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転校生は美少女で能力があったような 8

ヒロミちゃんからこの地域の秘密が

 その後、僕たちはヒロミちゃんがいた頃の学校の話や、この町で変わったこと、無くなった公園の話とか、他愛のない話をして楽しい時間を過ごした。


ヒロミちゃんはいくつかの引っ越しで転校が多かったから友達は少なかったこと、教師になったのは僕たちの担任だった先生に憧れていたこと、いくつかの恋愛はあったけど結婚はしなかったことなどを表裏なく教えてくれた。すっかり大人の女性だな。


「でもね、まだ言えてないこともあるの。…言っちゃおうかな」


僕はさっきまでの中二スピリットとは別の好奇心、野次馬根性で聞く


「どんなこと?言えるなら教えて欲しいな」


…いや、今のセリフオッサンくさい。イカン。スケベオヤジのセリフだ。


「別に今度ゆっくりでも楽しみが増えるってもんだぜ」


…タケル、お前のノンビリした性格が余裕のある男性に変貌させてるぞ、負けた。


「ん-、タケル君に会えると思ってなかったからなー。今言わなきゃって。

 実はね、私の初恋の相手はタケル君でした。きゃぁ~」


…きゃぁ~が微妙に棒読みなのと、「あたし」が「私」に変わったこと以外はある意味想像がついた。


「そっかぁ。俺もヒロミちゃんのこと双子の妹くらいに好きだったよ。

 体育のときとか手をつないでるとき、きょうだいって良いなとか思ってた」


…タケル、お前ジゴロだろ。ちょっと距離を置きながら外枠を固めて世界観出したぞ。


いや君たち家族になれ。酔った勢いですぐ婚姻届だせ、僕が保証人で友人代表だ。

あ、僕の野次馬根性、いつの間にか世話焼き婆さんみたいになってる。


「知らなかったわね。ヒロミちゃんの初恋の相手が()()タケル君だったとはね」


ママがニコニコしながらヒロミちゃんの少し赤らんだ顔を眺めて言う。


「そうなの、ママとお姉ちゃんには話していたの」


「小さな女の子の胸にしまっておくには、初恋って大きすぎるときもあるのよね」


ママはからかっているのか、自分のことを思い出しているのか…

話しながら新しいグラスを4つ出した。


「さあ、再開を祝うわよ。昨日来てくれたお客さんがお中元でもらった日本酒を持ってきてくれたの。

 ちょうど良いからこれで乾杯しましょうね」


酒のラベルはひらがなで一文字、津軽の酒だ。僕もタケルもこの酒はよく飲む。

4人が小ぶりなグラスを手にして、再開に乾杯した。

__


「この02037…津軽が特殊って言ってたけど、能力の発動に関することなのかな?」


僕は酔ってしまったのか、話せないと言っていたことをヒロミちゃんに聞いた。


「ん-、さっきも言ったけど、話せない部分もあるのよ。

 だけど、地形的に特殊ってのは話したから、少しだけ追加するわね」


ヒロミちゃんはそう言って話してくれた。申し訳ないがここでは一部割愛する。


…津軽っていうのは、中世以前から人が定住していたの。もちろん日本中に定住していたんだけどね。

霊場って知ってる?そう、富士山も霊場だし、青森県だと恐山も霊場として有名よね。


そして、津軽も霊場なんだけど、ピンポイントというよりはエリアとして『霊場』と言える場所なの。

そこは詳しく言えないからごめんね。


 霊場に人が住むということは、能力を持つ確率が高い…ということがレポートされているのね。

修験者が修行するのはそういうことなのかも知れない。


 津軽には霊場が沢山あるのよ、私たちはポイントって言っているんだけどね。ポイントはこの国には沢山あって、ただ津軽はポイントが地続きみたいになっているの。ポイントというよりはエリアの中に濃淡があって、濃いところをポイントとか霊場と言っている。そんな感じ。


 西に見える山、あそこはポイントの密集地でさらに南北にエリアが伸びていて、01…北海道まで延びているの。昔から風水では『龍脈』って言われているから、ここまでは話せる部分ね。


 詳細は話せないことがあるし、今度から話すときは世間話として話したいから、霊場とか龍脈という言葉で話しましょう。

__


「…壮大な話だったよ。タケルはともかく僕なんかに話してくれても良かったのかな?」


僕、暗殺されるんじゃないか。明日には冷たくなっていないか心配になった。


「大丈夫よ、ママが大丈夫って言ってるんだから」


「え、ママがOKなら大丈夫…なの?」


僕はママを見た。


「…まあ、あなたたちは大丈夫よ。能力でひと儲けしようってタイプでもないし。

 悪いことに使わない人間は管理する必要もないわね」


え?どういうこと??ママ、全然動じてないのも不思議だったけど。


「気づけよ、ガット」


タケルまで不思議なことを言ってきた。


「あ、ガット君は理解が追いついてないみたいね。ママは私の上司というか、このエリアの支部長なの。そして私の『先生』なのよ」


「この店は副業で趣味の店なの。でなきゃとっくに潰れてるわ」


…日本酒のグラス、落としそうになった。

ご覧いただきありがとうございます。

能力と霊場、それはそう

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