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断罪予定の悪役令嬢の行く末  作者: みずのとさやか
断罪予定の悪役令嬢
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悪役令嬢の長期休暇はヒロインちゃんがやって来る

ヒロインちゃん合流会です

「突然のお願い、申し訳ございません」


 軽やかなお辞儀をするヒロインちゃんに、おや!と思いました。以前よりお辞儀が上手になっていらっしゃるのです!素晴らしい、流石ヒロイン!


「驚きましたが、構いませんわ。それよりも……以前より素敵なカーテシーになりましたね」


 素直に感想を述べてしまいました。

 えーと、悪役令嬢Aなので、前は酷かったよね的な意味を含んでくれていると助かります。微妙な吊り目顔なのでそう見えたかな!?


「ありがとうございます。父に、スターチス公爵家にお邪魔する事を話したら叩き込まれました。以前のカーテシーは……本当に、穴があったら入りたい、です……」


 素直に照れるヒロインちゃん、マジ可憐!これは攻略対象は惚れるよね!可愛いわ〜!


「現在、第一王子ノイエ殿下が領地にいらっしゃっております。聖女の結界のお話しなど、ぜひお聞かせくださいな」


 良かれと思ってヒロインちゃんに教えると、凄く青褪めた顔で謝られました。

 ……そうか、邪魔したと思われたくないよね、虐めてくる悪役令嬢に虐める理由あげたみたいなものだよね。


「いいえ、殿下も貴女のお話しを聞きたがっていらっしゃったので良い機会ですわ」


 本当は全力で大丈夫やで!って安心させてあげたいのですが、わたくしは悪役令嬢。色々匂わせた言い方しか出来なくてごめんね!

 表面上は嫌味っぽく、真実はマジで言葉通りなのです、紛らわしくてごめんなさいって言うかミスリードさせる手法を取るわたくしを嫌ってくれて構わない!可愛い子に嫌われるのちょっとキツいけれど、穏便な断罪?のためならば!


 という訳で、御連れしました〜!さてさて二人の反応はいかほど!!?

 ドキドキしながら二人の顔色を窺ってみる。


「まさか長期休暇中に会うなんてな、しかもスターチス公爵領で」


 キラキラ笑顔でお迎えです、さすが殿下。これは会えて嬉しいよ、場所はアレだけどな!って解釈で良いかしら?


 ヒロインちゃんはと言うと……


「殿下がいらっしゃっているとは存じ上げず……本当に、申し訳、ありませ……」


 え、何でかめっちゃ怯えていました。好感度上げる目的だったのに……これでは逆効果です!


「わたくしがこの時期に、とお願いしたのです。是非、殿下と二人で!クレマチス男爵令嬢のお話しをお聞きしたかったの!ですよね殿下」


 なんとか盛り上げていきたい、気分はコンペで負けた後の打ち上げです、助けてください。


「……二人で、ね……。ま、及第点かな。クレマチス男爵令嬢、そう固くならず話して欲しい」


 わたくしの頑張りが通じたのか、殿下は穏やかに笑った。前半部分が小さくてわからなかったけど!


「は、はい」


 ヒロインちゃんの顔色は通常時に戻ってきました。そうだよね、第一王子と婚約者候補の公爵令嬢に割って入るの、普通の感覚ならキツいよね!

 でも良かった……、ヒロインちゃん意外と話が通じるタイプっぽい。ヒロインこそ正義!みたいなキャラじゃなくて安心しました。


「ところで、アナベルに聞きたい事があるとか?それは……?」


 ちょ、それ話しちゃったらヒロインちゃんがここに留まる建前が無くなっちゃいますよ殿下。いくらわたくしの弱味を握りたいからって、それは早計です。


「あの、それは……スターチス公爵令嬢と二人きりの時に……」


 よし!二人の滞在時期をわざわざぶつけたわたくしの努力を無にしない、その意見素晴らしい。殿下が帰ったらお話しする、だと一番ですわね。

 ちゃんと仕事しているね、ヒロインちゃん。このまま好感度が上がると最高なんだけど。


「わたくしそれより、クレマチス男爵令嬢の結界についてお話しが聞きたいわ!」


 殿下の要望を却下する為にも、強引に話を変える。


「私のことはリリーナとお呼びください、スターチス公爵令嬢アナベル様」


「ではリリーナさん、と。わたくしの事はアナベルで良いですわ」


「!ありがとう存じます、アナベル様!でも、私の事はどうかリリーナ、とお呼びいただけたら」


 リリーナは小柄で可憐な女の子なので、身長高めなわたくしにも上目遣いになります。

 ……これがヒロインちゃんの必殺技か……、くらりとくる可愛らしさですね。


「では、リリーナと。わたくしの事も……」


「いえ、アナベル様と、お呼びしたく。お願いできますか?」


 頑なに言われてしまえば、許可せざるを得ません。まあ、学院でわたくしの事をアナベルなどと呼べば、面倒な事になりかねませんしね。


「……なんだか、疎外感があるのだけれど。じゃあ、私……いや、俺の事もノイエと呼んでくれるかい?アナベル」


 突然の一人称変更と名前呼びの強要をされてしまいましたが……どういうこと?


「さすがにそれは難しいかと、ノイエ王子殿下」


 婚約者でも無いのに、名前呼びは本当に困ります。……て、アレか?ヒロインちゃんにノイエって呼んで欲しいから、一緒にいるわたくしにも許可した……みたいな?

 それなら納得出来ますわ!許容は出来ませんが。


「クレマチス男爵令嬢だけ、ズルいじゃないか」


 不貞腐れたように呟く殿下は、なかなかに駄々っ子でお可愛いらしい。


「では殿下はリリーナの事もリリーナとお呼びになりますの?リリーナにもノイエと、お呼びする許可を?それならわたくしも考えますわ」


 目の前で話していて、この子だけ仲間外れ!っていうのはいただけないのよね。


「アナベル様、その理論は流石に飛躍し過ぎかと……」


 リリーナはヒロインちゃんなので早く攻略対象と名前で呼び合って欲しかったのだけれど、常識的でした。カフェテリアではノイエ様って呼んでいたのを考えると……淑女教育頑張っているんですね、クレマチス男爵!


「では、クレマチス男爵令嬢のことは、リリーナ嬢と呼ぶ。これでどうだい?」


 そう言えば、殿下はリリーナに名を呼ぶ事を許していたのに、ご自分はずっとクレマチス男爵令嬢だった。


 ふーん、そっか、お互いに名前呼びか……って、好感度上がってる証拠だよね!謎の引っ掛かりを覚えたけれど、さもない事だわ。


「ノイエ様、これ以上は譲歩しませんわ。わたくしは婚約者候補なのですから」


 腑に落ちない事がいくつかありましたが、とりあえず呼び方については決着がつきました。


 この時、リリーナがノイエ様に向かってニヤリと笑い、ノイエ様がムッとしていたとは、全く気がつきませんでした。


「まあ、こんなに時間が経ってしまいましたわ。お友達が出来て嬉しくなってしまって、つい。リリーナには聖女結界についてお聞きしたかったのですが、先程到着してこんなに長々と話し込んでしまいましたわ。お疲れでしょう、お話しは明日以降ゆっくり聞かせてね」


 にっこり笑ってこの場を切り上げる事にしました。


 なお、リリーナが客室に下がっても、ノイエ様がもう少しだけ、とおっしゃるのでお茶を少しだけお付き合いしたノイエ様滞在4日目なのでした。お付き合いが悪役令嬢Aでゴメンよ!




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