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なんでも屋ソード苦労談 2  作者: 御蛇村 喬
9/10

なんか自爆装置作動したらしい

「ンックックックック……もういい、もう怒った……本気でぶっ壊してやらぁっ!!」


ソードは叫び再度突撃してくる田吾作君をかわして距離をとり、両手を顔の前で交差させる。


「くらえぇっ!“裂空れっくう”っっ!!!」


 ソードは一気に交差した手を真横になぎ払う。


 それと供に真横一文字に大気の断層が生じ、辺りに生えている木をなぎ倒しながら田吾作君を両断せんと土埃を巻き上げ疾走する。


 木が倒れた際にいっそう巻き上げられる土埃が量を増し、田吾作君の姿を完全に覆い隠してしまう。


「・・・さっきのが翠玉の魔術、司るのは“風”、気体及び気象事象の象徴だ」


確かな手ごたえにソードは力を抜き解説をする。


「すっごーい……なに言ってるのかさっぱりだけど」


「ギュパァ、ソードさんそこそこに魔術使えたんですね、オイラ少し見直しました」


「……テメェ等……」


 歓声を上げるルシアとシオだがソードは不満げに二人を睨み付ける。


「フッ、甘いべソード、さっきまで娘っこが食べてた無駄に甘い菓子よりも甘ぇべ!」


 土煙の中からグレイの声が響く。


 土煙が割れ、その中から現れたのは田吾作君の姿。


 確かにソードの魔術は命中していた。


 ソードの脳裏には両断された田吾作君のイメージが確かに浮かんだ。


 しかし、実際に断ち切られたのは鍬の柄のみで、田吾作君のボディーに少々の凹みを作るという結果にとどまった。


「……どんだけ丈夫なんだよ……ま、こうなったらもう戦闘の継続は不可能だろ、勝負あったな……


 ソードは言って息をつく


「なかなかやるべな、ソードしかしこれで終わりではねぇべや!」


 グレイがソードのその先の言葉を遮る。


「どうした、ショックで頭がおかしくなったか、グレイ?」


 ソードを指差しポーズを決めているグレイにソードは半眼で受け答えする。


「ふっ、そんなこと言ってられるのも今のうちだベヤ」


 グレイは鼻で笑いボサボサの髪を掻き上げる。


 どうやらカッコをつけているらしいが全く様になっていない。


 グレイはリモコンのボタンを再び押す。


 すると、円筒形の胴体の腹の部分が開きアームの先端についた二本の巨大な丸鋸が姿を現す。


 けたたましい音を上げて丸の子が回転を始め、田吾作君がソードへの突進を再開する。


「どわっ!!」


 ソードは声を上げをそれを回避する。


「どーだべ、これが田吾作君に隠された便利機能『草刈りカッター』だべや!」


「ンな凶悪な便利機能をつけるなぁ!!」


 ソードは叫びまた田吾作君と距離をとる。


 田吾作君はソードへと突進をせんと反転行動に移る。


 ソードはその間に次の魔術の準備を終える。


 次に光がともった宝石は“海玉アクアマリン”。


 田吾作君はまたソードと向き合い、その走った奇跡に畝を作りつつ突進を始める。


 ソードは田吾作君へと手を掲げ魔術を発動させる。


 手の先に強烈な圧力が加えられた大きな水の球体が現れる。


「“水砲すいほう”っ!!」


 ソードが叫部のと共に水の奔流が打ち放たれる。


 強烈な水流に田吾作君はさすがにその突進を止める。


 田吾作君は放水が終わっても動き出すことはなかった。


「・・・“海玉”は“水”の属性、“液体及び物質の形状変化の象徴・・・」


 ソードは言葉とともにゆっくりと手を下ろす。


「これならさすがに終わりだろ・・・機械ってのは水に弱いしな」


 ソードはさすがに疲れた声音を吐く


 少しして、田吾作君が動き始める


「なに!?」


 ソードはさすがに驚きの声を上げる。


「雨の日も風の日もお百姓さんのために働く、それが田吾作君だべや、さあ、行くべ、田吾作君!」


 グレイがそういったとき田吾作君のカメラがグレイを捉える


「ターゲットサイニンシキ・・・ツイビサイカイ」


 機械音声とともにまた円形ののこぎりが回転を始め。

「へ?・・・オラ・・・?」


 グレイが呟きをもらすのと同時、田吾作君はグレイに突進を始める。


「ぎぃやああああぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁあぁああああ!!たぁすけてぇえええ!!!!」


 グレイは喚き声を上げ田吾作君と追いかけっこをはじめる。


 ソードはそれを呆れて見ていた。


「・・・ほっとくわけにもいかねぇか・・・」


 ソードはしゃがみこみ地面に手をつく。


 “黄玉トパーズ”に光がともる。


「“黄玉”は“大地”・・・第一属性にして固体および生命の象徴・・・“地穴ちけつっ!」


 ソードの掛け声とともにグレイと田吾作君の間に穴が空く。


 田吾作君はその穴に車輪をとられ転倒する。


 田吾作君はしジタバタと動くものの、立ち上がる機能がないらしくただ同じ動きを繰り返している。


「た、助かったべや・・・」


 グレイは立ち止まり尻餅をつく。


「ま、あの様子なら怪我はねぇだろ」


 ソードはため息をつき視線をめぐらせると、ソードの隣に一人と一匹の姿があった。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「どうしたんです、ソードさん?」


 呆れて黙りこむソードにシオが問いかける。


「なんでもねぇよ・・・とりあえず、魔石術ってのはその魔石に宿る属性に準じた事象を発現、及び操作する魔術だ」


「う~ん、よーするに火のマセキなら火が使えて、水のマセキなら水が使えるってこと?」


「ま、そういうこったな」


 ルシアの答えはかなり大雑把だったがソードは頷く。


 ピッ・・・ピッ


「ん?」


不意に聞こえてきた音にソードは辺りを見回す。


程なくして田吾作君に場の全員の視線が集まる。


「しまったぁ!、田吾作君の自爆装置が起動したべや!!」 


 グレイが悲鳴に近い声を上げる

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