大和の過去
大和・神崎話です。
「おい、やまちゃん、あれ見てみろよ!」
神崎と一緒に教会の絵を描いていた大和は神崎が突然教会の上の方を指差して叫んだのでその指先を追った。
教会の上の鐘がある場所におじさんが歩いていき木槌のようなもので鐘を大きくぼーん、と叩いた。腕時計で時間を確認すると午後の0時
を指していた。大和はフフっと笑うと自分が描いていた絵に鐘を叩いた教会の関係者らしき人物を描き足した。
そのおじさんは満足した表情を浮かべ踵を返して歩き出すと大和達の視点からは見えなくなった。その様子を一挙手一動見ていた神崎が言った。
「へー、ああやって人力で鐘を突いてるのか。いいもん見させてもらったわー。」
大和もうんうんと頷くと神崎の腹の虫がぐうぐう鳴き始めたので彼らはコンビニで買ったサンドイッチを食べ始めた。大和のリュックから
車内で読んでいたバイオレンス漫画が出てきたので気になっていたことを神崎が大和に聞いた。
「やまちゃんはほんとそーいう漫画好きだよなー。なんかそーいう世界にハマるきっかけとかあったわけ?」
大和はフフっと笑ったあと聞きたい?と言ってきたので神崎は教えてよ、と言った。
「俺が幼稚園の時近所のアパートで殺人事件があって...犯人は捕まったけど死体が見つからなかったんだ...俺が1人で近所の公園で遊んでいたら...ブランコみたいにぶら下がったタイヤの中に...女の死体の一部が...」
「イヤーーーーーーーーー!もうやめてッ!ほんとッそういうの、わたしムリだからッ」
神崎と大和と一緒に昼食を食べていた山田蛍子先輩が大和の話の途中でいきなり大きな声で叫んだ。神崎があぜんとしていると蛍子先輩は
耳を塞いでどこかへ走り出してしまった。ニヤニヤと笑みを浮かべている大和に神崎は尋ねた。
「なあ、いまの話、ほんと?」
「う・そ」
口を突き出して大和は笑った。神崎はやれやれ、と額に手を置くとすっかり遠くの方に逃げてしまった蛍子先輩を呼び戻しに行った。
仕事が忙しいですが、頑張ります!




