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HR

クラスに戻ると1年3組の生徒達は各々に夏休みの計画を友達と話し始めた。前の席の大和と馬鹿話をしているサイトにクラスメイトの山里マキちゃんが話しかけてきた。


「サイト君。あのね、明日近くで花火大会があるんだけど一緒に行かない?もちろん他に何人も来るけどみんなにサイト君を紹介しようかなぁと思って。...どうかな?」


マキちゃんはサイトが自己紹介した時に口に手をあてて笑っていた女の子だ。クラスで一番の人気物で、清楚で性格の良い生徒として


先生達からの評価も高い。サイトはいきなりの誘いにどうしていいかわからなかったがこう答えた。


「あ、あしたなんだけど、俺達美術部、合宿があるんだよね。だから明日はちょっとなぁ、」


サイトが頭を傾げていると大和も残念そうな顔をしていた。お前は誘われてないっちゅーに。クラスを歩き回っていた高木秀院が口を挟んだ。


「マキ、そいつらは鉄の絆で結ばれた仲だからあんまり無理に誘わないほうがいいぜ。そんなヤツラより俺達と一緒にいこーぜ。」


秀院が親指を後ろの方に指すと、後ろに座っていたチャラチャラグループがうぉーい、と声を挙げた。マキちゃんは恥ずかしそうに


「残念だね。また誘ってもいい?」とサイトに聞いた。サイトは「あ、ああ。いいよ。」と動揺しながら答えた。いわゆる「社交辞令」と


いうやつだろうか。マキちゃんがチャラチャラグループの方に行くと大和がちっ、と舌打ちをして、


「手淫のやつ...調子こきやがって...コクのはマスだけにしとけよ...」と珍しく怒りを露わにした。大和は授業中に秀院に


「とやまけん」というあだ名をつけられてから秀院とチャラチャラグループを敵視するようになっていた。ぶつぶつと不満を言っている


大和をなだめていると教室のドアが開き担任の寺田先生が入ってきた。日直の木田君がみんなに静かにするように言い、ホームルームが始まった。


「えー、みんな明日から夏休みが始まるわけだがしおさい高校のひとりとして自覚を持った行動を、」


「せんせー、今日はみんな予定があるんで短めにおねがいしまーす。」


秀院が先生を冷やかすとクラスに笑いが起きた。これにはサイトも一緒に笑った。寺田先生の長話のせいで何度部活に行くのが


遅くなったことか。寺田先生はごほん、と咳払いをすると


「そうだな。今日ぐらいは先生も大人しくしてよう。宿題は配ってあるな?それじゃ解散!とりあえず先生に迷惑をかけるような事だけはやめてくれよな。」


先生が言うとはーい、と誰かが言い、クラスから勢い良く生徒達が出て行った。サイトも大和と一緒に美術室へ向かった。今日は大島先生と


ノマ部長から明日の合宿についての説明があるそうだ。高揚した気分を抑えられない生徒が廊下で大声ではしゃいでいた。

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