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シーン5 悪の囁き



ーーー????視点ーーーー



陽が完全に暮れて、真っ暗な深夜。

バルド達が泊まる宿屋『潜め海』の外に恨めしそうに睨む男が居た。

質の高い魔杖を持っており、茶色のロープを纏っていた。

ラスセ・フラノアグ。

それが、彼の名前だ。

「どうして、あいつがここに居る!? 悔しい! 何で、あの方の愛をあいつだけ受けているんだ! このオレにも認められ、あの方の愛を受ける権利が有るというのに!」

拳を握り、肩を震える。

身体は痩せているように見える。

腰に小さな箱が有り、普段店で売られている箱とは雰囲気が違っている。

「何でだ、何で・・・・!」

「ならば、消したらどうかな?」

痩せている男が呟いていると、背後から別の男の声がする。

振り返ってみるが、誰も居ない。

深夜の道には痩せている男以外、人の気配が無い。

だというのに、低い声が聞こえる。

「君は彼ーーバルドを憎んでいるだろう? ならば、彼を消したら、どうかな? きっと君は胸がスカッとするだろう」

「でも、どうやって・・・・」

「中央都市デアンから遠くない所に、<奈落の遺跡>に赤色で禍々しい神官服の人達が隠れ潜んでいる。彼らも、狙っている人が居るようだ。もし、気が向いたら手伝うと良い。ほんのちょっと、手伝えば、バルドを消せる事はできるだろう・・・・」

直後、低い声の主は喋らなくなり、寒い夜風が吹く。

茶色のロープを纏い、痩せている男ーーラスセ・フラノアグーーは唖然と立ち尽くしていた。

やがて、ラスセ・フラノアグは昏い微笑みを浮かべ、瞳に決意が宿った。




「まぁ、こんなもんか」

ラスセ・フラノアグが猛スピードで走り去ったのを、別の建物の屋上から眺めている男が居た。

その男は何かも黒かった。

手袋、コート服、靴、瞳・・・・その全てが黒い。

彼はどこかを覗くような、遠い目で空を見る。

「物足りない。悪というのは、これではない。あぁ・・・・。物足りない・・・・」



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