1-17 勇者達
時間が空いてしまい申し訳ありません。
1-17 勇者達
「おい、あいつら消えたぞ?」
「なにが起きたんだ?」
「まさかあいつら元の世界に帰ったのか?」
「さすがにそれはないでしょ…」
「死んだのかもよ?」
「ていうか、転移とかだとしても変なとこ飛ばされたら今の私達じゃ死んじゃうんじゃない?」
「くそ!どーなってるんだ!」
そんな声が聞こえる中…
「ユメノ!ユメノユメノユメノ!どこいったんだ!あいつに連れ去られたのか!どこいったんだ、俺のユメノ!わかってるぞ?少し混乱していたんだよな?あいつが一人で可哀想だったから味方しただけだよな…
僕が見つけてやる…安心しろよ…」
「ダイキ、落ち着け。俺達勇者はそう簡単に死なない。俺達が組めばすぐ見つけられるさ!」
前者は天川大輝。後者は大輝の親友の斎藤智也である。
「すまんトモヤ。大丈夫だ、落ち着いた。
みんな、一旦落ち着こう。これからのことについても話し合わなければならないし、王様にも今後のことを聞かなければならない」
大輝の言葉で皆が落ち着きを取り戻し始める。
「すまぬ、ワシらではあの二人に何が起こったのかわからぬ。この城の警備は万全じゃった。しかし、転移、もしくは召喚された」
王様のこの言葉にみんなに動揺が走る。
「ですが、私たち以外が召喚の可能性は限りなくゼロに近いです。お父様はお気付きにならなかったようですが、魔法陣の種類が転移でした。なので、あの二人のどちらかが転移魔法を使ったか、他国からの横槍の可能性のどちらかでしょう」
王様の言葉に続き王女様の言葉に皆少し戸惑いつつも少し落ち着く。
「よかった。召喚とかならどうしよもなかった。では王様、俺はこれからユメノを探して旅に出たいと思います。他国に行けばユメノの手がかりがあるかもしれません」
その言葉にみんなが驚く。
「お、おい、ダイキ?俺たち協力して強くなって国を救うんだろ?」
「ああ、もちろんだ。でもその為にはまずユメノを連れ戻さないと」
「なんでだよ」
「ユメノは俺の元を離れたくて離れたんじゃない。無理矢理どこかに拉致されたんだぞ?誘拐だ。これを放っておいていいのか?」
「いや、誘拐って、確かにそうかもしれないけど、あっちはレンってやつもいるし、あの二人は戻ってきても一緒には戦わないだろ?」
「トモヤ、お前はユメノのことを知らないから…あいつはレンの奴が可哀想だから庇っていたんだ」
「まぁ、それはわからねぇけどよ、とりあえず捜索は国の人に任せてみようぜ?情報収集とかならこの国の人の方がいいだろ?俺たちはこの世界のことなんにも知らねぇんだし」
「…確かに、一人で闇雲に探し回るよりそっちの方がいいかもな…」
二人の話が纏まった様子をみると、王様は…
「うむ、我が国の第3騎士団を全てあの二人の捜索に回そう。情報が入り次第すぐに知らせよう」
「はい、お願いします」
「うむ、この後はささやかな食事会を催す。しっかり食べて、ゆっくり休んでくれ。明日からは訓練だ」
そうしてその日は解散となった。
そうして、勇者たちの訓練は始まり、レンとユメノの情報は集まらないまま時は過ぎていくのであった。
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