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またまた久しぶりの投稿になりました(^^;

こんな不定期更新の話をブクマ&評価してくださった皆様、読んでくださっている皆様、

ありがとうございます(*^^*)

すっかり熟睡してしまった私は戸の叩かれる音で意識が浮上した。

コンコンッ


んー、誰だろ?

もしかしてカイル!?


しばらくカイルは来れないと聞いたばかりだというのに、

もっぱらここ最近は部屋を訪ねてくるのはカイルだった為、戸を叩く人物=カイルという方程式が私の中で出来上がっていた。

急いで起き上がると寝癖がついているだろう髪も整えずに扉へと向かい戸を引く。


「よっ!」

「ア、アレン!?」

「悪いな。寝てたところ起こしちまったみたいだな。」

そこに立っていたのは久しぶりに見るアレンだった。




アレンはカイルが不在で私が暇をもて余しているだろうとご飯に誘ってくれて、今は二人で城下町の飲食店にきている。

黒髪、黒目の人がいないこの世界で外出をするときは髪染め&フードを被らなくてはいけない。

私は急いで準備をし髪をエリーに染めて貰ったが、だいぶアレンを待たせてしまった。


アレンに連れてこられたのは木目調の内装と家具で統一され、とてもお洒落なお店だった。周りを見渡すと圧倒的にカップルが多い。


なんかこれって、デートみたいじゃない?

憧れのアレンとこんな素敵なお店に来れるなんて幸せすぎる!


「アレンって、こんなお洒落なお店知ってたんだね!」

「どういう意味だよ!?」

私は感心して言ったつもりだったが、彼は不満げに顔をしかめた。

「もちろん悪い意味じゃないよ?こんな女の子が好きそうなお店に連れてきてもらえると思ってなかっただけ。だって、なんかこれってデート?みたいだし?」

自分で言っておきながら恥ずかしくなり照れ隠しにメニュー表をめくると、今度は呆れ顔をされた。

「はぁ、、、せっかくスマートに決めたと思ったのに、お前相手じゃ決まるものも決まらないな。」

「ん?、、、えっ?!」

「デート!してるつもりだったけど?俺は。とりあえず、腹減ったし何か食おうぜ。」

アレンは私の慌てる顔を嬉しそうに見つめてきた。


し、心臓に悪い。

私は年甲斐もなくドキドキさせられてしまった。


食べ終わって城に戻ったところで、被っていたフードをおろす。やっぱりフードは面倒だな。

「あれ?カエデ、そんな髪飾りもってたっけ?よく似合ってるよ。」

「あ、これ?ありがとう。カイルがくれたんだ。」

「っ、そうなんだ、、、カイルが。」

「?うん。」

「じゃ、今日はありがとな!明日は一緒に朝食とろう。また明日!」

そう手を振ってアレンは駆けて行ってしまった。


なんか、アレンおかしかったよね?

まさか、この世界は異性へプレゼントを送るのは愛の告白を意味する!とか婚約者からのプレゼントしか身につけない!とか異世界あるあるがあったりするのか!?

私も真相を確かめるべく自室へと走った。




部屋に戻った私はエリーの淹れてくれたお茶を飲みながらくつろいでいる。

必死の形相でエリーに詰め寄り、若干引かれつつも男性が女性にプレゼントをすることも、それを身に付けることも普通のことで、婚約者とか恋人とかを表すわけではないと教えてもい、

アレンに勘違いされたわけではないと知り安心したところだ。



だとするとアレンのあの反応は何だったんだろ?

まぁ、カイルって他人と距離とってる感じあるし、そんな彼が私にプレゼントをあげていたって知ってビックリしたのかも。

きっとそうだ。うんうん。と、一人納得する。


それにしても、今日のお店の料理は美味しかったな。

何よりデザートが逸品だったんだよね。サクサクのクッキー生地にクリームとチョコレートがけされたフルーツがのっていて、実に私好みだった。

やっぱり甘いものって癒されるなぁ~。



それにしても、暇だ。

「はぁ。本当に暇だ。」

最近はいつもカイルと一緒に過ごしてたんだよね。


いつの間にかカイルと居るのが当たり前になっていて、会えないと逆に違和感を感じる。

そして、そう思うことに違和感を更に感じる。


これじゃあまるでカイルのことが好きみたいじゃない?

うーん。それはないよね?

だって私の好きな人はここが舞台の乙女ゲーム“アナザーワールド”を初めてプレイした日からずっとアレンだったわけだし。

きっと今日も会えると思っていたのに、急に会えなくなったからかな。



この世界にきてからもう1ヶ月半。

相変わらず私に女神様の力は一向に目覚める気配はない。

確かさくらちゃんは異世界トリップした時には力が備わっていてすぐに皆のために働いてたんだよね。さくらちゃんが最初に力を発揮した時のように穢れで苦しんでいる人を助けたいって強く願ってみたりしているけど、さっぱりダメ。

この前行った孤児院の子供たちみたいに家族が失われて悲しむ人たちをなくしたい!って、あれから毎日願ってみてはいるんだけどね。

本当にこれじゃあ、ただの金食い虫の居候だ。


カイルも今頃忙しく働いているんだろうな。

暇だし、何か差し入れ的なものでも作ってあげようかな。

髪止めのお礼も言いたいし。


何が良いかと考えてみたが、疲れてたらやっぱり【甘いもの】という考えにいきついた。

お昼にデザートを食べたときの幸福感を味わったばかりの私はお菓子以外の案は浮かばい単純なつくりの脳ミソをもっているようだ。


カイルも普段すました顔をしているわりには甘いものが好きなんだよね。ご飯行くときはいつもデザート食べてたし。

デザートを食べてるときのカイルは本人は気づいてないみたいだけど、若干表情が弛むことを私はしっている。

嬉しそうって思わず見つめちゃってると、すぐに普段通りの完璧フェイスに戻っちゃうんだけどね。

そこがちょっと可愛かったりもする。


忙しくてすぐ食べて貰えるか分からないし、生ものじゃない方がいいよね。

って言っても日保ちする私が作れるお菓子なんてクッキーぐらいかな。

悲しい。。。


私は早速厨房に向かうと料理長にお願いしてキッチンの使用と材料を分けてくれないかとお願いをした。

頑張っている皆にクッキーを作ってプレゼントしたいと料理長に説明すると、とても驚いていたけれど快く貸してくれることになった。

何でもこちらの世界の女性は基本何もしないのが普通なのだと。

仕事でもない限りわざわざ労力を使って何かをつくりプレゼントすることはないということだった。

恋人とか好きな人を振り向かせたくて思いを伝える為にすることはあるみたい。それでも珍しいみたいだけど。


確かにこちらの男性は皆レディーファースト精神を持っているし、女性は我が儘な傾向があるとゲーム内でも描写があった気がする。

だから、この世界の女性とは違う異世界からきたさくらちゃんに皆が惹かれていくんだよね。

、、、何だか手作りをプレゼントするのがあざとく思えてきてしまった。

でも、いいや!気にしない!

無職の私にはプレゼントを買えるお金があるわけじゃないし、

ただ、喜んでもらえいたいだけだから。



キッチンに立つと早速作業にとりかかる。

アレンと他の魔術師団の方にも配ろうと思うからたくさん作らないとね。

カイルだけっていうの何か恥ずかしいし!

って、何で恥ずかしがってんだ!?

違う違う!!これは、お礼!

髪止めのお礼にしてはショボいのは否めないけどね。


そして、クッキー作りに没頭し、全部焼き終えるころには日が傾いていた。

夕食の準備があるのにも関わらず長時間キッチンを貸してくれた料理長に感謝し、クッキーを抱えて部屋に戻った。


部屋に戻るとエリーにラッピングに使えそうな袋を用意してもらい包んでいく。

私が皆に渡す為に作ったというとエリーも大層驚いていた。

そんなエリーに包んだばかりのクッキーをプレゼントすると

目を潤めて喜んでくれて、私も嬉しくなる。


エリーにカイルの仕事場を確認すると、魔術師団の執務室にいることが多いらしい。

魔術師団の棟に行くのは初めてだな。

ちょっとワクワクするかも。

仕事してるときのカイルってどんな感じなんだろ。

喜んでくれるといいな。

私は一つだけラッピングの異なった大きめの箱をそっと袋にしまった。




次回以降、物語が動きます!

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