第二話:王への謁見
注)規約に沿うように改稿中
セシリア・アースガルドに連れられて彼女の実家、アースガルド城へ。
衛兵に睨まれたが、セシリアの取り成しでどこでもフリーパス。それにしても随分とデカい城だ。
ひとまず案内されたのはセシリアの居室。王女様らしい、よく手入れされた豪華な部屋。汚し甲斐がある。
「どうぞ。ちょ、ちょっと恥ずかしいな……こら、あまり見まわさないでくれ」
「お邪魔します。へぇ、ここがセシリアの部屋か」
女が小綺麗にしているプライベートスペースに入り込んで、適当に間食したり散らかしたり自分の趣味のものを持ち込んだり。そうやってシミをこさえるのは性交とは別の趣がある。
「俺の魔術道具とか持ってきていい?」
「ああ、あなたの部屋も用意させるよ、コート」
「いや要らない。しばらくはセシリアの部屋に寝泊まりする。ここに置かせて」
その一言でセシリアの美貌が真っ赤になる。ただ、嫌がる様子はない。恥ずかしそうにこくりと頷く。
いい女だ。昨日のセシリアとの夜は楽しかった。
つま先からてっぺんまで非の打ち所がない。きめ細やかな白い肌。美しい比率の胸、腰、脚。王宮で良いものばかり食って育ったのだろう。いままでつまみ食いして来た下級貴族の娘とは一線を画す。
例の……なんだっけ……そう、ロイという男には感謝してもし足りない。奴が心変わりする前に、セシリアの心も体も掌握しておこう。後悔してもどうしようもない事態にしておこう。
婚約は成立済み。挙式で外向けに既成事実確定させて、出来れば子作り強制王族入りまで足を延ばしたいところだ。
ただ、王女っていうのが色々面倒なんだよな。
「なぁ、セシリア。今日の晩飯で俺を紹介してくれるんだよな」
「ええ、父上……国王陛下と王妃殿下に」
「身分の違いで追い出されないだろうか」
「大丈夫だ。こ、この指輪を」
セシリアが差し出してきたのは豪奢で、しかも強烈な魔力を感じる佇まいの純金指輪二つ一組。
「これは?」
「王家に伝わる、『契りの指輪』だ」
「どんな効果なの?」
「付けた王家の者とその相手が結ばれ、王家の繁栄を約束する。非常に強力で、三百年に一度しか発揮せず、国王ですらその由緒と効果には口出しできん」
「ほほー、いいね」
「ほ、本来は政略結婚制度が未熟だった時代に、有力者を取り込むためのものなのだが……その、先日無理を言って持ち出した」
ロイのためにだろうな。
会話から察するに、彼もまた身分は下層。でも恋しくて恋しくて仕方ないセシリア王女様は指輪を渡そうとして、その前にフラれた。
「で、これってプロポーズでいいんだよね」
「そっ……そう。お願い。コート、受け入れてほしい……捨てないでほしい」
「いいよ。セシリアのプロポーズ、受けよう」
「あ……! ありがとう! コート……!」
そして俺がなり代わった。幼馴染に貰えなかった愛情を、俺が代わりにたっぷり注いでやるぞ。
「食事会は夜か。それまでかなり時間があるな」
「ん……」
「じゃあセシリア、昨日の続きをするか」
「あっ……♥」