第拾話
「さあ!楽しもうぜ!」
俺はレーヴァテインを巨大インブルに刺しながら翼のあるところまで走る。
『ギャァァァァァ!』
背中を切られてか、巨大インブルは悲鳴をあげる。
巨大インブルが暴れ回る中、落とされないように走りなんとか翼までたどり着き、片方の翼を切り落とす。
『ギャァァァァァ!グギャャャ!』
2度目の悲鳴。いや、更にひどい悲鳴が鳴り響く中、まだ避難していない人達も混乱状態に陥っていた。
「うぅ……助けて……助けてよ……」
「もう嫌だよ……こんなの嫌だよ……」
避難用の船の中の皆は絶望の顔に染まっており、希望なんて一切抱いていなかった。
「皆!早く避難しろ!殺されるぞ!」
「どうせ、ここで死ぬか後で死ぬかの違いでしょ!?」
「私達はどうせインブルには勝てないんだから!」
「うわぁぁぁん!」
隊長の避難の呼びかけに、生徒達は全く動く気配はなかった。
『ギャァァァァァ!グギャャャ!』
皆が絶望に浸っている時、紅は超巨大インブルの翼を切り落とし、地面に落としていた。
その光景を見た時、彼女達には大きな希望を得たのだった。
「みんなも見ただろう?私達には神器がある。神器があれば、インブルを滅ぼせるかもしれない!希望がある限り、私達は逃げちゃダメなんだよ」
「でも私達はあの3人みたいな力は無いし………」
「その力を付けるために今、君たちは学園に居るのでは無いのかい?」
「それは…………」
「君たちには見込みがある。そして………もしかしたら、彼がいれば本当にインブルを絶滅出来るかもしれない……だからこそ!ここで諦めたら駄目だ!」
隊長からの熱い熱弁に生徒達は希望を持った。
そんな隊長でも後ろめたい気持ちがあった。
「(君たちみたいな若者には任せず、本当は私達の代で日本の周りのインブルを殲滅するはずだったのだ………あんな事件が無ければ………)」
隊長はグッと拳を握りしめ、今は生徒を守ろうと思ったのだった。
「未来さん!下がりましょう!もう十分時間は稼いだはずです!しかも奴は動けない!今が引き時です!」
「そうだね!皆に合流しよう!」
「了解です。翠!退け!」
「待って!今なら殺せる!」
学園長と、紅は後退に賛成だったが、翠は戦場の経験不足か引き時を分かっていない。
「バカ!相手はどんな攻撃をするかわからない未知のインブルなんだぞ!」
だが、紅の忠告も今の翠は聞く耳を持たない。
「くそっ!約束しただろうが!」
そう言って紅も翠の方へ向かう。
「全く。仕方ない生徒達だ……」
やれやれと言った顔で学園長もまた、インブルの方へ向かう。




