表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/33

シーン6 エンドウォールの事情(1)

既に陽が暮れたものの、まだ眠たくならないので、ふと呟き始める。

「僕、数年前まではエンドウォールという都市に居いてさ。あそこは魔物との戦いで怪我した戦線負傷者も多く居るからね。例えば、戦場で両手両足を切断されたり。そういう人は見慣れているんだ」

セイラは首を傾げ、不思議そうにバルドを眺める。

「そういえば、マサリさんと知り合いでしたね。どうやって会ったんですか?」

セイラがそう言った途端、空気が急激に冷え始めた。

「そうか。うん、そうだね。マサリ様のこと知らないだもんね。今の僕は気分が良いし、教えてあげるよ。たっぷりねっとりしっとり…」

「そ、そんなに語らないでもいいです!」

「おっと、ごめん。話を戻すね。僕、終末都市エンドウォールに居た時、そこを中心に活動しているマサリ様を追いかけたんだよね…。それはもう周りから飽きられたぐらい。他にマサリ様との絡みで色々とやって、“偏愛ストーカー”の二つ名を貰うぐらいにはやらしているし」

「そういえば、噂で聞いたことあります。あなたの事だったの…」

「あっ、知っていたんだ。だよねぇ。マサリ様、世界的にも有名だし、そのついでに僕の事も悪い意味で広まったんだよねぇ」

石に囲まれた小枝が燃え、月光が周りを照らし、セイラの髪が風に流れていた。

こんな時に月を見れたら最高だが、運悪く雲に隠れていた。

「偏愛ストーカー…って何をやらしたんですか?」

セイラにそう訊かれると僕は苦笑いをする。

「いろいろあったんだよ。マサリさんにに土下座して愛の告白したり。もちろんフラれたけどね。でも、可愛いし、結構好きだったんだよ。三つ編みの髪結びが特徴的でね。そんで、薄い衣服とショートパンツも目立っていたし。何よりも、どんな誘惑も負けず、喧嘩強い! そして、立場がフリーの最強冒険者! そこに惚れたね! 今でもあんな人は今後会える事は無いなと思っているよ」

「あっうん…。あなたにとっては素敵な人だったんですね…」

「そうだよ! ただ愛しているから追いかけているだけだよ」

「えぇ…」

僕の発言に、セイラ、ドン引きである。そんなに変な事を言っただろうか?

「そんな訳で周りから”偏愛ストーカー“という二つ名を貰いました」

「へ、へぇ。ふ、ふぅん…。もう夜が深いし、そろそろ寝ましょうか」

「うん。そうしよう」

そろそろ火が消えかけていた。小枝を集めて、火が盛り返すようにした。

「こんなもんか」と適当な量を補充できた後、セイラは木の上の小屋に浮遊魔法で行った。

僕はリュックから布を取り出し、体を包んで大木の根元に転がる。

10秒も持たず、眠りに落ちた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ