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今夜も飲んでいる 1

 主と会ってから、あっという間に秋は過ぎて冬の様相だ。


 11月末に気温が下がったこともあり、12月は1日からしっかり雪が降った。

律儀というか、今年の冬は几帳面な性格なのかもしれない。


 タケルとは毎週のように会っていたけれど、ヒロミちゃんの方は仕事と報告のつじつま合わせで苦労したようだ。夜は時間があるようなので、たまに『西の果て』で会っては世間話をしている。

ヒロミちゃんが主からもらったペットは予想通り「キーちゃん」という名前になり、ママのところのペットは「キー坊」という名前だそうだ。キーちゃん達には意思とか人格のようなものは無いのか会話は成り立たないようだ。たまに活発に見えるときがあると、ママもヒロミちゃんも話していたから、生命活動はしているのかな…といった感じ。透明のビンの中にフワフワしているものが浮いていて、そこに色が変わるライティングを施しているからか、店の客は昔懐かしいインテリアだと思っているみたいだ。

__


 12月の最初の土曜の夜、一度積もった雪は解けて歩きやすくなったのでタケルを誘って居酒屋へ出かけている。焼き鳥の気分…まあ最近は焼き鳥が続いているのだけれど『串』と大きく書かれた看板の店で待ち合わせる。僕は晩酌の雰囲気から日本酒と焼き鳥を数本注文してタケルを待っていた。


 僕は日本酒を飲むときはほとんど冷やで飲む。燗をするときもあるけれど、美味い酒を飲めるなら冷やで…という先輩がいたので、なんとなくそれを信じて従っている。

コップを口に近づけると日本酒の香りがしてくる。ひと口目は啜るように少しだけ口に入れる。舌に日本酒が存在感を主張するくらいの辛口が僕の好みだ。そして飲み干すときに鼻の奥の方に香りを残して喉を降りていく感じ、辛口の酒はインパクトが強い気がする。そんなに詳しい訳でもなく個人の感想と好みだけで話しているけれど、なぜかタケルとは感想のボキャブラリーが近くて話が合いやすい。

 酒の銘柄にこだわりが少ないのも一緒だ。高級だの有名だのということで選ばない。地元の銘柄で高くなくて…が第一優先だ。

__


 日本酒のことを少し考えていたら、10分もしないでタケルがやってきた。

なにやら上機嫌に見える。この寒い時期に上機嫌な顔が出来る時点でタケルがうらやましい気もするが、タケルが上機嫌だと僕も少し嬉しい気分になる。ガキの頃からの友達ってのは良いものだな。


「タケル、なにか良いことでもあったかい?」


会話のジャブはこんなところからだろう。僕も笑顔で聞いてみた。


「そうなんだよ。ちょっと聞いてくれ」


僕たちの会話って、ほんとに演出というか、そういうのが無いよな。

機嫌良いね、と聞けば え?わかっちゃった? のひと言くらい漫画でも出てくるだろうに。


(ヌシ)が夢に出た」


…不思議な話と言えば不思議な話なんだろうな。夢に出てくれても不思議はない。

出てきたくらいで上機嫌になるとは思えない。僕たちはオッサンなのだ。


「それで、どんな話をしたんだい?」

「オニに会えるかもしれないって言ってたよ」


話の経緯はきっとないんだろうな、うん。

唐突に言われただけだったか、そうだろうね。

まあ嬉しい気持ちはわかるよ。会いたいなって思っていたオニに会えるんだから。

どこにいるとか言ってたのかな。


「思ったより近くにいるみたいだ」


君の夢ではね。でも信じたいし、確率は高い気がする。

どこにいるのかな、で、僕もそこには行けるのかい?


「ガットとヒロミちゃんと3人で行こうと思うんだけど、春になったら」

「山なのかい?」

「まあ、そうだね」

「人里からは遠い…んだろうな」

「なんとなくなんだけど、登山コースから外れて1キロくらいだと思う」

「よく人間に見つからないもんだな」

「ポケットに棲んでいるんだと思うよ」

「人間じゃないんだろ?」

「主が言うには、人間なんだとか言ってた」


話が変わってないかい?この前は魂が違うとか言ってたじゃないか。


「ニンゲンやめた系らしい」


あー、追及しても仕方ないヤツだ。了解。

で、車で行くとして春なのね、ヒロミちゃんは知ってるのかな。


「まだ話してないけど、行くだろうね」


偶然会う感じで行くならダイちゃんも連れていけるんじゃないかな。


「いいね、考えとこう。ヒロミちゃんの仕事と関係ない方向で。

 ということは、偶然なんだから内容を話さない方がいいかもね」


わかった。ダイちゃんの予定はそのうち確認ね…ということで二人で乾杯をしたのだった。

肩がだいぶ改善しました。

話はゆっくり更新します。

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