勇者はやられる4
それから姉ユリアの案内の元、俺達勇者パーティーは我が家……つまり村長の家へと向かった。
何故ならここはこの国一番のど田舎。
宿屋がある訳ないじゃないか。
かと言って教会ははっきり言って掘っ立て小屋のようなもの、人は住めない。
故に、この村で一応一番大きな家に来る事になった。
しかしだ。
考えても見ろ。
この閉鎖的な村に客間が果たしてあるだろうか?
はっきり言ってない。
それに部屋だって一人部屋なんてものはないのだ。
強いて言うなら長男と次男が二人部屋だと言う事だろうか?
「殿下。申し訳ないのだが、この家には皆様をお泊め出来るだけのスペースが御座いません」
村長である父は言いにくそうにそう言った。
王子は初め驚いていたが、そこは交渉能力のあるセイが出て来る。
流石ブレーン。
「我々は外で野営します。しかし、王子は高貴なる身、せめて王子だけでもベッドを提供しては頂けないでしょうか?」
あの美貌のセイが瞳を震わせながら父に訴える。
そして、隣にいる母や姉達にも憂い気に訴える。
そんな姿に次女のテリーヌは失神してしまった。
恐ろしい交渉術である。
そんなセイの捨て身な攻撃に母が落ちた。
「そこまで言うのでしたらシー、貴方のベッドを提供して差し上げなさい」
俺の?
そう思い母を凝視してしまう。
「俺の部屋は姉達もいるから不味いよ」
そう訴えていた。
これで俺のベッドは死守出来ただろう。
そう思っていると
「ではシーのベッドにケイが行きなさい。殿下申し訳ないのですが次男ケイのベッドをお使い下さい」
「ふむ、仕方ないな」
王子はそう言うと如何にも寛大だと言わんばかりの態度で私達家族を見た。
俺のベッドを取っておいてそれはないだろう。
マジに思った。
そして、ある大事な事にも気付く。
そう言えば王子の名前を知らない。
何せど田舎。
国王の名前すら知らないような田舎。
王子の名前なんかいちいち知らない。
って言うか、王子が何人いるかすら知らない。
人からベッドを取っておいて名前すら名乗らないとは、やはりこの王子はどっか足りないな。
それとも自分は名乗らなくても皆知っていると思うだけ偉いのか?(事実王子だけど)
勘違いも甚だしい奴だな。
そう結論付けた。
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