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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第二章 ●演者:染谷大吉
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その1 爪楊枝①

さっきのイカの噺はね、

入りの部分ですから。



さてイカといえば…


近所の娘さんがウチに来ましてね。

ええ、ちょっと小生意気そうな娘さんですよ。

娘さんといっても、子供じゃありませんよ。

アッシより三つ下らしいです。


それはさておき…



え?

何ですかい?


へいへい、ウチは相談屋ですよ。

そう、相談屋。


世の中の分からねえ事を相談して頂き、

解決するって商いです。

 

だから相談しにきた?


困りましたね。

で?

あっしに何を相談したいんでやんすか?


何々?

どうして爪楊枝をくわえてるかって?


誰が?


外国の?

映画で見たですって?

飲み屋の?

バーの主人が爪楊枝を口にくわえてるって?


はは~ん、分かりましたよ。

何で西洋の酒場で、日本の爪楊枝なのかって噺でしょ?


はは~コレはコレは困ったもんだ。


ちょっと困りますね。

目の付け所が違いますね。

いや~流石だ。


そんな鋭い観察力で見ているなんてね。


じゃあ、どうします?

解決には時間がかかるような噺ですが…


いやいや、この難題を今すぐ解いてほしいって?


いや~、困りもんだね。 


いや~困った。

ちょっと左手を頬に当ててもいいですかい?


ん~、私はね、困ったら左手を左の頬に当てるんですよ。


困ったね~って。


考える人とか、そんな感じでね。


ん~じゃあ、どんなシーンした?

その時は。


何々?

酒場で、客がピーナッツをかじりなから、酒を飲んでいる。


酒は?

ビール?

ちびちびとピーナッツをかじっていた?


で?

店主は爪楊枝をくわえている。


時々、爪楊枝を上下に動かし?

動かし?

爪楊枝を左から右手に持ちかえて?


持ちかえて?

右にくわえる。


右にですか、娘さん。

右に?


くわ~、そいつは困ったもんだね。


それから?

ずっと楊枝をくわえたまま?


ずっと、苦い顔をしている?


それは本当に困ったもんだ。


実はね、娘さん。

私も前から爪楊枝については、だいぶ悩まされてきたんですよ。


相談屋を商いとしてますからね、一番困るのが爪楊枝なんですよね、私からすると。


どうも、この爪楊枝の感覚が難しい。


私はね、毎日、寝る前にね、天井を見つめて、見つめてですね、爪楊枝についてあれこれ考えているんですよ。



あっ、ちょっと娘さん、今日はもう店じまいだ。




これから妻と用事がある。




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