入隊試験 其の一
「五部隊?」
「あぁ、そうだ」
何で俺が五部隊?
選べるんじゃないのか?
「クロは、何で五部隊に入るんですか?」
コロンが、俺の聞きたいことを聞いてくれた
「まあな、いろいろ聞きたいと思うけど後はこいつに頼むよ」
一人の男が、ケルスの後ろから出てきた
「こいつは、ジェオラ・ピエロ 5部隊のリーダだ」
ジェオラ…とても怖そうな顔つきをしている
「こいつか?」
「そうだ、鍛えてやってくれ」
大きな、剣を担ぎ腰にはもう一本の剣を所持している
ムキムキな体をし、女性には持てるだろう
「名前は…」
「クロです」
「来い…」
吐き捨てて、ジェオラは出て行った。
「ついていきな」
ケルスにそういわれ、俺は病室を出ていく。
「はい?」
「だから、お前は能力使っていいから、本気で殺しに来い」
いつも訓練する場所にやってきた俺達
(クロ、コロン、ガルバ、ジェオラ、ケルス)
「真剣ですよ?」
「構わない」
「初めて持ちます」
ジェオラが、ケルスを睨む
(指導してないのか。このヤロウ)という顔で
首を横に振りながらケルスが訂正した
「その子、前の稽古で骨折ってるから、真剣も持ったことないんだ優しくしてやってくれ!!」
「はぁ」と深いため息をつく
(悪かったな、初めてで)
「とりあえず、始めるぞ」
「お、お手柔らかに」
集中しろ、相手はリーダの人だぞ
「はじめ」
ケルスの合図と同時に始まる
(ふと思たのだがいきなり、決闘って早すぎやしないか)
そう思いながらも、ジェオラを見るだが、瞬きと同時に目の前から消えた
(うそだろ…どこ行った?)
上を見上げると、約20m上にジェオラの姿があった。
怖い目つきで俺に向かって落ちてくる。
俺は、着地を狙って攻撃を打ち込む
そう作戦は、着地狩りだ。
(卑怯な作戦だが、許してくれ)
俺に向かって木刀を振り下ろすジェオラ。
相手の攻撃を剣で止めて、足を切ろうと考えていた。
ジェオラは、俺の剣を蹴って華麗に俺の3m前方に着地した。
俺は、素早くジェオラの元に踏み込もうとしたが、
俺の動きよりも先に、ジェオラが動いた
真剣で、切れるそう思ったのは束の間
ジェオラは、片手で真剣を止めた。
「馬鹿な…」
思わず、口に出してしまった。
剣を抜こうとしても、力が強く抜けなかった。
結局、俺は木刀で殴られまたしても、ベットの上で寝ていた
(おいおい、嘘だろまた戻ってきた。入院RTA世界記録更新だろこれ)
「痛ぇ」
体を起こし、窓に目をやるとジェオラがいた
「起きたか」
「おはようございます。」
何だか、ムスッとした様子でジェオラが俺に聞いてきた
「能力を、なぜ使わなかった」
「…」
仁王立ちして、さらに問いかけてきた
「いいか、マフィアは、マフィアでも人は殺す《・・》んだぞ」
「…」
「この業界に足を入れたんだ、一般から見れば俺もお前も
犯罪者集団の一人だ。」
ジェオラの言いたいことは分かる。
能力は、自分を守るためにある、
才能がある奴は、高みを目指すだろうけど
無能は、目指せない。
落ちこぼれは、したばかり向くんだろうな。
俺がそうだったから。
「いつか、自分も死ぬぞ」
「悪い人でも、死ななくちゃいけないんでしょうか?」
「は?」
震えた声で俺は、ジェオラに聞く
ベットから起き上がり、さらに言う
「何で、殺さなくちゃいけないんですか?」
「何でって、悪い奴には天罰が下るのは当たり前だ」
ジェオラは、怒っているのだろうか、
怖くて、顔を上げられない
「レイン…」
何か月ぶりかに発したこの言葉
今では、思い出すのも嫌になる。
「レイン?」
「死んだ人の名前です。」
「…そうか」
急に声色が変わり、ジェオラはため息交じりにこういったのだ
「入隊試験は、まだ終わりじゃない」
「終わりじゃない?」
秒で決着ついたのに?
「任務に俺と二人で行くそこで良い働きをしたら、入隊試験合格だ」
「良い、働きをしなかったら?」
「そこは、知らん」
任務に、二人で行く、良い働きをしたら合格分かりやすい、
試験内容だ。
「まずは、鍛錬だな、」
「はい」
稽古は、コロンとガルバにも手伝ってもらうか。
「あとは、人を殺せるかどうかだがな」
「…」
どんなに、悪い奴にも人生があるんだ。
少なくとも、マフィア《僕たち》が裁くことはできないだろう。
同種が同種を嫌うのもおかしな話だが。
ーーあれから一ヵ月がたったーー
俺は今、体力向上と剣術の訓練をしている。
後から、わかったのだがジェオラは新選組という組織の出だったらしい
ちなみに、何で俺が日本の組織に詳しいかって?
ある情報屋のおかげさ。ガルバじゃないぞ 決して
新選組、1863年に存在した治安を守る政府の組織とは別に
ジェオラがいた新選組は、いわゆる人斬りだったそうだ
子供や女は容赦なく斬る、治安を乱すのも仕事らしい
今の剣豪のイチノセ?という者が昔の同期らしく
その剣豪が、ルナさんの師匠だったらしい
今は、どこにいるのかもわからないらしい
とは言ってもこれを知ったからどうにもならないのは
言われなくても分かってる。
最近は、コロンとガルバが稽古に付き合ってくれてくれている
それぞれ、希望の部隊にい所属することができた。
(おめでとうーーーーーー)
といいたいが三人でお祝いするのは正式に俺が
加入してからすると決めた。
これまで、たくさんの修行を僕たちはしてきた。
三人で、いつか世界を旅したいそう思いながら、
語学の勉強もした。
野原でいま俺たちは寝そべっていた。
優しく、心地良い風が俺たちに吹いてくる。
「クロは、何でここにきたの?」
ガルバも呼び捨てで呼んでくれるようになった
「友達が事故で亡くなって、死んだ魚の目をしてる所にルナさんが来て、付いてきた感じ」
微笑みながら、ガルバの質問に答える
「コロンは?」
「家出みたいな感じかな」
「家出してきたの?」
コロンが家出か。
想像もつかない
「僕の両親、僕には興味ないみたいだから、」
急に声のトーンを落として話すもんだから
びっくりした。
もう少し聞きたいが、コロンにそんな事を聞くまで仲がいいってもんじゃないし失礼だから、やめておいた。いつか聞きたいな。
「二人とも、ちゃんと理由があるんだね」
「ガルバは何で?ここに来たの?」
「復讐でここに来たんだ。」
俺とコロンは起き上がり、ガルバを見る
「復讐?」
「うん、僕の家お金持ちだったからマフィアが、金目的で僕の両親を殺したの」
ザヲン・エドレーク
地主の一家でガルバの父
村では、みんなから慕われ、家族にもとてもやさしかった。
普通、権力一家などは、完璧を求めるが、ザヲンは逆だった。
ザヲンはガルバの祖父から物凄く厳しく育てられ、小さいころから、こうはならないように、
実の父親を反面教師として、育ってきた。
結局、結婚式にも結婚前夜の披露宴にも顔を出さず、心臓発作でくたばった
自分の子供たちには、自分の道を歩んでほしいという思いから。
勉強などの一般教養は教えていたそうだ。
だが、英才教育まではさせなかった。
ガルバも父が大好きで小さい時から父に付きまとっていたそうだ。
ザヲンもうれしかっただろう。
ガルバの地域にマフィアがやってきた。
一日で、楽園が地獄に変わったのは言うまでもない。
銃撃戦が繰り広げられていた。
赤い光が村や人を覆いつくし、子供のすすり泣く声や親たちの命乞いの声色んな音が聞こえてくる。
ガルバは、この時10歳だった。
「ガルバいい?必ずみんなと一緒に逃げるんだ、いいな」
ザヲンがアサルトライフルを片手に、ガルバの頬に手を当てて言う
「父さん…」
「ママを頼んだぞ、ガルバ!」
「父さん!」
ザヲンは、そう言って激戦区に走っていった。
朝起きた時には、ガルバは避難所にいた。
どうやら、救助隊が助けてくれたそうだ。
周りには、けがをした人や愛する人とはぐれたのか目を虚ろにした人
再会を喜び合う者、遺体の前で泣く人、ボロボロになっても避難民の援護に回る人
いろいろな人が、避難所に逃げ《来》ていた。
隣の棟には、負傷した人と残念ながら亡くなった人が来ていた。
ガルバは、足を引きずりながら棟へと向かって歩いた。
(お母さん、お父さん、僕はここだよ)
棟にはすでにたくさんの遺体が来ていた。
ガルバと同じ年の子も寝ていたのだ
探しに探したが、父も母の姿もなかった
(よかった、父さんも母さんも生きてる)
当時のガルバには分からなかったのだろう、身元が分からない遺体も運ばれているのを
次々と、運ばれてくるのを
夕暮れ時に、なっても運ばれてきた。
運ばれてる最中に、遺族の方たちがその遺体の元に駆け寄り涙を流していた。
「父さんたちは、生きてる」
不安に押しつぶされそうになり、ガルバは耐えきれなかった。
それでも、棟にはいないんだ。だから生きてる
自分に言い聞かせて、運ばれてくる人を見ていた。
夜になっても、運ばれてきたがだんだんと少なくなってきていた。
10分おきにたくさんの人が運ばれてきていたが
1時間おきに一人来るか来ないかになっていた。
帰ろうとしたとき、一つの遺体が目の前を通り過ぎていく。
白い布を被されてあったが、隙間から見えたのは…父の顔だった。
「父さん!」
慌てて追いかけ、泣きついた
「ちょっと離せ坊主!」
「坊ちゃん」
男と女の看護師が引きはがす。
ーガルバー
結局父は助からなかった。
医務室では、医師が何度も助けようとしたが、父、ザヲン・エドレークは息を引き取った
発見されたときには、女の子を体で包み込んで丸まっているところを発見された。
きっと父の事だ。庇って死んだんだろう
父のおかげで、女の子は助かったそうだ。
家族とも会え、父に感謝の言葉も言わずに避難所を出ていた。
「感謝くらいしてくれよ…」女の子にそう怒鳴りたかった。
でも、俺の言葉は全然届かなかった。
もう、言っても何も変わらないからだ。
あの後、母も運ばれてきた、命に別状はなかったが父が死んだショックで記憶喪失を患った。
頼れる所が、完全になくなった俺は、孤児院に行くこととなった。
ー孤児院を旅立つ前夜ー
母の病室にきていた。
母は、外を眺め遠くを見ていた。
「僕、孤児院に行ってくるね」
「…」
母は全く僕を覚えてくれてなかった。
久しぶりに、僕に発した言葉は今でも鮮明に覚えてる
「いつか、家族に会えたらいいですね」
そう言って、僕に笑顔を向ける
「そ…そうだね、会えたらいい…です」
うんとうなずくと母はまた外を眺める
最後に話したのは、これだった
マフィアの身勝手さで家族はバラバラにされた、憎しみから僕はマフィアに入った。
マフィアに入って、マフィアを殺す
僕を絶望に追いやった、マフィアで…
「復讐、叶うといいな」
クロが僕を慰めるように言ってくる
「クロは、もし大事な人が殺されて、殺した人が分かったら復讐するの?」
うーん、と1,2秒考えて笑顔で言った。
「分かんない、」
ここでクロが復讐するといっても、クロにはできないだろう
ークロ、君はどうせ人を殺せないのになんでマフィアになったんだー
大事な人の近くにいたのに何で守れなかったんだ、お前は…
ークロー
「怖い顔してどうした?」
ガルバが怖い顔をして、俺を見てくる
何か顔についてるかな?
「いや、なんでもないよ」
良かったいつものガルバだ
つらい経験をしたんだな、ガルバは、俺と同じだ。
「そろそろ、稽古の続きをしようか、クロ、ガルバ」
コロンは、何かと頼りになる奴だ。
いつも、先陣を切ってくれる。
ーコロンとガルバが木刀を構えるー
「さあ、始めようか。」
「いつでもいいよ。ガルバ」
二人の打ち合いはとても白熱する
俺の合図でスタートをする
ルールはこうだ。
どちらかが、相手の動きを封じ込めたら、勝ち
能力あり
この、二つのルールでいつも鍛錬している。
「よーい」
二人が息をのむ。
「始め!」
最初に攻撃を仕掛けたのは、コロンだった。
手から出す氷が地面を滑って、ガルバの元にいく。
「おっと」
ガルバにめがけて一直線だった氷は反転し別のほうへ行った。
ガルバの能力でコロンの攻撃の軌道をずらしたのだ。
「嘘!、でも甘い」
ガルバに跳ね返された氷は、ガルバの背後に回った。
ガルバは足を、氷で凍らされ、身動きが取れない。
「もらったよ、ガルバ」
高くジャンプをしたが、ガルバの能力で地面にコロンは叩き落された。
「ぐは、」
「僕の勝ちだ、コロン」
素早く木刀がコロンの喉ぼとけに向けられた。
ガルバの勝ちと思ったが、同じタイミングでコロンの剣先もガルバの喉ぼとけに向けられていた
「ひ、引き分け」
「ありがとう、コロン」
ガルバがコロンの手を取り引っ張って起こした。
「勝てると思ったんだけどね」
「僕も同じく」
二人とも仲良く笑う。
「さあ、次は…」
ガルバは俺と対決をしようとしてた
それを遮るように、ジェオラが口を開いた
「クロ、行くぞ」
ジェオラが、俺の背後にいた。
「行くってどこに」
「誘拐犯と、誘拐された子供を助けに行く」
二人で任務か、息苦しいな
ジェオラはたまに俺に稽古をつけてくれる。
それでも、容赦はなく当たれば、大怪我は当たり前だろう
当たるところが、悪ければ間違いなく「死」
人間死んでもいいと思っても死ねないのが事実。
しかも、稽古中に死にたくはない。
ダーウィン賞なんて、ごめんだね!
「今すぐ発つぞ準備しろ」
そんな急に言わないでくれよ。
愚痴を吐きながらも俺は、荷物をまとめるために自室に戻る。
もし、人を殺す仕事なら嫌だな、まあ、ジェオラは分かってくれるだろう
多分!!!!!!
ルナさんやケルスさん達も見送ってくれた。
コロンとガルバと離れるのは嫌だな。
「これは、入隊試験の一部だからせいぜい頑張れよ」
「分かりました。」
ジェオラは、いつも何かに怒っていた。
確信はないけど、そう思えた。
自分の事を全く話さない。
列車に揺られ、向かい合う席に座っていた時の事だ
ある駅で、停車したときジェオラは、迷わずお婆さんに席を譲った。
大きな荷物を持っていて、お孫さんなのか小さい男の子と一緒に乗っていた。
人斬りをしていた人とは思えない。
「お前は、人を殺したくないといったな」
「はい、殺したくないです。」
今日のジェオラは、どこか優しいように感じた。
「ジェオラさん、どうかしましたか?」
「何がだ?」
(どうやら、気のせいだったようだ)
「お前みたいな奴、今までたくさん見てきたよ」
「見てきた?」
俺以外に教え子がいたのだろうか?
「あぁたくさん、同期に、ルナに言われて教えた子たち。そりゃあ、たくさん」
「どうなったんですか。その人たち」
空気が変わったように感じた。
ジェオラは笑いながら答えた
「死んだよ、一人の同期を除いてな、お前みたいな奴たくさん見てきたよ。人を殺す勇気がないのに遊び感覚で入ってくるんじゃねえって話よ。お前ぐらいの子はな、親のすねでもかじって生きとけって思うわ」
俺にも言ってるように感じた、いや絶対言ってる
「人を殺したくないなんて当たり前じゃないですか。楽しんで殺してるほうがおかしいでしょ」
正論を俺は言ってると思う。
悪人殺してもどのみち自分が悪人だ。
「同期の方は、やめたんですか?」
しばらく沈黙が流れた。
「あいつは人を殺したよ。女も子供も関係なしにでも、それが俺たちの仕事だった」
「仕事ってことは、人斬りの時の同期さんですか」
「あぁ」
ジェオラはさっきのように笑わなかった。
「今は、どうしているんですか?」
「人は殺してないらしい、一か月前に手紙が来た。」
「そうですか、その同期さんは、あなたよりよっぽどいい人生を送ってますね」
ジェオラが怒り服を引っ張る。
「俺のどこがいい人生じゃないって」
「あなたは、どこか楽しくなさそうです。」
「…」
服を引っ張るのをやめてくれた。
ージェオラ・ピエロー
「たしかに、俺の人生はたのしくないのかもしれない」
15で日本の人斬りをはじめた。
最初は、俺も人を殺すのは勇気がなかった、怖気図いていた。
でも、そうゆう環境だったし殺さないと報酬はもらえない。
「いいか、お前ら、三人にはこれからこいつを殺してきてもらう。いいな、生け捕りじゃない首を持ってくるんだ」
「さっさといけ、役立たずの三人組」
「「「御意」」」
中学三年生くらいの男の子たちは、カバンを背負ってるのではなく、一本の刀を腰につけていた。
「今日もかぁ」
ジェオラ・ピエロ(15歳)はいつものようにため息をついていた。
最近は、人斬りの依頼や殺しの命令が多い。
斬ってこないと、どうなるのかわからない
毎日が怖くて怖くて、生きずらい。
そんな、毎日だった。
「ジェオラは、前線で戦う?」
そう聞いてきたのは、ジルという人斬り時代の同期だ
そしてもう一人
俺とジルの後ろを、静かに歩く日本人の男の子名前は、
「タクミは後衛がしたい?」
「…」
イチノセ・タクミのちの剣王だ
タクミは、冷静な子だった。
ただ、斬るそれをしたら、生きてていいそう思えていたのだ。
剣とタクミの能力は相性が良く。
ジルは羨ましがっていた。
それもそのはず、俺とジルは能力を取得できない無得者なのだから
日本の遺伝子では、能力を持って生まれてくる子が少ないらしい
それでも、タクミは才を持って生まれてきた。
無能が馬鹿にされる現代、能力がない俺はなにを目標に生きているのか分からなかった
俺達三人は、「役立たず」そう言われながら、お偉いさんの下で働いている。
「タクミはもっと上を目指せるよ」
「え?ぼく?」
目的地までの道のりは遠く、徒歩で俺たちは移動していた
野宿はいつものこと、魚などを捕まえて焼いて食べる。
眠くなったら、一人が見張るそんな毎日だった
何度目か忘れた、二人とのご飯
ジルが唐突に切り出した。
「能力がある人は上を目指すけど、タクミは何でしたばかり向くの?」
ジルはちょっと無神経なところもあった。
でも、なんだかんだ俺はジルのそういう部分も好きだった
「上とか、僕には興味ないかな」
「イチノセは、もっと上を目指せるぞ」
俺とジルは、本当にそう思っていた。
でもいつか、嫉妬という言葉に変わってしまった。
「いつも思うけど、何で僕ばかりにそれを言うの?」
「何でって、」
「イチノセは強いただそれだけだ」
俺は思ってることを伝えた。
「君たちは、何か勘違いしているね」
「勘違い?」
「うん、そう勘違い」
タクミは、持っていた魚の串焼きを下ろし水を飲んでつづけた。
「僕は、才能なんてないから」
「いや、イチノセには才能があるぞ」
寒い夜、思っていたことをタクミに伝えるが、その言葉もあっけなく斬られる
自分の事を、いいようには語らない。
謙虚さが時には、むかついてきた
「僕が、見張っとくから二人は寝てていいよ」
吐き捨てて、夜の闇に消えていった。
「なぁ、ジェオラ」
「なんだよ」
眠りにつこうと準備をしていた時にジルが話しかける
焚火をしようと、火打石で火をつけようと頑張っていたジルの動きが止まっていた
「ずっとこうだといいなー」
「急に何を言うんだ」
「僕、タクミもジェオラも大好きだから、ずっと一緒に居ようね」
夜の風のせいで、俺は寒気がした。
「どうせ、俺たちは行くところねえよ」
笑いながら、ジルに言った。
「ごめん、そろそろ、寝ようか!」
ジルは、眠りについた
「そうだな、おやすみ」
焚火のおかげで俺たちは、早く眠りにつけた。
ずっとは、無理だった
朝、目を覚ますと、タクミはいなくなっていた。
こんな、手紙を残して…