ゲームのアイテム
まったり更新中で申し訳ありません…
イフェイオンが訪ねて来たのは、ノイエ様の交換日記の情報から一週間も経たない、平穏な日でした。
「お久しぶりです、リリーナさん、スターチス様」
少しだけ大人びた様子のイフェイオンは、少々疲れた様子でした。
「カトル君お久しぶりです!変わりはないですか?と尋ねたかったんですが、大分お疲れのようですね」
学院でリリーナに精神作用魔術、所謂魅了を掛ける為にワトソニア先生に協力したイフェイオンですが、先生に嵌められたという事にして表向きお咎めは無しになりました。
しかしそのかわり、ネメシアと魔術協会への研究協力を拒めないそうで……、お疲れなのはそのせいかしら?
ちなみにワトソニア先生は、ネメシアと魔術協会での研究材料になっているそうです。人権が確保されているかは定かでは無いのが物凄く怖い……。
「ネメシア先輩への協力もキツいですが、件の王女殿下が……何故かボクのところにも来るんですよ。他の有力貴族子息はガードがあるのに!ボクだけ無し!そりゃあこっちに来るよね!?」
王女殿下対応をノイエ様とイフェイオンで行っている様子でした。学院内は学生の方が都合の良いものね……。
「今日はネメシア様のお使い?それとも私への派遣要請かしら?」
イフェイオンを気遣いつつも要件を聞くリリーナ。ついでにお茶の手配もしていて、わたくしの侍女が有能です。
「お察しの通り両方です。イフェイオン辺境伯領の魔獣の脅威が増して、このままでは抑えるのがやっとの状況になりそうとのこと。本来なら正式な使者として次期辺境伯の兄が要請依頼を行う予定でしたが、現地を離れられる状況では無い為ボクが代わりに。三日以内に王都をボクと共に経って頂きたい。
それから、スターチス様にはネメシア先輩からコレを」
思ったよりも深刻な状況な様で、イフェイオンからの要請に二つ返事でわたくしもリリーナも応える事にしました。
それからネメシアから預けられたというブローチを手渡されました。
可愛らしい紺と白のリボンのついた青い宝石は、魔力を帯びた物でした。
……見たことあるって言うか……、これ、ゲーム内アイテムよね?確か魔力ゲージを上げる為のアイテムだった筈だけど、え?これって魔術協会製なの?
わたくしが怪訝な顔をするのが分かっていた様で、イフェイオンが答えてくれました。
「ピンク色のブローチも存在するそうです。出所は隣国、ユーフォルビア殿下のところだそうです。ネメシア先輩は、スターチス様に『何か知ってる?』と。……お心あたりは?」
ピンク色の宝石は魅力アップアイテムでした。レベルや好感度が上がり辛い時や、手っ取り早く上げたい時に使う課金アイテムで、使用中は一定期間それぞれ20%アップする。
わたくしも前世で何回か使用した事があるわ。
でも現実で考えると、魅力が魔法石でアップって精神作用魔術じゃあるまいし、変な話よね。……ん?精神作用魔術?つまり、魅了?
「お心あたりが有りそうですね。ネメシア先輩に報告しておきます。恐らく魔術協会へお呼びする事になるでしょう。先輩は今、ボクと同じくらい面倒な事になってますから」
クロッカス様は学院内ではイフェイオンに、それ以外ではノイエ様とネメシアにべったりですものね、同情します。
「分かりました。リリーナが王都へ戻ってからという事かしら?」
「いえ、恐らく明日にでも。明日またボクがお迎えに上がります」
なかなか急な展開です。イフェイオンがエスコートしてくれる予定なのは出立前にクロッカス様の相手をしたくない気持ちが透けて見えましたので、そのままお願いする事にしました。……本当にお疲れ様。
ノイエ様の交換日記にあった市井に出回る本、ゲームに出てくるアイテム。もしかすると一本の線で繋がっているのかもしれません。
ではそうなってくると、クロッカス様も転生者……?本の主人公のつもりという話にも頷けます。
ですが、もう一つの可能性も捨てきれません。それは、『そう思わせようとしている』という可能性。
誰が何の為に?
クレマチス様の件も含めて、もう一度洗い直してみる必要が有りそうです。
脳内がインプット期間な感が有るのに、仕事でアウトプット期間な為、なかなか更新出来ず申し訳ありません…




