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1-11 御礼

1-11 御礼



「「「「カンパーイ」」」」

「いやー今日は本当にありがとうございました」

「いえいえ、あんなことで晩御飯をご馳走になってしまって、申し訳ないくらいですよ!」

「ほんとにね!私なんて何もしてないよ?」

「あんなことって言いますが、下手すれば命すらもうありませんでしたからね!私達夫婦は近場のホーンラビット狩りぐらいしかしたことないですからねー。ユメノさんもレンさんが一瞬で捕まえてしまわなければ助けてくれるつもりだったのでしょ?」

「まぁ、そうなんてなすけど…」

「まあまあ、それにしてもホーンラビットですか、確かにホーンラビットの肉はいろんな料理に使える上に美味いですしね、それでなんとかなっちゃいますもんねー」

「ホーンラビットの肉といえば、ミニマムホーンラビットって知ってます?」

「ミニマムですか?」

「ええ、ドロップする肉も小さいらしいんですが、これがまた非常に美味しいらしいんですよ!」

「へーそんなものが…」

「食べてみたいわね!」

『食べてみたーい』

『メルよ、お前はいっつも黙って聞いてるだけのはずなのにこういう時は入ってくるんだな』

『自己主張はしていかないと』

『メルの自己主張は食い物だけだな』

『違うよー?もふもふもだよ?』


ああ、確かにメルはもふもふがお気に召したようでもふもふしない日があると機嫌が悪くなるくらいだ。


「そういえばお二人は宿屋暮らしということは、この街にはそう長く滞在しないので?」

「あ、いや、そういう訳じゃないんですけどね、今は家を買うためにお金を貯めてるんですよ!」

「おお、そうでしたか!でしたらうちのカフェどうです?広さはそこそこありますし、家具はそのまま置いていくので、カフェを開くこともできますよ?それにあの辺の土地は実は私の土地なんですよ!ただ問題があるのであまりお勧めはしませんが…」

「ああ、風雷関連ですよね、確かに今の俺達が風来の誰よりも強い…とは限りませんもんね…でも風雷討伐の依頼を明日出すとギルドで聞いたのでありかもしれませんね」

「風雷問題と、立地に問題がなければ商業ギルドを通さず直売りで安くできますし、支払い方法も自由が効きますからね!私達もギルドで安く買い叩かれるよりは直売りの方がいいですし、どーせ使ってもらうならレンさん達の方がいいですし!」

「明日立地の確認とかして気に入ればって感じでいいですか?」

「ええ、もちろんです。レンさん達の返事があるまでは置いておきますよ、特に急いでいる訳ではないので」


その日はそんな感じでお開きとなった。そして次の日、書いてもらった地図の場所に行って想像以上だった。


「わー、大きい家ね!」

「本当だな、近辺に家もないし、ここならテイムした魔物と一緒に暮らせそうだ」


「俺はここがいいと思うがどうだ?」

「家はいいと思うけどギルドから遠くない?」

『なんでもいいー』


メルよ、ほんとに食い物ともふもふ以外の自己主張ないな…


「ギルド?そんなんどうでもいいじゃないか!ギルドから近いと魔物に対していろいろありそうだしな」

「まぁレンくんがそういうなら私はいいけど?」

「というかレベルさえ上がれば迷宮以外でそんなに外出するつもりはない!」

「えー?お金とかどーするの?」

「う…だって、もふもふタイムが減るじゃないか…」

「もう、レンくんはほんとにもふもふバカだね」

「なんとでもいうがいいさ!もふもふさえあれば他に何もいらない!」

「じゃあさ、もふもふカフェとか開かない?」

「もふもふカフェ?」

「そうそう、レンくん家カフェでしょ?それによくお手伝いしてたじゃない?」

「まぁ、そうだが……ん?なんでそんなこと知ってるんだ?」

「え、いや、あの、その、い、行ったことあるんだよ!その時レンくんが働いてるの見てさ!」

「なんだ、そうか…確かに働いたことはあるが、この世界にコーヒーとか紅茶はあるのかな?あと食事とかも軽く出すならこっちの料理を知らないとな」

「じゃあその辺が整ったらカフェ開かない?」

「そうだな…考えとくよ」


これは上手くいきそうならいい話だな…昔の夢はもふもふカフェを開くことだったし…


「よし、そうと決まればデイルさんに報告しに行こう」


そうして安らぎの宿に着くとデイルさんとミルクさんが待っていた。


「レンさん、待ってましたよ!風雷が討伐されたようですよ!」

「それはよかった。俺達も家を見てきて是非売って欲しいという結論になりました!」

「でしたら五十万リラでいかがです?」

「いいんですか?あの広さの家ですよ?」

「いいんですよ、立地悪いですし商業ギルドでもこれくらいで買い叩かれるよりでしょうし…」

「じゃあ月二十万リラずつの分割で計六十万リラでどうです?」

「え?いいんですか?」

「はい、俺達も多少余裕のある暮らしをしたいので分割の方がいいんですよ」

「別に分割でも五十万リラでいいんですよ?」

「いいんです、家具もありがたいですし!その代わりお願いがあるんです」

「なんでしょう?」

「周りの土地を売らずに持っていてもらえませんか?そのうち買いますんで」

「それはいいですが…わかりました。ありがたく六十万リラにして頂きます」

「俺としてはあの立地も最高なんですよ、俺はテイマーなんでね」

「ああ、なるほど。魔物を嫌う人もいますからね」

「じゃあ月初めにこの宿に支払いにきますね」

「ええ、家は今日から使っていただいて構いませんので」

「わかりました。ありがとうございます」

「こちらこそ、レンさんのおかげで予定より高く売ることができました。では、また」


こうして俺達は予想以上にいい家を手に入れることができた。

お読み頂きありがとうございます。

次話もお読み頂ければ幸いです。

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