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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
◇第二部 第六章
112/172

その5 口紅

こうね、

女の口元が映えているといいですよね。


紅をさした口元はね、

女性ならではですよ。


鏡の前でね、小指で紅を引く。

それを寝かがらね肩肘ついて眺めるんですよ。


しっかしね~

化粧をすると女は化けますよね。


化けると言ったらね、

狐に狸に幽霊ですよ。


女もね、そこに加わってるんですよ。


でね、

近所の畑に狸が来たんですって。


大根が好物なようでね。


農家の旦那は怒っているんですよ。


ウチの妻はね、

大根が大好きですからね、

味噌汁に煮物に【かて飯】によく大根を使う。


【かて飯】ってのは、米に千切りにした大根を入れて炊くんですよ。


他にも芋とかいれたりね。


だから、

妻がね、夜中に大根をかじりに行くんじゃないかと心配になってね、

寝たふりをして、待ってたんですよ。


そしたらね、

バリバリバリバリ音がするんですよ。


明かりの先を見ていたらね、

妻が茶漬けに沢庵ですよ。


こうね、

勢いよくね、

かっこんでいるんですよ。


茶漬けをすすってね、

【は~】ってね、茶息をもらしているんですよね。


こうね、お上品に食べなくてもいいんですよね茶漬けは。


【美味しそうだね】って言ったら。


妻が真っ赤な顔をしましてね。


まだ新婚でしたからね。


【食べる?】って妻がね。

私も茶漬けを頂きましたよ。



今ではね、

妻は毎晩ね、

昔よりも豪快にね、

茶漬けをすすっていますよ。





最近知りましたけどね、

世間ではね、

あれを【イビキ】って言うんですって。







知ってました?




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