はかなくも、あたらしくも
それは確かに新しい朝だった
雲はいつも翼のようだった
だから大気は鳥だった
光は魚のようにきらきら泳いでいた
世界のあらゆるものが美しかった
咲き誇る花の名前を知らないことに涙した
世界は輝くもので満たされていて
見渡す限り、ただ見渡す限り
それは溢れ続けていてずっと続くのだった
だから私はここに種をまく
電柱は雑木林のようで
電線は木々の梢のようだった
そして雲は翼のようだった
やはり大気は鳥だった
あらゆる波が私を震わせていて
黄色い花は灯りだった
青い花は舞う蝶だった
だから私はここに種をまく
そびえ立つ石と鉄の城
窓の鉄格子
胸いっぱいに満ちる灰
鮮やかな棘の道
粉だらけの町並み
低く重い雲は羽毛のようだった
その日私は夕日を直視した
すべてが残像にかき消されるのだろうと思った
不安定な傾きこそが
私がそこにいるということだった
眩しさは痛みであった
感覚は思考であった
彼方はここであった
ここは彼方であった
接続は無限であった
積み重ねは永遠であった
雲は翼であった
大気は鳥であった
光は魚であった
空間はすべて満たされていて
すべてが完璧だった
だから私はここに種をまく
逃げてしまった尻尾もきっとそれを望んでいる
そしてまた新しい朝が来れども、来れども
何かを得るたび何かを失くすたび
すり減って摩耗してすり切れて崩れ落ちて
切断されてしまったいまでも
孤立した神経接続と電気信号も
この崩れ落ちていく世界で
取れてしまった私の頭もきっとそれを望んでいる




