神の化身 ナスティア
「誰なんだお前」
ガルバの問いが反響する
謎の人影は笑いながら、答える
「私の名前は、ナスティア、万物の創造主 ヤハウェの化身である」
胸を張って自己紹介をする
ヤハウェとは、神様なのだろうか
聞いたことがない
「お前が村の人達を消したのか?」
ウィルスは一歩前に出て、ナスティアに問いただした
こいつが犯人だったら、村の人達を消す理由が分からない
『戦う』『隠れるな』そう心を奮い立たせた。
「おぬしらは、神の進攻を止める愚かな者のだな」
「神?」
ナスティアは、天を仰ぎながら答える
狂ったように
歳はそう若くはないでもそこまで老いてるわけでもないだろう
少なくとも俺よりは歳上だろう
綺麗な白い肌、透き通るような綺麗な髪
何色だろうか、透明のように美しくサラサラの髪だ
八頭身を超えるだろうか
いや、ギリ七頭身だろう
とりあえず、身長は高く、不気味なオーラを放っているのは間違いない
「進行とは何のことだ」
「おぬしらには分からんだろう」
神が人間に危害を加えるのか?
おかしな話だと思うが、この世界で起こっているなら納得する
「なんにせよ、お前が敵なのは変わりねえ」
ウィルスは、一瞬でナスティアの元へ飛び、切りかかった。
「待て!ウィルス」
というガルバの注意も聞かずに、
ウィルスの刃が届くよりも早くナスティアは、ウィルスの背後に立ち、首を掴み地面へ思いっきり投げつけた。
ドーンッ
とすさまじい響きと共にすさまじい砂埃と風圧で視界困難と立つのがやっとだった
それでも、ナスティアは攻撃をやめなかった。
ウィルスは、地面に体がめり込み白目をむき血を吐いている
「ウィルス!しっかりしろ」
素早く立ち上がったコロンとカナデルがウィルスの体を横にする
ガルバは壁に思いっきり体があたったのだろうか、立てずに蹲っていた。
「ガルバ大丈夫?」
急いで、シエルが救急箱を開けて救助に向かっていた
コロンとカナデルによって助けられたウィルスも何とか意識はあるようだ
「私の攻撃で戦闘不能になるのかおぬしら人間ども、何とも脆い」
嘲笑って俺たちに言う
クソ、一撃で壊滅だし、神とかなんとか言ってたけど
横暴な神様だよな
「お前らも、これで終わりだ」
そう叫んだ次の瞬間、ナスティアは天に向かって指を掲げ唱える
「世界に蔓延る人間たちよ、神の前で膝まづけ、」
黄色い丸い球体が回転をかけながら、大きくなる
「死ねぇ、人間共」
そう叫びナスティアは、黄色い球体を俺たちに向かって投げた
だが、ナスティアの攻撃は狭い洞窟で動きが止まった
「うぅ…」
最後に残っている力をすべて吐き出すように、ガルバが能力で攻撃を止めていた。
ガルバ・エドレーク、能力 反転 物理攻撃や生物の体を反転させるの能力
生物はこけさせたりしかできない、体の皮膚など臓物などをひっくり返すそんなグロイ事は出来ないらしい
「ウィルス…能力で重力を軽くしろ!…」
さすがに一人では対処できないのだろうか
俺も、コロンもカナデルもここの場面では役に立たない能力だから、見ているしかなかった。
「うるせぇ…しゃべんな…」
気絶を仕掛けていた、ウィルスは最後のちからを振り絞って能力を発動する
ウィルスの能力により、ナスティアが放った球体の重力を軽くしガルバの能力で軌道をずらした
二人の能力でナスティアの攻撃を止めていたが、ガルバが力尽き黄色い球体は天井へとぶつかった
空気よりも軽い、重力にしていたのか一気に 上へと上昇しぶつかった
砂堀が舞い、天井にぶつかったせいでがれきが降ってくる。
大きな石や小さな小石、様々な大きさの落石俺らに降り注いできた
「カナデルそっちを」
「はい」
二人は、ウィルスを安全な場所に運ぼうとしていた
ガルバ!、シエル! 振り返るとシエルは落石が頭に当たってしまい
倒れかけていた。
「シエル!」
叫んだ、だけで俺は何ができるの
蹲ってたって意味がない
また、見殺しにはしたくない
「シエル!!」
最近までは大声を出さなかったからだろうか。
声が、喉が痛い
でも、死んでほしくないそう思った
俺は、手を地面につけ叫ぶ
「土よ、大地よわが身を守り給え」
叫びながら、ガルバとシエルの元に駆け寄る
地面の形が、変形した。
俺とガルバ、シエルを包み込み
何層にも重なった土で俺たちは守られた
何年ぶりだろうか、自分の能力を発動し
初めてだ、人のために使ったのは
あの時は、ジェオラがいたから、安心感があった
でも、ここにはいない
それでも、誰かを守りたいから、誰かに「ありがとう」と言われたいと思えた
二人を見て思う。
生きてると
「シエル大丈夫か?」
「うん」
頭から血が出てる
すぐに血が出てる箇所を圧迫し止血をした
ガルバは、シエルが応急処置をした
今は、気絶しているようだ
しばらくしたら、何層にも覆われてた土の塊もやがて元に戻った。
硬くて歩ける普通の地面に
「ナスティアって言ってたよね?」
「うん、神とか言ってた」
万物の創造主ナスティア 詳細も分からず何のためにここにいたのか。
三人とも、はぐれた。
無事ではあるのだろうか。
何の怪我もないといい今はそう願うしかないだろう。
ーー コロン カナデル ウィルス ーー
「ウィルス、ウィルス」
カナデルがウィルスをたたき起こす
けが人にこんなことはいけないだろうが、心配だったのだろう
僕は今、洞窟の入口付近まで避難していた
ナスティアと対峙した場所からもだいぶ離れている。
「大丈夫かな…」
三人とも大事な仲間だから、死んだら悲しい
それにしても、ウィルスとガルバは実に協力できるほどに相性がいい能力なんだろう
ウィルスはちょっと嫌な奴だと思っていたけど戦闘面では計り知れないセンスを持っている
ガルバのやりたいことを分かっていたし、一瞬で能力を発動させる忍耐力もすごいと思った。
あの時二人以外の僕らは、救助か、観戦しかできなかった。
すぐにやられたけど、立ち向かう勇気はとてもすごいウィルスは本当に戦闘狂なのだろう
(僕も負けてられないな、って変な闘争心をたぎらせちゃった♪)
「いてて、クソ!」
ウィルスが目を覚ましあたりを見渡した
僕も気づいたので自然にウィルスのほうに体を向けた
「あれ、ガルバとあと二人は?」
「はぐれたよ、僕とカナデルは君の救助をしに君の元に向かってたから自然とこの組み合わせになった」
「何だ、そうかよ」
カナデルが怒り厳しく叱責する
「まずは、ありがとうでしょ?」
「はいはい、ありがとさん」
「なにその態度は」
この場でも喧嘩をするのか、仲がいいな
喧嘩するほど、仲が良いっていうもんね
「ところで、コロン今後はどうするんだ?」
ウィルスは僕に聞いてきた、何をする?
合流したいのは、山々だけどまた、崩れるかもしれない
でも、クロたちが心配だ、でも、ここで引き戻って命を落としたら元も子もないだろう
(う~ん、どうしようか)
「まあ、行かないなら、しばらく待ってみようぜ」
「待つ?」
ウィルスは、仲間意識がない奴だと思っていた
けど、案外大切にしている
ウィルスの評価はここまでにしてっと
ホントにこれからどうしようか
戻れば三人を助けることができるかも、でもけがをしたウィルスも一緒に行かせるには危険だし
はたまた、おいて探しに行くのはもっと危険だ。
どうするか、ガルバ、君ならこのピンチをどうやって打開する
ーー 洞窟にて ーー
「これ、食料は三人分あるから」
「ありがとう、シエル、君は気が利くね」
「いや、そんなことは」
シエルは、赤面し顔を伏せる
ここにきて、誰かを褒めたのは初めてだ
今日は、絶対に役に立つそう決めてたからな、自分以外の事はあまり眼中にないほど集中していた
この前の、ジェオラとの任務では酷い結果を出してしまった。
沢山の命と未来があった命を俺は見殺しにした
この出来事は、忘れないようにしないと
「あぁー…」
唸るような声がし、びっくりしたがただガルバが目を覚ましただけだった。
「ガルバ!大丈夫か」
俺は、ガルバに近づく
「ちょっと、うるさいよクロ」
「ごめん」
俺は叱られた、起きたばかりの人にかける声量じゃないからだ
ガルバは、頭と体を思いきり壁にぶつけたんだ
たしかに、そっとしておくべきだろう
でも、意識が戻ってうれしかったのもあるので許してほしい
「それより、コロンたちは?」
「あぁ、それなんだけど、はぐれちゃって」
コロンたちの居場所は今も分からない
死んでないでほしい、最悪な考えをしてしまった。
無事に避難しててほしい、ウィルスの怪我も大したことでないといいけど
「それより、クロ」
シエルは、ガルバに包帯を巻きながら聞いてきた
真剣な様子で
「さっきの、あれクロの?」
「さっきの…」
さっきのとは、あの地面の事かな、正式的に言えば土か
まあ、どっちでもいいのかもしれない
今、思えば初めて人に向かって能力を使ったと思う
最初ではないな、最初に使ったのは、たしか猫にだ
近所の神社にかわいい猫がいたので、一緒に遊んでたような気がする
可愛かったな、良くなついてたような気がする
人に向かって使った初めては、シエルとガルバか
友人を守れて光栄だ
今後も守っていきたいな
これを、レインにも使えたら、ここにはいないだろうな
「えぇ、何の話?」
「えっとね」
ガルバは状況がつかめていないようだった
シエルが話そうとしているので、俺はなんかうれしくてたまらない
自分の事を、すごくいいように話されると嫌な気をする人はいないだろう
ーー とおくの離れた場所にて
「ふぅ~なんか知らない人間たちがいたな」
ひと仕事を終えた、神の化身 ナスティアは暗い森を歩いていた
あの、短時間でここまで来たのだ
(それにしても、何であの村にきてたのか気になる)
ナスティアは一人で考え事をしていた。
何で、人間が来たのか
「わからんな」
(考えても分からない、神と人間の思考は全く違う、もし私の思考を読める人間がいるとすれば絶対に殺さなくてはならない。)
「まあ、その時は燃やすだけだな」
人間なんて所詮は…
風が、ナスティアの横をかすめる
その時、ナスティの目の前の木が倒れた
(風だけで直径12センチの丸太を斬り倒した)
結構な腕前だな
この綺麗な斬撃は一人しかいないだろ。
「何しに来た…剣豪の…イチノセ」
後ろを振り返ると、一人の男がいた
背丈は男としては小さいが、体格もよい
「死んだんじゃないのか?」
「…」
何しに来たんだコイツは不気味と思うなこいつは
「死んだのは君のほうだろ?ナスティア」
「ふん」
不気味に笑う
「ザムに戻されたのかな?」
「ザム?、マゴラの事か」
タクミは刀を腰から取り出す
「お前は何が目的だ」
「目的?君がそれを言うかね」
タクミは目的もなく生きてきた
そんな奴が目的などと問うことはできないのだ
「斬」
日本刀から放たれた斬撃がナスティアに向かって飛ぶ
タクミが放った斬撃は、ナスティアの頬をかすり
ナスティアは、血を出してしまった
頬なのだから、再起不能や戦いに支障が出るわけではないが、ナスティアは驚いていた
「貴様、何をする」
ナスティアは怒り、攻撃を始めた
「食らえ」
ナスティアの攻撃よりも早くタクミは間合いに入った。
ナスティアは攻撃をやめ、瞬間移動をし
タクミから、離れた
(ここからなら、あの男を殺せる)
タクミから離れ、攻撃を食らわせようとした
「ナスティア、君は遅いね」
タクミは呆れたように言う、まるで赤子と遊ぶ大人のように
すると、さっきまで目の前にいたタクミが今度は後ろにいた
「風迅」
後ろから、物凄く荒い風が吹き、ナスティアは地面に激突した
「響 改《ひび割れ かい》」
トドメを指すために、タクミはもう一度攻撃をくらわした
ドーン
あたりに、低音の音が轟く、ナスティアにめがけて雷が落ちたのだ
木々にまで当たったから、木々は燃え
焦げ臭い匂いがあたり一面に広がった。
静かにタクミはナスティアに近づく
ナスティアは焦げ、動かなかった
タクミは、喉元に刀を向ける
ナスティアは、まだ平気な顔をしていた。
「ザムの居場所を吐け」
「何で孤独の魔女を追いかけている?」
「孤独?」
刀をタクミは下ろした、でも鞘に居れるわけではないらしい
「お前は、知らないのか?」
「何をだ」
タクミは不思議そうに答える
ナスティアは、笑いながら話し始めた。
孤独の魔女 マゴラ・ザムについて
ーーコロン、カナデル、ウィルスーー
「結局どうするんだ?」
ウィルスは、大声で文句を言っていた
結局夜になっても、答えを導き出せてなかったのだ
カナデルは隣の町で食料を買いに行き、ウィルスは怪我をして動けず
コロンが看病という形になった
「どうするってそればっかじゃないか君は」
「だって、リーダーだろ、あんた」
いや、リーダーじゃなくても作戦は考えていいだろ
僕ばかりに責任を押しつけないでほしい
「君も少しは考えてよ、怪我をしてなかったら今頃は行けてたのに」
「悪いな、あそこで活躍しちゃって」
「まあ、攻撃は当てれてないけどね」
「はぁ?」
おっと喧嘩をしてる場合じゃないんだった
クロやガルバ、シエルに連絡を取れればいいんだけど
あいにく、持ち合わせていないから
捜索に行くのが、手っ取り早い
行ったほうが、いいのかもしれない
ウィルスは大丈夫だろう、男の子だし
早く会いたくて仕方がないのだ
「じゃあ、あした救出に向かうんですか」
「あぁ、このほうが手っ取り早いと思ってな」
手っ取り早いとはって思ってるだろうな
僕に指揮を取るなんて向いてないんだろうな
ーーー
「こっちでいいのか?」
「あぁ、こっちでいい」
僕らはいま、洞窟に入っている
クロ達を救出するためだ
「こっちの道であってます?」
「あぁ、カナデルこっちで合っている」
カナデルは心配していた
でも、大丈夫!
もうすぐで
「ほら、昨日と同じ場所だ」
そう、迷子になってしまった
昨日、今日ずっと迷子だ助けてくれ。
クロ達には、会えず同じ場所を行き来してるだけ
方向音痴にも度があるよな
自分で自分を叱った
「こっち、じゃないですか?」
「そうか?違うだろ」
二人もやけに真剣だ
特にウィルスは意外と心優しい奴だ
最初は、怒りっぽい奴だと思っていた
ただ、口が荒いだけだった。
「今日は、引き返そうさすがにこのままだと俺達のほうが危険だ」
「そうだな、不甲斐ない」
ごめんね、そう言ってきた道を引き返した
クロ、ガルバにシエル待っててね
絶対に助けるから。
ーーーー タクミ・イチノセ
「孤独の魔女?」
「あぁ、そう言われている」
マゴラが魔女と言われいるのか
マゴラはまだ若いぞ、魔女だなんて悪口を言われているのか
可哀想だ
「じゃあ、なんでお前は、マゴラと一緒に居ないんだ」
「それよりも、なんで『孤独』と言われているかわかるか」
僕は、マゴラと別れてから10年会ってもいない
孤独と言われてるのにはなんの理由があるんだ
皆は元気にしてるかな
ロムさん、ロミオさん、ザムにルナ、フィリップさんにボス
みんな、変わってないといいけど
また、皆で笑いたい