↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
23/36

サイト、色々考える。

今回はあのキャラが登場します。

キャンバスを作った次の日、サイトは絵の題材を探しに函館に行くことにした。


駅のホームで電車を待っていると「あれ?サイト、サイトじゃね?」と声が聞こえたので振り返ると見覚えのある姿があった。


「おれ、おな中の武田剛士(たけだたけし)。覚えてる?いやーなつかしいなぁ。」


サイトに指をさす武田くんを見てサイトもあぁー、と指さしながら立ち上がった。中学の同級生の武田くんは地元の高校に進学したとメール


で聞いた。中学時代とは違って少し垢抜けた顔をし、矯正器具の付いた歯を見せて笑った。


「俺達ライブハウスの帰りなんだ。サイトはこれからどこに行くの?」


武田くんは後ろにいた2人に振り返りながら言った。ああ。武田くんは高校に入ってロックに目覚めて軽音楽部に入部したんだっけ。


4月に受け取ったメールの内容を思い出し、函館に行くよとサイトが答えると「サイトはなんか部活やってんの?」と体臭を消すために


ふった香水の匂いを撒き散らしながら武田くんが聞いた。


「俺、学校で美術部に入ってるんだよ。今日はこれから絵の題材を探しに函館に行くんだ。」


武田くんが友達と顔を見合わせる。「おれ、なんか悪いこときいちゃったかな?」ガラの悪そうな武田くんの友達が含み笑いをする。


「美術部といゃあ、クラスではぶられた奴らのすくつじゃね?」


「ばか。すくつじゃなくてそうくつ、っていうんだよ。気にしないで。こいつちょっとばかなんだ。またなんかあったらメールしてよ。じゃあな。」


そういうと武田くんは仲間のふたりと一緒に去って行った。武田くん、すっかり変わったなぁ。俺も高校に入って少しは変われたかな。


サイトは電車の席に座り、景色を眺めると考えにふけった。世間一般から見て美術部の印象ってどうなんだろ。やっぱり結果を出せなくても


運動部やってたほうが就職に有利だろうし、絵を描くよりも音楽やってたほうがもてるに決まってる。「コミュニケーション能力が無い人間


は社会でやっていけない」ということを就職相談の職員が言ってたのを思い出した。確かに毎年1回戦負けのサッカー部員でも体を鍛えて


いれば体力があるし、先輩、後輩に囲まれていればコミュニケーション能力とやらも自然につくだろう。一方、美術部員はどうだろう。


良い絵を作り上げるには自然と自分の世界にこもらなければならないし、ほとんど1日を部屋の中で過ごすため不健康極まりない。


そう考えると笑みがこぼれた。まったく正反対じゃないか。会社に入ったら自分の世界観を振り回す新入社員なんて上司からみたら使いづらい


ことこの上ないし、大和のような受け答えをするヤツなんて面倒臭くて相手にされないだろう。本当、俺達のやってる事って時代と逆走してるな。


サイトは自虐的に窓に額をこすった。でもこれって、すごいロックなことじゃないか。なかなか他の高校生にはできないことだろ?


当事者であるサイトは思う。問題なのはこれが一般社会では良く理解されてないことだ。「絵を描くだけじゃ食べていけない」詠進先輩が


言っていた本当の意味がわかった気がした。そんなことを考えていると電車は函館に到着した。改築された真新しいホームから出ると


スカっとした暑さが出迎えた。サイトは合宿の時に訪れた函館山を目指して歩き始めた。

武田くんに関しては第1部にメールの文章だけが少し登場してます。今回の話は作者が仕事場で口すっぱく「周りとコミュニケーションを取れ」と上司に言われているのでムシャクシャして書きました。後悔はしていません(笑)。真冬になりかけてますが、作中は真夏の日の出来事です...今年の夏を思い出して読んでください。なんつってね...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。