④ 海外にお金を流し、「お友達の所得を倍増」させる「成長戦略」
筆者:
ここからは、海外にお金を流す自称「成長戦略」を見ていこうと思います。
金額ベースは11月上旬に予算案として提出されているもので確定額ではありませんがおおよそこの金額からは変わらないでしょう。
質問者:
そう言われると全く期待できないんですが……どう良くないのですか?
筆者:
特に一番お金をかけている「半導体の国内生産拠点の確保」(計1兆円ほど)についてですが、これが台湾のTSMCが茨城や熊本に工場を作っています。
日本では、40ナノ未満を作ることはできず、世界から10年遅れているとされています。
ただ、サプライチェーンの強化とはいっても、結局のところ一番脅威である「台湾有事」で台湾の本社がやられるとダメになってしまうんです。
これで果たしてサプライチェーン強化になっているのか個人的には疑問です。
質問者:
確かに……今度は台湾にお金を供与ですか。
筆者:
ただ一方で、トヨタ自動車、ソニー、NTT、ソフトバンク、キオクシア、NEC、デンソー、三菱UFJなど日本の大企業8社が共同出資して設立した「Rapidus」という半導体国産企業に対して3300億円出資が決まっているようです。
しかし、それでもTSMCの金額が多そうなので、海外に「お金を流すプロジェクト」
の一環かなと思えてしまいます。
質問者:
うーん、それだけの会社の共同出資が全体の3割ってちょっと寂しいものがありますね。
筆者:
次に注目したのは『健康・医療分野におけるムーンショット型研究開発事業』に2144億です。
これは恐らくほとんどが、マイナンバーカードと健康保険証廃止にかかるお金でしょう。
正直なところ、健康保険証制度廃止する必要はゼロで最低でも並立させて徐々に移行させるべきのものです。
完全なる無駄金と言えます。
質問者:
健康保険証はどうして廃止するのか意味不明です。
筆者:
一元して管理すると共に利権が絡んでいるんでしょうね。
アマゾンが処方箋などの医薬品を取り扱うとかいう話もあるんで、
もしかしたら「気軽に海外に国民の健康を売り払う」予定なのかもしれません。
いずれにしてもこの改悪は日本国民にとって良い展望が全く見えません。
質問者:
何でこんなところにお金をかけるんでしょうね……。
筆者:
まぁ、儲かるからだと思いますよ。もちろん「お仲間」が(笑)。
次に宇宙戦略基金の設立です。
11月12日のNHKの記事によりますと
『「宇宙戦略基金」は10年で1兆円規模を目指し、複数の年度にまたがって支出できることから大規模で長期的な支援を行い商業化や他分野からの参入を促すねらいです。
政府は今年度中に策定を目指す「宇宙技術戦略」をもとに技術開発のテーマを設定する見込みで、テーマをもとにJAXAが民間企業や大学を公募で選び補助金などを交付するということです。
今年度の補正予算案には文部科学省と経済産業省、そして総務省から合わせて3000億円を計上』
とあります。
宇宙開発はイコール軍事研究開発だと思っていいので国防にとって必要なことだと思います。
ただ一つ気になるのが“民間企業や大学を公募で選び”というところです。
正直なところ日本の民間宇宙技術には疑問しかありません。
H3ロケットを立て続けに2度も打ち上げ失敗していますし、そこにお金を注ぎ込むのは穴の開いたバケツに湯水を注ぎ込む感覚に近いです。
アメリカの「スペースX」社のようなことを目指しているのかもしれませんが、
ちょっと無理があるように思えます。
苦手なことはハナからやらないほうが良いでしょう。
また国家規模でのミサイル共同開発はイギリスと行っていますし、発射能力に関して民間に委託する必要性は感じません。
質問者:
これも「利権」なんでしょうかね?
筆者:
その可能性は高いように感じます。
また、国防に関する技術が「成長戦略」に入っているのも正直意味が分かりません。
基本的に民間人が全く触れることのできない技術ですからね。
仮に応用させた技術があったとしてもかなり先になってくると思いますし、これで国民の生活がすぐに良くなるわけでは無いです。
質問者:
確かに一般人とは関係ないですね……「防衛予算」に入れたくない思惑なのでしょうか?
筆者:
それもあるでしょうね。防衛予算拡大! とか騒がれたくないんじゃないかと思います。
次に珍しく良いモノですが予算額が少ないものとして量子コンピューターの技術開発に300億円というところです。
以前も紹介したのですが、量子コンピューターは今後の世界地図をも塗り替えるだけの技術です。アメリカや中国では年間1兆円前後のお金を投入しています。
それに対して日本は補正予算とはいえたった300億ですから残念極まりないですね本当に。
質問者:
もうちょっと何とかならないんですかね……。
優先順位が分かっていない気がします……。
筆者:
そうなんですよね。多分優先順位トップが「お仲間にお金を渡すこと」なんで、
今の国民の暮らしや日本の将来のことは二の次なのでしょうね。
評価できるのは「GIGAスクール構想」として4819億円です。
児童生徒小中学生に対して一人4.5万円を上限とするPC代金補助と学校ネットワークの全校整備というのは良いと思いますね。(むしろ後者はもっと早くやれと思ったが)
まぁ、最近のPCデバイスはかなりの割合で外国産なんで理想は日本産購入限定にして欲しかったですけど……。
質問者:
確かに……。
筆者:
あと良さそうなのは、水素ステーション設置でしょうか。
23年11月7日の閣議で、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの駐車場などに、燃料電池車(向けの水素ステーションを設置できるようにする政令を決定し、200キロおきに充電できるようになるようです。
クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金
として予算案額400億円あるので、これは良い事でしょう。
兼ねてから水素自動車のためのインフラ整備は必須だと思っていましたからね。遅すぎるぐらいです。
質問者:
ガソリン補助金もそうですけど、補正予算について完全に否定できないのがちょっと難しいところですよね。
筆者:
そうなんですよね。それも否定するのか! とか擁護派が訴えるんでしょうけど、
ダメなところと足りないところが圧倒的に多いことを僕は主張したいです。
次に予算にはなかった(見つけられなかっただけかもしれない)ことなんですけど、僕が最近国が推し進めている「成長戦略(笑)」として注目したのは、
「資産運用特区の創設」
です。
投資会社に対する規制改革を通じて、運用能力が高い海外人材の受け入れなどを積極化し、外国資産運用の参入促進を促すようです。
ただ、海外の運用能力が高いとは言っても別に日本の投資に詳しいわけでもないのでそれなら(海外株S&P500などを薦めてくるだけだろう)
ただ単に外資に侵略される政策の一環だと思っています。
質問者:
「金融資産倍増」が狙いなんでしょうけどね……。
そもそも「令和の所得倍増」とか言ってたのにいつの間にか「金融資産倍増」になっていたことについて何か言及は無いんでしょうかね?
「分厚い中間層を作る」とかはどうしちゃったんでしょうか?
筆者:
これは僕の憶測にすぎませんが「上級国民」以外を貧困化させることによって
“分厚い中間層を作る”ことにしたのだろうと思います(笑)。
そもそも普通の方々は日々の暮らしに追われて貯金すらまともにできない人々がほとんどだと思うんですよね。
どう見ても税金や社会保障費の取り過ぎ、そして年金が不足するのが目に見えているから貯金しているのだというのにそれを理解していないんです。
貯金ができている人たちが投資をしていないのも、年金が不足することを予見しているからであり、確実に増えるわけでもない金融資産に投資をするわけもありません。
高齢者の方も詐欺などに警戒してお金を動かそうとする方は減っていると思いますからね。
それなのに、「投資に目を向けろ!」と言っているのは本当に何も見えておらず、最早滑稽にしか見えません。
質問者:
やっぱり税金や社会保険料を取らず可処分所得を増やす政策を考えることがベストのはずですよね……。
筆者:
これで成長したのなら国が投資をしたからではなく、「日本の底力」が素晴らしいだけでしょう。全く足りないか的外れです。
全体的に見て「なんちゃって成長戦略」「お仲間にお金を渡す戦略」であることは間違いないと思います。
次に人口減少社会対策という名の監視社会推進政策についてと、全然足りない国土強靭化についてみていこうと思います。