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メンズグループのオーディションに女だけど応募したら、推しと同じグループになっちゃった。  作者: タッピー


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貂塊朱連

「っなんのことかな?」

まずい、顔に出た。


「誤魔化さんでええ。ただの興味本位や、深い意味はないで。」

ボスらしき男はそう言いながら俺の縄を解いた。強く縛られすぎて手首が痒い。


「俺は貂塊朱連てんかいしゅれんのボス、朱熾あけおきや。」

朱熾は一度立ち上がって縄を解くと、またどっしりと椅子に腰を下ろした


「俺はこの組を成長させたいんや。貂は小さくても塊になれば虎だって倒せる。はぐれもんが集まったこの組がなくなったら、あいつら行き場をのうしてしまうんや。……だから、悪役は俺一人でええ。厳しくて嫌われても、居場所を作らなあかんのや。そのために、勢力のある北狐ほっこを上手いこと使わせてもらいたいんやな。」

意外と仲間思いなんだ。さっき部下を蹴ったのも、バラバラな奴らをまとめるため・・・。覚悟したとはいえ、孤独で辛いだろうな。


「何話してんのやろな、俺も」

自嘲気味に笑う朱熾。その姿を見て、少し緊張がほどけた。相手がこれだけ話してくれたなら、こちらも返そう。自分の頭の中を整理するためにも。


「俺はたしかに女だ。男装してるのは、声が低くて背が高いから女らしくないってずっと言われてきて、それならいっそ活かしてやろうって感じで。まぁ、成り行きだよ。」

「・・・そこ、座り。」

地べたに座り話すのを見て、朱熾が声をかけてくれた。軽く会釈して朱熾の前に座る。


「そんで会うたんが北狐っちゅーことか。」

「ああ。あいつは俺にとっては東狐とっこで、偽名でも俺は本名だって思ってる。あいつはいっつも自分のこと話さないし素を見せてくれなし苦手だけど!大切な仲間メンバーなんだ。」

愚痴のところは感情が高ぶって息継ぎ無しで早口で喋ってしまったけど、最後はしっかりと落ち着けた。


「そうか、東狐か。あいつもあいつで、難儀な生き方しとるんやろな」

その時、朱熾あけおきのスマホが震えた。


『脅迫文送りました。40分後くらいには来るのではと思われます!』

部下から連絡が入っていた。


「時間や。悪いな、部下の前なんや。形だけ、縛らせてもらうぞ。」

今度は、先ほどとは比べものにならないほど緩く縛られた。作業の間も、朱熾と言葉を交わす。彼はきっと、誰とも本心で話せなかったんだろう。


「女ということは言わん。手ぇは出させへん。安心しぃ。」

「・・・ああ。ありがとう。」


朱熾が鍵を開け、部下たちを部屋に入れた。途端に、一人が息を巻いて朱熾に提案した。

「ボス! こいつ、アイドルらしいですよ。少し痛めつけてから北狐に送りましょう。その方が、交渉も有利に進むはずです!」


部下の一人がニヤニヤしながら俺の髪を掴み、顔を覗き込む。

「ハッ、クソが。」

引っ張られる髪に顔をしかめるが、目は逸らさない。俺みたいなガキに鼻で笑われたのが、よほど頭にきたんだろう。力任せに髪を引かれ、立たされた。


「おい、黙って聞いてりゃ・・・。調子乗んなよ!ボス、こいつ一発かましていいっすよね?!」

「っ・・・。」

ダメだ。ここで朱熾が『だめだ。』なんて言ったら、ボスの示しがつかなくなる。俺が、なんとかしないと!


「・・・恥ずかしくないのかよ。」

俺の低い声に、部下の動きが止まった。

「あぁ?」

「多勢に無勢で、縛られてる相手をいたぶって・・・、対等に勝負もできない弱虫なのか?あんたたちのボスの顔に泥を塗ってるのは、どっちだよ!」

瞳に宿る、圧倒的なまでの『覚悟』。一瞬、部下たちその気迫に気圧された。


「・・・こいつ、ガキのくせにっ! 調子に乗るな!」

逆上した部下が拳を振り上げる。やばい!

ボスが椅子を蹴り、立ち上がった。

「待て、手ぇ出すな。そいつは俺の__」


「___命令や、言うとるやろ。耳、腐っとんのか」


朱熾の言葉を遮るように発せられた言葉、部屋の扉が凄まじい衝撃音と共に吹き飛んだ。

爆風と埃の中から現れたのは、冷てつく殺気を全身から放つ東狐だった。

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