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転生したら異世界になっていた件について

作者: 王水

ツッコミ所は多いかと思いますが、どうか軽い気持ちでお読みください。

『拝啓、世間では四季折々の情緒が溢れている昨今、女神様におかれましてはますますのご活躍のことと存じます。

 その節は私めの願いを聞き入れて頂き、誠に有難うございました。


 さて本日ですが、一つご検討願いたい事がありまして、念話にてお送りしている次第です。


 既にご承知の通り、現在この私めは異世界アトランテにおります。

 

 ここは大変素晴らしい世界です。

 こちらの要望通り、剣と魔法が蔓延る世界でしたし、現地人たちは皆いい感じに頭の悪い者たちばかり。

 俺TUEEE、俺SUGEEEをするには、これ程適切な環境もそうはないと思われます。


 ですが一つだけ問題が御座います。

 それは私め自身についてです。


 確かに強さを第一に望んだのはこの私です。


 その世界に住まう人間共を虫けらのように扱える、そんな絶対的な強さを。

 その願いはこうして叶えられ、確かに私はそんな存在となりました。


 だって……私がその異世界アトランテそのものなんですからね……。


 世界そのものですから、ちょっと天変地異を引き起こすだけで、人間どもなど虫けらのように殺せます。

 洪水を起こして大地を水底へと沈めてやれば、全滅させることもきっと簡単でしょう。


 どうも言葉足らずのせいで、少し誤解をさせてしまったようですね。

 私はあくまで人間のままで、そんな力が欲しかったのです。

 

 今からでもそのように変更出来ないか、どうか一つご検討頂けませんでしょうか?

 

 敬具』


 異世界なんて訳の分からない存在へと転生させやがった女神レイアに対し、俺は精一杯の苦情を念話で送りつけてやった。


 とはいえ彼女は忙しいらしく、1週間くらいの未読スルーは良くある話だ。

 それは俺も分かっていたので、気長に返事を待つつもりだった。


 しかし今回は違った。

 すぐにレイアから返信があったのだ。

 その念話は短く、そしてごく簡潔なものだった。


『無理です』


「ちょっ! 無理ってなんだよ、無理って! マジでさぁ。俺も言葉が足りなかったのは悪かったけどさぁ。だからって、これはあんまりな仕打ちじゃないか!?」


 その無慈悲な返答に対し、俺は再度の念話を送るも、しかし何も返ってはこない。

 既読スルーだ。くそっ。


「はぁ、マジ有り得ねぇ。さっさと滅びねぇかな、あのクソ女神」


 そう独り嘆くが、しかしそれを聞く者など誰もいない。


 てか誰が世界の声を聞けるというのか。

 仮にもし聞こえる者がいたとして、そんな事を周囲へと漏らせば、即座に頭のオカシイ人扱いされること請け合いだろう。


「はぁ……。何でこんな事に……」


 日本での(せわ)しない日々に疲れていた俺は、知己であった女神レイアに対し、軽い気持ちでそんなお願いをしてみた。

 その結果がこれだった。


「マジで頭がおかしくなりそうだ。いやもう既になってるのかもな……」


 待てど暮らせど返事は無かった。


 何度か念話で催促してみたが、全て未読スルーだ。

 これはもうブロックされている気配が濃厚だ。


「はぁ、これからどうしよ……」

 

 結局、女神とは音信不通のまま、異世界アトランテとして生きていくことになってしまった。


 世界に寿命なんて概念があるのか、それすら不確かだ。

 先の見えないこれからの生に、俺は無い頭を抱える事となった。


「あー暇だなぁ。地上でも覗いてみるか」

 

 世界そのものである俺に、なすべき義務などは存在しない。

 空腹なども感じず、眠る事さえない俺は、時間を持て余していた。


「ん? なんかきな臭い感じだな」


 たまたま覗き見た小国が、滅亡の危機に陥っていた。


 そして、そんな故国を救うべく奮闘する姫騎士が一人。


「やべぇ、あの子。超可愛くね!」


 その姫騎士の凛々しくも可愛らしい姿を目にして、俺は一目ぼれをしてしまう。


「よっしゃ! あの子を救うぜ!」



 かくして世界そのものから寵愛を受ける事となった姫騎士シャリア。

 

 やがてその声を聞き取れるようになった彼女は、神託を受けし姫巫女として、世界中にその名を知らしめる事となる。


 自らの命をそして故国を救われた事に、感謝の祈りを奉げるシャリア。

 そんな彼女に肩入れをし、好き勝手に天変地異を巻き起こすアトランテ。


 これは異世界と人とが紡ぐハートフル(?)ストーリー。

 その序章である。


感想お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] 深夜のテンションで失礼しますm(__)m コレは良いなあ 考えうる最大最高の力とは何か? そう考えた時に行き着く先の一つが 「世界そのものと同一である事」 ではないかと! 某自称ナチ…
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