同期の絆
1500年前から、この世界には魔術師と言われる人たちが存在した。
魔術師は、神との戦争を見えないところで、続けてきた。
傲慢な神、暴力の神やいろんな神と戦ってきた。
正確に言えば悪いことをした神いわゆる、下界に落とされた神が腹いせに地球を滅亡させようとしているため、それを止めるために魔術師が戦っていたのだ。
魔術と言うのは言霊という能力で呪文を唱えることで術が使える。
それでも、段々と言霊の能力を持つ者が減り始め、術師も数が衰退していった。
今では、世界に一人いるかいないか世界的にはそうなってるらしい。
でも、実際は一人しか居ないのだ
ーー イチノセ タクミ ーー
「ザムが孤独?」
「あぁそうだ」
タクミはまだ刀を構えている
きっと昔の仕事の癖で警戒を解かないのだろう。
「お前は、随分あの子の事を心配してるんだな」
「心配も何も元メンバーだし、入った系列順で言えば僕の先輩だ」
そう言って刀をしまう
ジャキンと
金属の擦れる音がし、ナスティアのほうを振り向く
「私の事を復活させたのも孤独の魔女だ」
「復活?」
神の化身ナスティアは、1200年前に一夜で国を崩壊させ、数多くの人々を不安にさせ、数多くの命を奪た。
その時にいた、魔術師たちによって封印された。
「ザムは何をしようと考えてるんだ?」
「知らないよ、でも、孤独の魔女は西の方角に行くと言ってた」
西?何をしに西へ行くんだ
まあ、西に行くんだ場所は掴んだ
「神の化身 ナスティア!協力しろ さすれば生かして封印してやる」
「神が人間と手を組む?」
ナスティアはしばらく考えた
(断ったら、斬ればいいだけそれが僕の仕事だ)
「いいだろう、孤独の魔女を探そうか」
ニコニコ顔で言った
(変な動きをしたら、敵になる、情は湧いてほしくないな)
「孤独の魔女なんて言わないでね、ザムっていう素敵な名前があるんだから」
「孤独は孤独の魔女だよ」
「斬るよ?」
ナスティアは、両手を顔の近くに上げ降参を示した
(ザムは、何しに動いてるんだ、めんどい神とかを復活させてるし)
神の化身 ナスティアとの戦いは数日を費やした
実に、無駄な時間だった
ーー クロ、ガルバ、シエル ーー
あれから何日経ったのだろう
ガルバの怪我の状況があまりにひどいので俺らは、ずっと洞窟にいる。
食料はなんとか繋いでいるって感じだ
もうすぐで、底をつきそうなのでそんな悠長に構えてられない。
ガルバの状態が酷く、シエルが付きっきりで、看病したりご飯を食べさせたりしていた
その間に、俺は洞窟を探索していた。
前の場所つまり、ナスティアが居た場所はいつ、崩壊してもおかしくないので奥の方に避難してきた、でも、神は俺らを見放したのかもしれない、実際に神に攻撃仕掛けられたからそれしか言いようがないが。
奥の方に避難したらこっちの方が崩落し俺たちは閉じ込められてしまった。
助けを呼ぼうにも、聞こえないだろう
それに、コロン達が助けに来てくれたらいいのだが、ウィルスが怪我をしているのだろうから
多分一旦、仮基地に戻ったろう。
こっちから、抜け出せる方法がないか探してるところだ。
「クロー」
遠くから、コロンが叫ぶ
洞窟だと、叫ぶとすごいうるさい
自分の息遣いも微かに反響する
(てか今思うけど、ここずっと洞窟にいるから、外出た時太陽光絶対まぶしいだろう)
お日様の光を浴びるのも大事っていうし、心がポカポカするから、早く出よう
いや、さっさと出よう、マジで出よう
「そっちに何かあるの」
「いや何もないよ」
笑顔で答えながら、シエルの元に向かって歩きだす
ここ毎日、シエルはガルバの看病をしている
ナスティアに受けた、攻撃でだいぶ体が傷んでいるんだろう
ナスティア…神と名乗っていたが何で急に攻撃を仕掛けたんだ
まあ、最初に切りかかったのは、ウィルスのほうだがそれでもおかしい
「シエルは、ここの石や岩などを壊せないの?」
俺は壁にそっと手を触れて言った
ガルバの能力は、軌道をずらしたり、の反転という能力
一方、俺の能力は触れたものの形や性質を思った通りに変える能力
でも、数秒でもとに戻るし、生物には効果はない
使えないっていえば使えないが、人を守ることは可能だろう
事故の時も、能力を使えばレインは助かったのかもしれない。
「ごめんね、私には…無理」
シエルは、悲しそうに答えた
あまり、答えたくない事だったのだろう
人には人の事情があるんだ、無神経に聞くんじゃなかった。
また、シエルを困らせてしまった。
「いや、気にしないで、僕のほうこそごめん」
頭を下げても一人の女性を悲しませたのは変わりない
シエルは大事な人だ、悲しませないようにしなくては。
「それよりクロ、どうする?」
どうする?この言葉はここにきてよく耳にするな
俺はこの先をどうする?
ここで、何をして生きるのか、何を目標にして
これが今の問いだな
「てか、クロの能力で何とかできないの」
何とかか、できないだろう…は!
ピコンっという効果音がふさわしい
とてもいいことを思いついた。
(ぬひひ)
シエルがゴミを見るような目で俺を見てくる
(キモイのは自分でもわかってます、さーせん)
俺の作戦を放そう
まず、俺の能力は、触れた物の性質と形を思った通りに変えることができる
つまり、ナスティアによって、崩落した場所の岩などの軽さを変えればうまくいくとおもう+数秒で形や性質がもとに戻るんだ、それよりも通路の場所の邪魔にならないところに置けばいいと思った
「この、作戦ならうまくいく……と思います」
元気に声を上げて言った
シエルは心配していた
俺の考えは穴だらけなんだろう
信用してほしいな
「クロ…僕も手伝うよ」
「ガルバ…」
ガルバが後ろから小さな声で言った
痛いであろう体を起こし歩いてくる
「クロ、その作戦には穴があるよ」
「穴?欠陥」
この作戦には何が足りないのだろう
「足りないのはなんだ」
「みんなで、やらなきゃ意味がない」
一人よりみんなでって事かな
ガルバの体調が気になるが、無理はさせないほうがいいと思ったんのだが
一応、心配してくれてる
改めて作戦はこうだ
俺が、崩れたものの重さを軽くする
ガルバが、能力を使ってどける
この作戦では、ガルバの体調もあるので何日かに分けて行うことにした
具体的には、食料があと三日分、人間は水なしでは3日
食べ物なしでは、7日は生きられる
食料+水を失った場合を想定しい、あと、四日でここを抜け出す計算だ
「じゃあ、やるよガルバ」
「あぁ…頼む」
ガルバの体調がますます心配だ
昨日に比べだいぶ顔色も悪くなっている
(大丈夫か?ガルバ?)
といっても、ガルバの事だきっと大丈夫というに違いない
「ふぅ」
俺は、障害物に手をつき言葉を言う
普段は、別に言わなくていいのだが、今回はガルバとの共同作業。
俺の、思ってることなどが分かるわけないから、今日は分かりやすくいう
そういえば、二人を助けるときに俺って、言葉を出して言ってたっけ?
まあ、今はどうでもいい
ガルバに、手を上げる
(いきまーす)の意味は全国共通なのかな?
「土よ、土よ、いま我が…」
言いかけるタイミングで地面が大きく揺れた
「クロ、下がって!」
「あ…うん!」
一瞬の事で戸惑って固まったがシエルの叫び声でハッと我に返り
指示に従った
大きな音が辺りから聞こえてくる
ナスティアなのだろうか
もし、ナスティアだったら、完全に負けてしまう
だんだんと音が近づいてくる
ドン、ドン、という鈍い音
やがて、大きな音は止まり声がする
「ここらへんか?」
「うん、ここだと思う」
「合ってますか」
誰かは知らないが何かを話している
合っていますか?
宝を探しに来た奴だろうか
「まあ、ここも壊してみるか!下がれ」
男の声がはっきりと聞こえた
こっちに来る
やばい心の中からそう思った
ドカーン
大きな音と共に三人の人影が見えた
「よう、落ちこぼれ」
そう言って笑ったのは、ウィルスだった
そうか、ウィルスの能力で壁を壊しながら進んできたのか
なんて、脳筋な考え また、崩落したらどうする気だったんだ
「クロ、ガルバ、シエル迎えに来たよ」
コロンが元気よく手を振っている
シエルは、ガルバの肩をもっていたので、逆のほうの手で振り返した
「よう、待たせたな」
「ウィルス、怪我は…大丈夫なのか…」
「あんたに、心配されたかねぇな」
ウィルスは、ガルバの肩を取り続ける
「遅くなって悪かったな、リーダー」
ウィルスとガルバは、いつの間に仲良くなっていたんだ。
俺もウィルスと仲良くなって三人で話でもしたいな
「クロ、ごめんね、遅くなって」
嫌、いいんだ、来てくれてありがとう
心の中は、感謝の気持ちでいっぱいっだった。
俺達は、皆で助け合いながら洞窟を出た
洞窟の外には一台のトラクターが置いてあった。
土だらけで、今にも壊れそうな
レトロなトラクターだ
「このトラクターは?」
ガルバはだいぶ元気になった。
良かった心からそう思う
「いやー、なんか遠くの農村からもらってきた」
「もらった?」
「いやー隣の村の住人もみんな消えてて」
なるほど、借りたではないのか
まあ、後から返しにくればいいか
「で、誰か運転できる?」
コロンはみんなの顔を見て言った。
シエルは、手を挙げた
「私、運転できるよ」
「免許は?」
「持ってるけど今はない」
無免許運転になってしまう
良い子はマネしちゃダメなやつだ
ガルバとウィルスの健康が心配だったので、申しわけないが乗ることにした
罰金は科さないで、点をくれないで
トラクターは運転席と助手席が前に二台
後ろに、資材を運ぶためにある台に後の人達が乗れるみたいだ。
ガルバは横のほうがいいらしいから台に横になっている
シエルは、運転ができるので前
何かあった時のために俺とカナデルが後ろ
コロンが助手席となった
ウィルスは、ガルバの面倒を見ると言って後ろになった
ほんと、ウィルスとガルバは仲が良い
しばらく走ってると、山賊が現れ、俺らのトラクターを追いかけてきた
「まて、コラ!!」
「行きたきゃ、金出せ」
くそ、金は持ってないし
物凄い、モブ臭くさい
「どうする、やるか?」
ウィルスは、戦闘態勢に入った
それを解くように、ガルバがいう
「追い払ってくれ」
カナデルと目が合う
また、協力をするのか、ミスをしないように頑張ろう
「俺が、土を塵にするから」
「私が、風で飛ばす」
簡単な追い払い方でいいと言われたので実行してみる
荷台に土がついていたので手に持つ
「いい?」
「うん」
土を手に持ち言い放つ
「土よ、我が目の前にて塵となれ」
普段はここまで考えなくていいんだけど、なんせ人前なので恰好つけている
ダサいとは自分でわかる
「暴風」
カナベルが放った物は
一直線に、山賊たちに向かっていった
「うわ、目が」
「クソ、風が強い」
カナベルの攻撃により
山賊たちは足止めを食らい
撤退を余儀なくされた。
ドンマイ 山賊たち
風を放ったおかげか、トラクターも少し加速が出た
これが、カナベルの能力
なんとすごい
「カナデル、元無者なんだね」
「うん」
ガルバが優しそうな声色でカナベルに話しかけた
元無者と一目見るだけ分かるとは、ガルバは相当人を見てきたんだろう。
俺には、違いが全く分からない。
いつか、俺にも見分けれたら、いいと思う
今日はいい一日だった
ジェオラは見てくれていなかったけど、俺はシエルとガルバを守れたと思う
少しは成長をしてのだろう、でもこれはまだ一歩に過ぎないというのは俺が一番わかっている
ナスティアという、強い神の化身?に秒で敗北に追いやられたが誰も失わずに今帰れているのはとてもうれしい事だ
ジェオラはこの件ではっきりと俺の処遇を決めると言っていた
ただ、行けと言ってたので、試験内容が全く分からないでいる
何をしたら合格で、何をできなかったら不合格かもわからない
俺はこの先どうなるのだろうか
「合格だといいな……」
俺は自分で言った言葉なのかもわからないほど考えていた
俺はまず、向いてるのだろうか
そもそもこんな俺を皆はどう思っているのだろうか
帰りたくないそう頭に浮かんだ
だって合否の結果をもらったら緊張するだろう
ジェオラに何と言われるだろうか
そう思いながら、アジトに到着した
アジトの前には、ルナさん、ケルスさん、ルークさんにキルエさん、クレアさんまでがお出迎えしてくれていた。
ジェオラはいない
最初に思ったのはそれだった
きっと、この結果を察しろというような感じがしてしまう
最初に、これまであったことを話した。
向かった村だけではなくあそこ近辺の村の住人はみな消えていること
神の化身 ナスティアと名乗る者との遭遇したこと
この二つの事を細かく伝えた
「神と名乗る……」
「うん、ルーク何か心当たりある?」
「いや、何で俺だよケルス」
ルークさんは物知りだ色んな事を知っているがこれに関しては知らない
ケルスさんも分かってて聞いたんだと思う
「まあ、どっちにせよ、皆が無事でよかったよ」
「ちなみに、明日僕がその現場向かうから、トラクター貸してね」
キルエさんが笑いながら言った
行くのかあそこに、しかも、一人で
「いやぁ~ケル、子供たちが無事で何よりだね~」
「そうだな、まずはお帰りだなお前たち」
人前でのデレデレは、変わってないんだなぁ
俺はあたりを見渡す
ジェオラは、きっとどこかにいるはずだ
でも、あたりにジェオラは、いない
ジェオラを探してるのに気づいたのかケルスさんが教えてくれた
「ジェオラは今、旅に出てる。」
「旅に出てる?」
ジェオラは、今ここにはいない
俺は、何のために任務に行ったか分からなかった
「ジェオラが戻ってくるまでここにいていいぞ。クロ!」
励ますように、ケルスさんが言ってくれた
心のどこかで、期待をしていた
ジェオラは、無事に帰ってきた俺達を褒め
俺にも褒めてくれるかと思っていた
でも、ジェオラは今いない
「すぐに、帰ってくるよ」
シエルが優しく励ましてくれる
それが今の俺には、辛かった