勇者はやられる14
「まぁ落胆するな。下積みあっての修行だからな」
レオがそう言って俺を励ます。
「お前は運が良い。私のような高貴な者と共に旅が出来るのだから」
馬鹿王子は相変わらずぶれないな。
「そうですか。貴方は料理をされるのですか?人には一つ位得意な事があるのですね」
セイが凄く失礼な事を言って来る。
一つってなんだよ。
「まぁ。食材確保は皆で狩りをすれば大丈夫だろうから、これから宜しくな。シー」
レオはそう言うと俺の手を取った。
「あぁ。宜しくレ……オ……」
思わず兄呼びしそうになり一瞬どもる。
「なんだ。もうレオの名前を忘れたのか?相当ダメなヤツだとは思っていたが、お前相当馬鹿だな」
馬鹿王子に馬鹿と言われた。
って言うか、あんたが兄呼び禁止したせいだろが!
この馬鹿王子、空気も読めないのかよ。
そう思ったね。
因みにだ、セイの神聖魔法とやらで王子の腹痛が治ったのは馬車に乗ってから一時間後だった。
って……待て、神聖魔法だろう?
回復役だろう?
そんな呑気に回復していたら戦闘終わってんじゃないのか?
後から聞いたら、セイは神兵だから基本的に回復魔法は使わないらしい。
その代わり戦闘中に色々な強化魔法を使ってサポートしたり結界を張ったりするらしい。
「じゃあ、回復させるには今みたいに時間がかかるのか?」
当たり前な質問にレオが事も無げに言う。
「基本的にポーション等のアイテムを使うから大丈夫だ」
マジに……
「って言うか、それなら王子にもポーションとかのアイテム使ってやれば直ぐ回復したんじゃねぇの?」
マジに聞いてしまった。
同じ馬車の中だが、今は王子とセイから離れて座っている。
それと言うのも二人とも腹痛回復の為に相当疲れたとの事で寝ているのだ。
それで良いのか?勇者一行?
「シー。あれはあれで良かったんだよ」
レオは苦笑いしながらそう言う。
「だって、あのまま居たら あの怪しい物体を食べざるおえなかったからね」
あの怪しい物体=次男特製のデザートの事だろう。
そう言えばと思い出す。
「あ~。あれはデザートじゃなくって、滋養強壮の食材だよ。食べると色々な能力値が上がるんだ」
そうだよ。
幼い頃食べたよ。
今思い出したよ。
但し、食べると数日苦しむがな。
そう思い遠い目になる。
「何?そうだったのか?」
「ああ」
取り敢えず同意しておく。
「なら食べておくんだったな。勿体無い事をした」
レオはそう言って残念がっているが、使われた材料を聞いたら、絶対食べたくなくなるよ。
男だったら絶対食べたくない。
そういう物だ。
お読み頂きありがとうございます。
最後の材料についてはあまり追及しないで下さい。
また読んで頂けたら幸いです。