第漆話
俺なら分かってくれる………ね……
一体、翠は何の期待を抱いているのだろう………
俺は……そんないい奴じゃない……
俺をいい奴と信じてたやつはみんな俺のせいで死んだ………
みんなみんなみんな!俺のせいで死んだ。
「はぁ……君はまた色々と溜め込んでるね……」
「………」
「君は何の為にここに来たんだい?君は『君は色々と自分のせいにし過ぎだ。君のおかげで救われたひとだっているんだから………』」
「だけど肝心な人が死んだ!目に見えているものすら守れなかった!最愛の人が死んだ!最高の友人が死んだ!前は契約のせい!契約のせい!ってしてたけど!全部全部俺が悪かった!!」
俺は想い人の面影を持った学園長に訴える。
「確かに君のせいで死んだ………だけど君は最後の彼女の言葉を聞いたんじゃないのかい?なら今の君は死んだ彼女に報いているのか?」
俺は……彼女の最後の言葉を思い出す。
『ありがとう………あなたは何も悪くないわ………だからこれから…これから未来のある人たちに……優しく付いてあげて?………私にしてくれたように………』
彼女の最後に残した言葉……これがここに来た理由の一つである。
俺と彼女……未来霞と約束したことを守るため、未来ある学生と言う立場に戻ったのだ。
「まあ、あんな幼い時から戦場に出てた君はここで色々と学ぶべきだよ」
未来来未、神隕学園学園長、未来霞の妹だ。
ここに来たのも彼女に勧められたから……未来家にはお世話になりっぱなしだ。
「が、学園長!」
色々な感情を持ちつつ俺も落ち着いてきた時、1人の教師が来未を呼ぶ。
「日本海に大量のインブルが!!まだ生徒達の避難が済んでいません!!」
「!?」
まだ俺達は竹島にいる。
まだ生徒達は避難中。重傷者は優先して避難させたから大丈夫だが軽傷者はまだ竹島にいる。
「どの方向から来ているんだい?」
「き、北からおよそ1000は……」
1000か………さほど多い訳でもないし来未さんがいるなら負けることはないだろう。
まあ、どれだけ被害が出るか分からないけど。
「そうか……その程度なら紅君行くよ」
「はい、わかりました。」
そりゃ俺も強制連行ですよね〜
「なんなら頭冷やしてから来てもいいんだよ?」
この人も存外食えない人だ……
「大丈夫です。それよりさっさと片付けましょう。それに来未こそ大丈夫なのかよ?」
「戦闘モードになるといつも通りになるんだね?」
「戦場で立場なんてゴタゴタ言ってたら早死にしますよ?」
「ふふっ、君はその方がしっくりくるよ……さあ行こうか。生徒達が心配だ」
俺と来未は外へ出る。