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転校生は美少女で能力があったような 1

子供頃の思い出、転校生のことです。

 祭りを来週に控えた7月も終わりの土曜日だった。


 暑いし、エアコンの効いていそうなところで飲まないか、とタケルからメール。

今どきのコミュニケーションツールを使わないのはタケルらしい。


以前、メールなんてそんなに見ないから俺が見落としていたらどうすんだよ、と聞いたら


「まあ、そんなときがあってもいいよね」


と、お気楽モードだった。


 仕事も終わったのか、シャワーを浴びてシャツも替えて来たんだろう、なんかサッパリしている。

僕もシャツくらいは替えて来たけど、シャワーも浴びておけば良かった。それくらい夜でも暑い。


 今夜待ち合わせた店は、町の西側を走っている川の近くにあるスナックだ。


スナックと言っても特段騒がしい客もいないし客が集まってくる時間も遅いから、僕たちが待ち合わせる時間だとガラガラのことも多い。今はちょうど21時だ。週末の客のピークは23時頃だろうか、3軒目の店として使われているみたいだ。団体客は見たことがない。


ママが寒がりな上に暑がりだから、夏はちょっと涼しく、冬は暖かく。僕とタケルにもうれしい店だ。


「そんなに遅れてなかっただろ?ちょっと前にメールに気が付いたんだ」


といって、5つあるカウンター席の真ん中に僕は座った。

タケルは入って奥から2番目の席が好きらしい。いつもそこを選ぶ。


「ひょっとしたら祭りの準備とか手伝いに出てるかもしれないと思ってたから、アテにしてなかった」


「手伝いが終わってメールを見たんだ。僕も冷たいビールが恋しかったところだよ」


そう言って、ビールを注文する。

この店は瓶ビールが置いていて、きちんと冷えているのがうれしい。


僕は生ビールや缶ビールよりも瓶ビールが好きだ。

理由はわからないけど、味が安定している気がする。

と言っても、味音痴なところがあるからビールの利き酒みたいなのがあれば、全部外す自信がる。


「ガット君は偉いわねえ、祭りの準備って夜中までになることも多いんでしょ?」


ママは一杯目を注いでくれながら話しかけた。


「このところの感染症で、忙しいって程じゃないんですよ。


 規模も小さいし、3年ぶりの開催なので、観客の数も読み切れなくて…」


「そうよね。こんな店、いつ無くなってもおかしくない2年だったわよ」


「僕たちも常連って程は通ってませんけど、無くなったら淋しいな」


「ありがとうね。そんなお客さんには恵まれてるわね、この店」


「飲み屋街の中心も、あんまり人は出歩いてませんでしたね」


「そうなのね、土曜日なのに今日は閑古鳥かなあ…」


不景気の話は社交辞令、田舎町ではそんな感じだ。

ママの店は繁盛させるにはロケーションが良くない。


飲み屋街から少し離れていて、この通りにはスナックが2件並んでいるだけ。

そのくせ客は医者とか経営者とかが多くて、ちょっと不思議なところだ。


名前も「西のはずれ」みたいな名前だし。かっこよく言っても「西の果て」だからな。

ちなみに僕たちはカッコいい方の「西の果て」と思っている。


__


北国の夏休みは少し早く始まる。そして少し短い。

7月も月末の週には子供たちは夏休みだ。


「最近は夏休みになっても、子供たちの姿見ないわね」


ママの言葉に僕も頷く。


「少子化ってやつですかね」


「スーパーへ行っても、子供たちって見ないわ。

 たまに小さい子が泣いてると、珍しいのと懐かしいので嬉しくてニコニコしちゃうのよ」


「泣いてる子供には不思議なシチュエーションでしょうね」


「そうよね。子供がうるさいっていう人もいるみたいだけど、私には子供の声ってありがたいものよ」


「僕も近所に公園があるんですけど、子供たちの声が聞こえると少し嬉しいときがあります」


「タケル君はどう思う?子供たちのこと」


ママは会話をタケルに向けた。


「ん-、うるさいってことはないです。公園で遊んでる子供たちってそれだけで元気だなと思うし、元気ってだけで良いなって。それは正直な感想です」


「そっかぁ。タケル君の小さいときってどんなのかしら?」


「…」


「タケル君?」


「…あ、すみません。公園って聞いて、ふと思い出したことがあって」


僕はタケルがどんなことを思い出したのか興味が出てきた


「なにか面白いことかい?」


「憶えてるかな、3年生のときに転校してきた女の子」


「ヒロミちゃんだろ?憧れの女の子だったな」


「そうだったのか。そのヒロミちゃんのことなんだよね」


「すごい美少女が転校してきたって、他のクラスも騒いでたよな」


「そうかも。俺は別の意味で嬉しかったけどね」


「え、どんな意味?」


「…俺より小さな子がクラスに来たこと」


そういえば、タケルはクラスで一番背が低かった。


「で、今更なんだけど。ヒロミちゃんがさ」


タケルは僕の目を見て話し始めた。

ご覧いただきありがとうございます。

転校生の美少女設定ってあるけど、私の場合は転校していった女の子が美少女でした。

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