底でもね…
全部ひっくり返す男がいるんです…
そう…
私達には【宇刻】がいるんです。
宇刻さんがいたから、
もう一度…
私達は芝居小屋を作ったんです…
町のね…
皆もね…
お金を出してくれましたよ…
◆
さて…
これはね…一瞬で終わる噺です。
◆
七つの小僧の完全犯罪…
◆
【花茶息】です…




