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"なろう"小説ネタ帳  作者: ネタ帳
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需要と供給と価格

かつてのローマ帝国で塩は給料として使われ、それが今日のSalaryの語源となったことをご存知の方は多いかと思います。それでは、なぜ塩はそれほどまでに貴重だったのでしょうか?

一般的に、モノの値段は需要と供給のバランスによって決まります。貴重で手に入りづらいものや、多くの人がそれを欲しいと思うようなものの値段は高くなります。前者には金や宝石、後者には人気の株などが分かりやすい例でしょうか。


現代の私たちにとって欠かせない調味料の1つである「塩」もそんな高級品の1つでした。その貴重さ故に調味料として一般に広まったのは近代になってからの話です。しかし、なぜ塩は高級品だったのでしょうか?塩が兵士への給料として用いられていた古代ローマは地中海に面した国家で、海には当然溢れんばかりの塩が眠っています。いくらでも取れるはずの塩が高級品であった理由は何なのでしょうか?


1つ目の理由は塩づくりの大変さ、シンプルに生産量の少なさから来るものです。海水の塩分濃度は約3%、特に塩分濃度が高くローマが製塩の拠点としたアドリア海でも4%に満たない程度です。これは1 tの海水を処理しても30 kgの塩しか得られないということです。

塩田を使った製塩方法には大きく分けて2つあり、1つは天日によって塩田で塩を析出させるもの、もう1つは天日で塩田の海水から水分をある程度飛ばし、残った水分は陶器などで煮詰めて飛ばすというものです。地中海の夏は降水量が少なく、製塩に適しているとはいえ前者の方法ではとても土地が足りません。かといって後者の方法も大量のエネルギーを必要とするため効率が悪く、結果として現代のように塩を行きわたらせられるほどの生産量がなかったのです。


2つ目の理由は生産量をわざと絞っていたことにあります。塩が貴重だった古代、それは通貨のように使われることもありました。そんな塩が大量に作られるようになって価値が暴落すると社会は混乱します。そのため多くの国家はわざと生産量を絞り、その価値を維持していました。

具体的には製塩産業を特許制とし、流通量を制限することで塩に貴重性をもたらしていました。単位面積あたりに作ることのできる塩の量が少ないのであれば、必要なだけ塩田を広げることで塩の不足は解消できたはずですが、そうすることは選ばなかったのです。


なろう作品において、異世界に行った主人公が度々塩などの貴重品をばら撒く場面を目にします。塩に限らず、特許制のものを密造、販売することは違法です。なぜその品物が貴重なのかをしっかりと吟味するようにしましょう。

需要と供給のバランスが成り立たない例には麻薬があるそうです。買い手はいくら掛かっても欲しがるため、売り手がいくらでも値段を釣り上げられるとか...

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