先輩と後輩と生死
「世界はかくして滅んだのであった。」
「どうしたんですか?先輩、またおかしくなってますよ。」
「後輩か。後輩は明日世界が滅亡するとしたら、どうする?」
「滅亡ですか?うーん。寝ますかね。」
「なんだかもったいないな。」
「だってこわいですもん。そういう先輩はどうなんですか?」
「僕は、火星に行きたいかな。」
「いや、それは無理でしょ。というかこの手の質問では自分の夢を語るようなものじゃないでしょ。もっと身近な出来そうな欲望を答えるものでしょ。」
「火星に言ったら火星人と友達になるんだ。」
「聞いてないし、、、。まあ夢を持つことは自由ですからね。」
「後輩は身近な欲望というよりはただの現実逃避だな。」
「いきなり話が戻りましたね。、、、基本的に俺は臆病ですしあまり緊張とかしたくないですからね。」
「後輩は臆病だな!」
「知ってますし、さっき自分で言いましたよね。」
「まあそれに比べ僕の方は十分に身近な欲望だな。」
「いや、何言ってんだこの人?」
「何を言ってるも何も僕は宇宙人だからな。僕は今地球に人と仲良くなるためにここにいるのだ!光栄に思うがいい後輩よ!」
「はいはい。それで先輩はどこの星から来たんですか?金星?木星?それとも冥王星ですか?」
「む?お前、僕を馬鹿にしているな!?」
「まさか、僕はいつでも先輩を尊敬していますし、僕は先輩を立てられる後輩ですから。」
「ならばよし!」
「ちょろいな。」
「ん?」
「何でもありません。」
「ところで後輩よ。」
「何ですか?」
「お前はいつだったら死んでもいいと思う?」
「うーん死ぬときですかね。」
「つまらん答えだなぁ。まあでも一理あるかも。」
「人間、誰でもじゃないですけどほとんどの人が死ぬまで死ぬのが怖いものですよ。」
「どっかの誰かは死を知らないのに知ったかのように死を恐れるのは愚かだ、なんて言っていたがね。」
「何ですかそれ。わからないから怖いっていうのに。」
「確かにそうだな。じゃあなんで僕らは生きているんだ?」
「生まれたからじゃないですか?生まれることに僕たちに意思は関係ないでしょ。」
「そうだな。生まれた時から僕たちの命は僕たちの命じゃないんだ。僕たちの肉体は僕たちのもの。そこには人権やら何やらなどの僕たちが僕たちであるための要素が詰まっていてそこに命を注いでもらったんだろう。」
「だれから注がれたのですか?」
「それは両親あるいは神なんて言う人もいるだろう。まあ、僕は基本的に神は信じていないが。」
「神は信じないのに、宇宙人は信じるんですね。」
「当たり前だろう。僕が宇宙人なんだからな。もちろん後輩、お前も宇宙人だ。」
「、、、それもそうですね。」
「それで後輩、明日世界が滅亡するとしたら何をする?」
「、、、自分の出来る事をして精一杯生きたいですね。」
「ふふん、そうか。つまらん答えだ。」