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断罪予定の悪役令嬢の行く末  作者: みずのとさやか
断罪予定の悪役令嬢
32/92

悪役令嬢と準決勝の結果

今回は区切りの兼ね合いで短めです

「勝負あり!勝者……」


 突然ですが準決勝が終わりました。決勝はランチ後です。


 そんな訳で例の如くわたくしとリリーナの席の近くに、ノイエ様、デルフィニウム、カンパニュラ、ムスカリというランチメンバーでお食事中です。


「デルフィニウム様、決勝頑張ってくださいね」


 ランチ後も試合のあるデルフィニウムは軽めの食事でした。


 ノイエ様はと言うと……。


「矢張り力及ばなかったな。分かってはいたが悔しいものだな」


 準決勝では剣を破壊されての敗北でした。

 例年に比べると凄く頑張ってましたし、最終学年で最高成績なんだから良かったのでは?向上心凄いなあ。


「後先考えず全力で戦ったのだが、剣を往なすなんて夢のまた夢のような実力差だった」


 完敗だったと分かっている様です。


 準々決勝とは違い、相手の動きは油断も隙もありませんでしたし。

 準々決勝のランタナ様は……何故開始早々にあんなに大きく振りかぶったのでしょう?初撃で倒す自信がお有りだったのかしら?


「でも、準決勝進出なんて立派な成績ですわ!ノイエ様のああ言う戦い方、わたくし初めて観ましたのでワクワクしてしまいましたし」


 前世ではスポーツ観戦もゲーム観戦もする派だったので、楽しかったです。

 普段のノイエ様の剣技は魅せる技。美しい所作が際立っていましたが、戦うための剣技は荒々しく激しく試合として興奮しました。

 剣術はとても格好良く、憧れすら抱きます。それなのにわたくしの運動神経ときたら……。せっかく剣と魔術の世界観なのに、全く活かせていなくて残念ですわ。


 ノイエ様は少しだけ気分が上向いたようですが、何かを思い出しもう一度力なく下を向きました。珍しい事もあるものです。


「負けてしまったものは仕方ありません。殿下は充分に大会を盛り上げてくださり、仕事をこなされましたよ。ですから決勝は、スターチス嬢の隣で自分の応援をお願いします」


 デルフィニウム……何と言うか、普通に傷抉ってくるタイプなのね。慰めが一切無い。


「あ、殿下が負けたって事は、決勝会場に特別観覧席作るんですか?」


 ムスカリ、もうちょっとオブラートに包んであげてね?


「魔術部門の決勝は、やっぱりカトル君とネメシア様でした」


 リリーナは突然の報告どうしたの?


「私は……、決勝の席を取って来ましょうか?」


 カンパニュラ、君は何故パシろうとしてるの?いい奴なの?


 怒涛の流れで会話が進み、漸くノイエ様が顔を上げました。


「決勝は俺の為に勝てるよな、デルフィニウム。アナベルの隣で応援している。特別観覧席は作らない、他の婚約者候補も勢揃いではお前たちも面倒だろう?魔術部門は……新星に期待だな。席確保は全員でそろそろ行こうか?」


 項垂れていたけれど、きちんと話は聞いていた様です。それぞれに返答するたび、声色が戻っていきました。

 みんなどう対応するとノイエ様が立ち直るかご存知で、仲良しだなぁ、なんて笑ってしまいました。


「だからアナベル、俺を慰めるためにも隣の席に座ってね?」


 ここで嫌とは言えません。相変わらず意地の悪い事で。


「仕方なくですよ?ノイエ様が負けてぴーぴー泣くから、仕方なく隣に座るだけなんですからね!」


 ノイエ様が可笑しそうに笑いました。


 婚約者候補とか、政略結婚とか、王族とか関係なければ、もっと素直に笑い合えたのに。

 少し跳ねた鼓動を他所に、そんな事を考えたのでした。





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