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シーン9 行き合う人々



エンドウォールの中央広場。

ここから伸びる三本の道は商店街、貴人街、集団住宅街に繋がっている。

空が雲一つ無いせいか、人々が多く行き合う。

(さて、陽がまだ高いし、早めの昼ご飯を摂って、軽く散歩するか)

周囲を見て、フラフラと歩き回る。

「ねぇ、そこの兄さん」

コートを身に包んだ女の子に呼び止められた。

「どうしたに?」

「私はそこ辺の魔術師よ。この辺りで、魔術師の兄さんを見かけなかった?」

確かに女の子の言う通り、魔術師の特徴である、黒色と茶色を混ぜたコートだ。

杖もしっかり持っている。

「いや、見かけていないな。似たような知り合いなら知っているけど」

「その知り合い、ケリーって名乗っていたり?」

「当たり。ただ、違う人の可能性もあるね。今、彼はザロン様の所に居るよ」

「そう…。あの山奥の…」

残念そうに目を伏せる幼い魔術師。

「ところで、お兄さんは冒険者なの?」

「そうだよ」

「ふーん。じゃあ、場所を教えて欲しいわ。そこに行けば伝言を…」

「いや…」

エンドウォールの中央広場から伸びる一本目の道、商店街を指差す。

幼い魔術師も追うように視線を向ける。

「あそこに行けば、魔術師たちが集まったルーラーギルドが有る。魔術師をやり込んでいる人なら真っ先に行く所さ。そこに訪ねるといい」

幼い魔術師は目を丸くして驚き、腕組みする。

「ふ、ふぅん。よく知っているわね」

「たまたま知っていただけさ。可能性があるなら是非行ってみたら?」

「ありがとう。そうするわ」

幼い魔術師は軽く頭を下げてさっさと行ってしまった。

その後ろ姿を見送ってから集団住宅街へ足を向けた。



集団住宅街はエンドウォールで最初に作られた所だ。

魔物に抵抗する為に拠点を造り、そこから発展していった…らしい。古くから住んでいるお爺さんから又聞きのエピソードなので、確かな話なのかは分からない。

ただ、僕にとってもワクワクする語りだった。それだけはっきりとしている。



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