異世界への適合
いやー、忘れてました。一話読んでくれた人のおかげで思い出せた。ありがとう!!そしてごめん!!愛想尽かしてなければうれしいな…
入ってきたのは綺麗な女性。歳は…正直に言…っていいのか?まあ二十代には見える。アラサーって言ったら怒られそう。動きにくそうな衣装だなあ。1600年代の貴族みたい。もう少しカジュアルな方が映える顔だと思うんだが…。ってか皆騒ぎすぎだ。特に男子。アノ人も表情は変わってないけど、『ウザ…』って思ってるだろ。あ、目つむった。多分正解だな。「…皆様、お静かにお願いします。私はソフィア、貴方達勇者様の身の回りのお世話を任されております。どうぞよろしくお願いします」
表情堅い。いきなりアレは関わり辛い印象しか受けないぞ。ずっとこんなだったら嫌だな。フレンドリーすぎても嫌だが。
おっ、皆固まってら。あ、そっか、勇者ってのは初出か。まあ驚くよな、俺みたいなのじゃなければ。
「待ってください!“勇者”!?それはどういう?まさか、本当に未知の力が働いたってことなの!?なんてこと…詳しく教えていただけないかしら?」
学級委員さん、心なしか口調変わってないっすかね、っていうか異世界でも元気だな、普通もっと狼狽えたりすんだろ、フツー。…こじらせ、だったな、フツーじゃねえな。
「順を追って説明いたします、どうか慌てずにお聞きください。質問していただいたのでお答え致しますが、貴方達は勇者でございます。この世界に出現するとされる邪悪で非道、世にも恐ろしい魔王を討つ、そして、この世界に平和を連れてくる、それが勇者の使命でございます。そして、貴方達がここに召喚されたのは未知の力、ではなく神の奇跡と精霊たちの祝福によるものです。…ご理解いただけましたか?」
———精霊とかもいるのか、っていうかその奇跡とか祝福が未知の力だろ…
ってかこの人、説明が回りくどいな。邪悪とかの説明は要らんだろ。
『私の説明のほうが分かりやすいかと』
おう。急に来たな。ナビさん、こっちで出てくるときとか決めらんないのか。
『出てこい、と念じれば浮上致します。出てくるな、という命令には従いかねます。イメージとして、私は常に貴方の傍に居り、何か話しかけられれば反応する。気になる点があれば反応する。そのように思っていただければ』
あー、常時開いてるアプリみたいなもんか。俺の中にシステムみたいな感じでいるのね、解らないけど分かった。んで?ナビさんは自分の説明を聞いてほしい、と?
『聞いてほしい、と言いますか、より理解しやすいような説明が可能というか』
ナビさんツンデレか?ってかナビさんて個性あるのか?
『ツンデレではありません。私たちナビゲーションにはある程度の個性が初期状態から存在します。まあ私はその中でも個性は弱い方かと。そしてその個性はツンデレではない事をお忘れなく』
あーはいはい、分かったよ。個性強いのはどんななん?
『…再現したくはないですが、《やっほーっ!ナビちゃんだよ!呼んでくれてありがと!》のようなキャラや、《我を無闇に呼ぶな、愚物》などと言うものもあります』
アイドルと神かよ。俺のナビがナビさんでよかったわ。ってか再現してくれるとこにナビさんの個性があるのな。まあナビさんと話してんのも楽しいが、説明とかを任せようかな。
『…では。貴方達の役目等に関しては、ソフィアからの説明で理解したものとして解説致します。先ほどの質問の答えを先に述べさせていただきますが、精霊、という存在は存在します。ただ、人間は普通その存在は見えません。特殊なスキルを有したもののみ、その存在を視認できます。見え方は個人によって多少異なるようですが、光のようなそうで』
まーありがちだな。普通に見える精霊はいないのな?
『はい。精霊はあくまで物理的な存在としては無に等しいものです。続いて、ソフィアがこれから説明するであろうことを端的に申し上げますが、しばらくはこの王宮内でこの国の仕組みや基本的な礼儀作法、また場合によっては魔法や剣技などの訓練を受けて頂きます。一般的に戦闘に関するスキルを有する者は剣技や格闘技、魔法系のスキルに関しては魔法の訓練を受けて頂くことになります。貴方の場合ですと、【魔法適性】があり、他のスキルに戦闘技術に関連するものはないように見受けられますので、魔法訓練に参加していただくことになるかと』
どっちも持ってる場合どっちが優先されんの?もしかして両方とか?あとさ、戦闘系は剣技だの、槍術だの何なら格闘技とかあるのに魔法は魔法一つかよ?同じ確率でスキルが発現するんだとしたらそれは魔法使える人少なくね?
『格闘系のほうが訓練による上達が大きいので、戦闘訓練が優先されます。また、スキルは後天的でもあるので、受けたい、と彼らに伝えれば、スキルが無くとも訓練を受けさせて頂けるかと。魔法は日常生活で必要な場合があるので、戦闘系スキルより多めに、遺伝的な発現が多いです。また、魔法は普通、属性や種類によって区分けされてスキルとして扱われています。貴方のように魔法全般に適性があるのはとても珍しいです』
そっか。まあこっちの世界の科学的な技術みたいなもんなんだな。まあ俺は戦いたい脳筋じゃあないから、普通に魔法だけでいいか。魔法なら全部使いこなせるとか。最強かよ。年頃の男子なら夢見た魔法!いいねえ…
『顔がにやけています』
うっせえよ。
まあ聞きたいことは今んとこいいかな。じゃあ、イロイロ、教えて下せえ、ナビさん。
『…はい。ではまず貴方がいる国ですが……
そっからナビさんの特別講義が始まった。ソフィア?さんには申し訳ないけど、ナビさんのが分かりやすいんだわ。あなたのは厨二心くすぐる説明でもわかりにくいんだよ。すぐ忘れるわ。まあこっちはこっちで淡々と、って感じ。説明書の読み聞かせ食らってる気分。まあ質問にも答えてくれて、ありがたいけど。
ナビさんのおかげで大体わかった。まあ普通の国だった。特色とかもあったけど、まあありがちな。必要になったら説明しようかな。
あ、ソフィアさん?なんかあの人しばらくは俺らを世話してくれるってよ。まあさすがに30人とかを1人でって訳にはいかないから、アンさんと、ジャンナさんって人が加わるらしい。アンさんはどちらかというと明るい。クラスのアイドル的な?まあ多分ソフィアさんより若…何でもない。考えてはいけないな。年は。ジャンナさんは…元ヤンがドレス着てるみたい。革ジャンとか似合いそう。…年齢は考えないものとする。しいて言えば三人で真ん中らへんだと思う。
ソフィアさん達も説明終わったみたいだから、一度俺らが自己紹介、みたいな流れになって、まあ特徴的な人は覚えられてそう。言うて学級委員が圧倒的キャラ濃厚で他が薄いみたいになってるが。
俺が自己紹介するときに、ソフィアさんに睨まれた。多分話聞いてないからだと思う。バレない様に気は張ってたんだけどなあ。まあしゃあない。
説明を聞いてるときに、『貴方達は魔王討伐したら帰れるかも』なんて言ってたから、魔王討伐は最後の最後に持っていきたい。せっかく普通じゃ経験できないことが出来てるんだ。楽しまなきゃ損だろ。
…って輝樹に話したらなんか引かれた。「最近ソータがどんどん冷えていく…」ってガチで青ざめてた。なんか俺からしたらこんなとこで楽しまない方が人間としてどうかと思うんだが。今更戻ろうったって無理やん。まだ魔王いないらしいし。「開き直ってんだよ」って笑って返してやったわ。
久々だから設定矛盾あったら教えて下せえ。頭の中で作るとどうしても何かしら忘れるから自分でも気づかないんだ。