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シーン2 下山



目覚ました後、一通り、体を動かす。

魔物という恐ろしい能力と姿を持つ怪物がそこら辺に居るんだから。

見つかったら命の終わりだと思っている。無駄な戦いを避けるのも戦いの一つだ。

そうならないよう、騎士団の訓練で察知能力と剣技を磨いているが、まだまだ道半ばだ。

だから慎重に行動するしかない。

錬成術で作られたコンパスと陽の動きを目印を頼りに歩き出す。

10歩目でオルトロスという魔物を見つけた時は『あぁ、修行が足りないな』と思った。

結果、敵の攻撃を紙一重にかわしながら、オルトロスを倒した。

目指すは山を下った所に有る野営拠点。

そこに着くまでは一瞬たりとも気が抜けない。

山を下っていくと、やがて緩やかな草道となる。

森を抜けたのだ。

野営拠点は山の入り口の近くに有る。幾つかの大きな設置型テントが見える。

そこは薬師、武器職人、料理人、冒険者などが集まる。

山から現る魔物に対抗する為だ。

『瘴気』と呼ばれる黒い霧から出現した、変異した生き物。それが魔物だ。

この世とは思えない姿と能力を持っている。

人類の宿敵であり、『絶対に倒すべき敵』とされている。



「よっ、偏愛ストーカー! 帰ってきたのか!」

拠点の門に立っていた、金属の鎧を身に纏う男が僕の事を気づいて声を掛けてくれた。

彼はケリー。17歳で王立騎士団入りを果たしている。

幼い頃からお互いの戦闘技術を認め合うライバルだ。

先月王立騎士団から派遣され、3年ぶりに再会し、喜び合った。

今はここの生活にはすっかり慣れたようだ。

「どうだった。一人旅は」

「やっぱり難しいよ。やるべき事が多いし」

「そっか」

ケリーが頷きながら、僕の体を見回す。

重そうな鎧を着るケリーとは違い、僕は軽装鎧を着込んでいる。

「かすり傷が有るだけで、ほとんど無傷だな…」

「あ、運悪くオルトロスに出会ってさ」

「あぁ…。ま、仕事でもないのに、野宿した命知らずが帰ってきた所で…。後始末が終わったら、美味いものを食べながらダラダラしようぜ! 幸い、俺の都合は明日までねぇしな!」

「いいよ。いつもの所、待ち合い広場兼食事所で」

「ああ。先に行ってくる」

軽いノリでケリーはふらっと行ってしまう。

ほぼ同じタイミングで腹が減る。

道具、回復薬が足りなくなってきたし、まとめて買い足しようっと。

あと、軽装鎧の修理を頼もう。



数十分ぐらい総合雑品屋、武器屋などに入り浸った後、待ち合い広場兼食事所に行く。

そこには既に大量の食事を女店員に頼んで食べまくっているケリーが居た。

「ようやく来たか。もう注文しちゃったよ」

「すいふんと多いね。食べ切れるかい?」

「当たり前だ。これぐらい大した事ねぇよ」

これだけ注文して、財布の方は大丈夫だろうか。若干心配してしまう。

バルドが椅子に座ろうかと視線を走らせた時。

「あぁ、ここに居たのか」

先輩である熟練冒険者が僕を呼びかける。

「ザロン様が君をお呼びだ。何かのクエストをやらせるつもりらしい。一番奥のテントで待っている。早めに行った方が良い」

「ザロン様が? 分かりました。今から行きます」

熟練冒険者が去るのを見届けてから、ケリーに向き合う。

「俺の事はいいから、早く行け」

言葉が出るより、先に言われた。しっしっし、と埃を払うような仕草で。

了解、と軽く手を振るってから、拠点の一番奥のテントに向かう。

 

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