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断罪予定の悪役令嬢の行く末  作者: みずのとさやか
断罪予定の悪役令嬢
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悪役令嬢と最後の攻略対象

やっと8人目の登場です

「アナベル♪何食べてんの?オレも一緒していい?」


 武術大会以降、平和が戻ると思っていた日常ですが、ネメシアがランチに乱入して来るようになりました。


 その度にヒソヒソと陰口を叩かれて、ノイエ様の婚約者候補ベロニカ・スピカータ様が睨んで来ます。


 もうね、いっその事ベロニカ様も一緒に食べればいいんだわ。そうすればこのカオスなランチメンバーを睨もうなんて思わないから。


 リリーナはムスカリと楽しくナチュラルにイチャイチャしていて、その隣でハートがガッツンガッツン飛んで来てるのをかわしながらも絡んでいるカンパニュラ。メンタル強かったのね、尊敬しますわカンパニュラ。


 ノイエ様はわたくしの隣でその様子を面白おかしく眺めていて、ノイエ様の隣でデルフィニウムが涼しい顔をしています。たまに何か耐えられなかったのか、肩を震わせて笑いを噛み殺していますが。


 こういう布陣?なため、ネメシアは、必然的にわたくしの隣に座ろうと椅子を持ってやって来ます。テーブルが狭くなるのでホント嫌なんですけれど!


 ネメシアが割とウザめに絡んで来ようとするので、デルフィニウムにわたくしの隣に座って貰えないかお願いしたのですが、


「申し訳ありません。主の意向も有りまして」


 と、断られてしまいました。

 そうよね、デルフィニウムはノイエ様の護衛騎士ですもの、わたくしの横ではもしもの時に対応出来ないかもしれませんよね。


「多分、頼む人を間違えたんじゃ無いかなぁ」


 リリーナが苦笑しながら言うと、デルフィニウムが肩を震わせていました。

 ……?今笑うポイント有ったかしら?




「毎回申し上げておりますが、席はあちらにたくさん空いていますわ。ほら、ネメシア様を呼ぶ声があちらから聞こえてきます。是非お華に水を差し上げて」


 にっこり笑って拒絶します。


「大丈夫、昨日水遣りをしておいたから♪今日はアナベルと話がしたいな」


 ここにもメンタル強め男子が。チャラ男は楽しく遊んでくれるお華ちゃんたちと遊んでいてくださいよ!


「すまない、遠慮してくれないか?」


 今日はノイエ様が間に入ってくださるようです。いいね!言ってやって!


「彼女は私の婚約者候補だ。そしてここは私の側近候補と、彼女の侍女予定しかいない、極プライベートな集まりだ。親しいとは言えない君と、席を共にしたいとは思わない。悪いな」


 婚約者候補を強調されちゃうのは微妙でしたが、結構ハッキリ断ってくださいました。


「そうですか。でもオレは殿下にお願いはしていません。なら、アナベルだけお誘いしようかな。流石に殿下の婚約者候補の方と二人きりはどうかと思っていましたが、殿下が仰るなら仕方ありませんもんね」


 何でそうなるの?


「私は許可した覚えがないが?」


「アナベルは『まだ』婚約者候補に過ぎませんよね?囲い込むのはいかがかと?」


 何の争いなの、これは……。

 ここでわたくしが入っていくと、『わたくしの為に争わないで〜』な構図が完成してしまいます。全然望んでいない構図です、ホント助けてください……。


 面倒くさ過ぎて遠いお空を見上げていると、男性教諭がやって来ました。


「失礼、人だかりが出来ていたので騒動の確認を。ええと……」


 ノイエ様とネメシアの言い合いは、遠巻きですが人だかりを作ってしまったようです。巻き込まれたくはないけれど、どうなってるのか知りたい、その心理、他人事ならめっちゃ頷きますが、当事者としては『散れ!』の一言に尽きます。


 おっと、話が逸れましたね。

 やって来た人物こそが最後の攻略対象ワトソニア先生です。


 色素が薄く銀に見える髪を後ろで結び、穏やかそうなワトソニア先生は伯爵家次男だったはず。他の攻略対象全員と接触し、全員の好感度が20%以上になってから登場するいわゆる隠し対象者です。


 教師との禁断の恋って、現実的に考えるとホント困るわよね。信頼して学院に預けていたら、信頼する教員に……なんて、醜聞でしか無い。わたくしたちは最終学年だけれど、初年度に恋に落ちた……などと言われてみなさい。年齢差!教育者として!って怒鳴り込みに来られても仕方ないと思います。

 乙女のドリーム設定なのですが、運営サイドは現実を考えちゃったんでしょうね、隠しキャラだったのはそういう理由に違いありません。


 隠し要素が、王子や隣国の王子じゃなくて教師……やり込み要素としてどうなの?ってお思いかしら?

 ステータス的にはどうなの?って感じですが、そのせいかビジュアルも声も素晴らしいのがワトソニア先生です。


 リリーナは好感度上げていたかしら?と首を傾げそうになりましたが、現実を見れば、騒ぎを起こしている生徒を指導しに来た先生であり、何の不思議も無い事に気付きました。

 わたくしったらゲーム脳すぎますね!


「喧嘩……とかでは無いようだね。君たちのような面子では、小さな事でも注目されてしまうのは仕方がないが、レディが困っているのはいただけないな」


 レディ……おおぅ痒めな言い回し、ってわたくしの事でしたか。ご心配ありがとうございます。


「少々熱くなりました」


「仲良くしたかっただけなんですよ、心配ないです♪」


 先生への対応も対象的で、ノイエ様は反省しネメシアは流しました。


「ワトソニア先生、申し訳ございません」


 一応わたくしも謝罪しておきます。なんかコレ、わたくしのために争わせてしまってごめんなさい的で嫌な感じですね。


「いいえ、スターチス嬢が謝罪する必要はありません。私はいつでも、困っている生徒の味方ですから」


 茶目っ気たっぷりにバチコーン☆とウィンクまでされました。え……ウザ……


 なんだろう……悪い人では無いんだけど、コレじゃない感。いえ、助かるんですけどね。ホント、有難いのですが。


 こう、キャラ設定が古いって言うのかしら、それとも一周回って新しいの?生徒とは一線を画す攻略対象って煽り文句なキャラだったんだけど、そう言う方向で???


 見目麗しく声も素晴らしい、のに残念系!画面内なら目を瞑れた事も、実際目の当たりにすると厳しいものがありました。


「い、以後気を付けます」


 なんだかドッと疲れが出てしまい、疲れた目でネメシアにも断りを入れます。


「申し訳ありませんネメシア様。わたくし皆さんとのランチを楽しみにしているのです。ですからお誘い頂いても困ります」


 表情差分で言えば、光りが入っていない目でしょう。ワトソニア先生のまさかのウザさに疲れが出ました。これ以上ネメシアと話すのも疲れます。


「アナベルを疲れさせたい訳じゃないんだ。うん、仕方ないね。でも、そのうちオレの為の時間を作ってね、約束だよ」


 こちらが了承する前にさっさと去って行きました。ネメシアよ、言いたい事だけ言って去る癖を改めよ……!


「解決したみたいだね?では私もこれで。スターチス嬢、困った事があったら何でも相談してくださいね」


 言ってる事はまともなのに!何故一々ウィンクしてくるのかな?


「ありがとう、ございます」


 淑女の礼を取れたわたくしを、誰か褒めて欲しいと思ったランチタイムでした。





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