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その1 障子と糊と
え~初代大吉、
染谷大吉でございます。
ちょっと今日は早口でいきますよ…
◆
さて、お江戸には様々な商売がありまして…
障子を張りかえるって、職業がありますんで。
◆
え?
どうしたい?
◆
すみませんね皆さん。
ちょっとね…
舞台の袖から、アッシを呼んでるんですよ。
何か困った事があったらしい…
◆
ちょっと、行ってきますね。
◆
いやいや、すみませんでしたね。
戻ってきましたよ…
◆
じゃあ、噺の続きを。
◆
何々?
明日、障子屋が来る?
障子を張りかえに?
確かに障子に穴が空いてるね。
だから?
張りかえる?
へ~、そうなのかい。
◆
えっ?
どうしたい?
すみませんね…
また袖に呼ばれた…
今日の落ちは皆さんでどうぞ…
◆
いや~またまた、戻ってきましたよ。
◆
皆…
納得いかないって怒ってるってさ…
番頭が言いますからね…
◆
仕方がない…
◆
【落ち】はないというかね…
さっきからね…
どうですアッシは?
◆
【落ち】つかないでしょ?
◆
どうです?
皆さん怒りは【落ちつき】ました?