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大災害と能力発動のこと 5

ポケットのこと

「ポケットかあ…」


タケルはどこから話し始めたものか考えているようだった。

__


…ポケットはさ、見えないと言えば見えないんだよね。

多分、視覚的には見えていないんだと思う。でも、目には映っているというか。


この時点で説明できていないから、ちゃんと話せるか自信ないよ。


 最初に見えたと思ったのはいつだったろう。やっぱり幼稚園の頃かな。

同じ幼稚園の子供たちもポケットをよけるように歩いてたのがいるのも憶えてる。

だから、最初はよければ大丈夫と思ってたよ。


ポケットってのは空中にでもあるものだし、当たっても痛くないし、

他の人はスルッとすり抜けるもんだから、子供の俺は

「誰も気にしてないから怖いものでもないんだろうな」

と思ってた。


 ひょっとしたらなんだけど、ポケットは小さい頃は見えているんじゃないかな。

たまに赤ちゃんがポケットをつかまえようとして手を伸ばしているように見える時があるんだよね。


言葉をおぼえ始める前に見えなくなって、だんだん忘れるんだと思う。


…最初に話したけど、肉眼としての視覚の他の感覚があるのかはわからない。

__


タケルは2本目のビールを注文した。


「2本目は俺のおごりだ」


僕はポケットが見えないから、聞けることにワクワクしている。

本日2回目の中二スピリット誕生だ。


タケルは、じゃあ遠慮なく…とビールに口をつける。


…俺の場合は、ポケットに()()()感覚があったのよ。

ゴツンってのじゃなくて、プルン…みたいな。

プリンとかゼリーのような弾力があるのかな、わかんない。


触れる感触みたいのはあるのね、すり抜けることも出来てるから不思議だよね。

ちゃんと意識してなければすり抜ける、介入したければ意識する…そんな感じ。


「初めてポケットに介入したのはいつなの?」

素朴な疑問だ、タケルは特に好奇心旺盛でもない。しかもビビり。


…得体の知れないものには近づかないタイプだったから、介入は遅かったよ。

これも小学2年生かな、いつも通りひとりでミニカーとで遊んでたのよ。


ミニカーをジャンプさせられるようになった頃、公園の木の付け根にポケットがあって。

ポケットを飛び越えたら勝ち!みたいに練習してたんだよ。

なかなか乗り越えられなくてさ、ちょっとアタマに来たのね。


もう少し下に下がればジャンプできると思って、下に押してみたの。

その時、ヌルっていうか感触があって『ビクゥッ』ってなったよ。


最初の感想は、なにこれ?だよね。


ヌルヌルがくっついていないか手を見たんだけど、ヌルヌルは付いてなかった。

それで安心して指でツンツンってやろうとしたら、すり抜けるのよ。


あれ?そこにあるのに、さっきはプルンだったのに?へ?

で、力入れて、パンチしてみたの。子供ってパンチ好きだしね。


そしたら、手が入っちゃってさ「食われた!?」って思って、すぐ手を引っ込めた。

ケガしてるんじゃないかと思って泣きそうになったよ。

周りに知ってる子供もいないし、ケガもしてなかったから大声は出さなかったけどさ。

地べたにお尻つけて、ちょっと呆然としてた。


で、次はそこらへんに落ちてる木の枝を拾う。力を込めてつつく。

枝の先っちょが消える、俺ビックリ、枝を引き戻す。

もう少し長い枝を持ってくる、つつく、深く入れる。

そしたら奥の方で止まって、あ、行き止まりがあるんだなって思った。


次は石ころね。拾ってきて、最初は1個、次は2~3個。

入れると消える、どんどん入れる。どんどん消える。20個くらいで入りにくくなる。


今度は度胸もついてきたから、石を取り出す。ほじくる感じ?

ヌルヌル付かないし、噛みつかれないなら水辺で石ころ拾って遊んでるのと一緒だもんね。


で、奥の方に壁みたいのがあって、まあ、ちっちゃな洞窟というか小動物の巣?みたいに思ったよ。


それがポケットの始まり。

大きなポケットには入ってみたんだけど、もっと大きくなってからで…それは今度でいいかな。

ちょっと整理できていないところもあるしさ。

__


そんな感じでポケットの話は出会いのシーンで終わり、残りはお楽しみとして残された。


「あとは、なんだっけ?」


と、ちょっととぼけて僕は聞いてみた。


「人の考えを覗けるか…ってやつだろ?」


「そうそう、あれは僕が最初の実験みたいのに付き合ったからいいや」


これは、後で話すことになるだろう。

ご覧いただきありがとうございます。

勝手に連載しています。

小分けな連載ですが、こまめに続けたいと思っています。

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